第9話 幼馴染としてではなく

 図書委員の仕事が終わりを告げるチャイムの音の後に、ゆうちゃんはちゃんと来てくれた。


「話って何?恵美えみ


 放課後の今の誰もいない時間、この時間しかないと思った。


 自分の気持ちを伝えるためには……。


 私、佐藤恵美さとうえみは心を落ち着かせる為に深く息を吸って……!


「ゲホッゲホ!」


「大丈夫か? 何がしたいんだよお前」


「だっ大丈夫!あと一分待ってゲホゲホ!」


 〜 一分後 〜


 今度こそ……。


「優ちゃんとはさ、幼稚園の頃から一緒だったでしょ?」


「ああ、そういえばそうだったか?」


「面倒くさいとかいいながら、変に優しいとことかあったり」


「……」


「覚えてる?中学生の時、いじめがはやってて、いじめを私が受けてたとき……」




 〜 中学2年生の頃 〜


『もう……やめてよ……』


『ああ?自分が可愛いからって倒堂とうどうにもそんな顔でたらしこもうとしてんの?マジでキモい』


『もう倒堂とうどうに近づくなよ?分かったよな!』


 その子もゆうちゃんが好きだったのか、目障りに思えたらしく、私はその子から暴力を受けたりしていた。


 そんな時だった……。


『おい!そこの女子!

        職員室まで来なさい!』

 

 その声はいじめをしていた女子の担任の先生だった。  


『そんな、なんでこの場所が……』


 私にいじめをしていたその女子生徒は逃げようとするもすぐ捕まり連れて行かれた。


 しかし、この場所は陰と死角の多い場所で見つかりにくい場所だった。


 にも関わらず、なんで見つかったのか。


 私は最初分からず、とりあえず保健室で怪我を見てもらおうと動いたその時、近くにゆうちゃんがいたのだ。


 後で先生から話を聞くと、優ちゃんがいじめをしているのを見つけ、知らせてくれたという。



 〜 現在 〜


「さぁな、あんまり覚えてない」


「私、あの時からゆうちゃんのことがもっと好きになれたよ!ずっと側でいることがとても幸せだった!でも、この気持ちだけは誰にも負けたくない!」


 勇気を振り絞り、はっきりと言いにくかった、言えないのが辛かった、怖かった、たった一言を口にする。


「幼馴染としてではなく、

 一人の異性……女としていいます!


  好きです!付き合ってください!」


 だが、ゆうちゃんの返事によって私は心に苦痛と悲しみに支配されることになる。











 



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