夕闇の告白

眠るのが怖かった、なんて言ったら

あなたは笑うかしらね

見る夢は哀しいものばかりで

なのに声さえ出せなくて

息を詰まらせながら起きるの

それが辛くてね

抱えていた感情を呑み込んでいたら

息の吐き方がわからなくなってた


途方に暮れた後で、わかった振りをした

できるだけ気づかないように

忘れながら生きようとした

それで自分の輪郭を何とか保ってきたけど

剥離するばかりの感情は遠ざかるばかりで

眠れているよ、少なくとも昔より

見る夢はやっぱり切ないけれど

呼吸の仕方は思い出したから大丈夫


夕闇のベランダで

唸るような風に向かって独り言


誰にも聞かれないように

小さな声で


でも、挑むように。

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