貴方はスタイル抜群超絶美人というだけでどれだけ彼女を愛せますか?

狩野千裕

完璧な人と不潔な人

完璧とはこのことだ。

ある日の自習。


「おい、りんちゃんが走ってるってよ!」

「まじか!どこどこ?」


彼女は今年入学してきたばかりの1年生。それだけならなんでこんなに群がるか分からないと思うが、彼女は今大人気の韓国アイドル『kymyキャミー』の一人―――でわないが、そのくらい美人なのだ。その上成績優秀、スポーツ万能、女子力もあり完璧。こんな人がこの学校に入学なんて今でも信じられない。


「ね〜りっちゃん?」

「なに?」


いきなり肩をつつかれたので少しびっくりしながらも彼女が指している方を見ると三年生の先輩方がこちらを見ていた。


「キモくない?多分さ〜ら私たちのことエロい目で見てるよ?絶対!」

「やっちゃん、多分先輩方だからとか言わない方が――」

「いや、エロい目で見てくる時点で人じゃない!動物や!」


やっちゃん。人間も動物なんじゃ?

この子は、真山まやま夜美やみひとなつっこいくてかわいい子だが、たまにでる妄想癖が傷。そんなやっちゃんは、私がこの学校に来て初めて友達になった子でこうやっていつも見張り役( なにからかは、知らないけど )をしてくれている。


キーンコーンカーンコーン


「礼!」

「「ありがとうございました!」」


体育の授業が終わり制服に着替えた後、私たちは、教室に向かった――


その道は険しく――滝の如く治まることを知らない声――炎の如く揺れる体――

やっとの思いで教室に帰ってきた時にはもうクタクタになっていた。


「りっちゃん人気ありすぎ!」

「ごめんねやっちゃん、みんな。」


そうこれは、更衣室から教室までの間にできた肉道にくどう(人々が群がりできたトンネル状の道)だから私たち以外も犠牲になるのだ。


「りっちゃんさ、気になってたんだけどさ。なんでこの学校にしたの?」

「それはね――」


そうそれは――

あの時――

まだ私が完璧になる前にまでさかのぼる――

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