第四話 『星になった少女のために……』 その4
「……ああ。参戦する」
「そうか。でも、どうして?」
「ど、どうしてって……私に、参戦して欲しくないのか?」
「いいや。そう言ってくれて、とても嬉しいよ。でも、どうしてだ?」
「ず、ずるいぞ!!さっきは、強引に、ついて来いって、言ったくせに」
「意志を確かめたい。今回は、危険な目に遭うからな」
「何を言う。我らは傭兵、戦場で死の影と遊ぶのはいつものことだ」
「……ああ。でも、今度は間違いなく、いつもより危険だ。だから、お前も反対しようとしていたじゃないか?それでも来てくれる……その理由が聞きたい」
「……そ、その……っ。あれだ、あれ!」
「どれだ?」
「ほ、ほら。バカとバカと子供と子供の引率に、大人がひとりじゃ大変そうで……ッ」
じれったいから、オレは美少女エルフの腕を引っ張って、抱き寄せていた。
軽いから、ホントあっさりと腕のなかに抱き寄せられる。はかなくて、いいにおいがする。うん。もう、キメちまもう。オレ、これから、リエルをオレの女にしちまうわ。
「……お、おい。なんだよ、なんで、抱きしめる……ッ」
「オレと一緒にいることを、選んでくれて、本気で嬉しいからさ」
「お、お前とというか……みんなとで……」
「ほんとにそうか?」
少女は無言になってしまう。オレの腕の中から、いつもみたいに逃げようとしない。
屋外でもないし、他の邪魔モノもいないからか。スイートルームで、雰囲気はバッチリ。ムードを大切にするエルフ女子よ、文句はなかろう。
「……え?ちょ、ちょっと!?」
リエルをベッドに座らせるようにして、そのあとで彼女の両膝を抱えて、ベッドの真ん中まで運んでしまう。慌てているが、逃げない。それは、許容したってことだよ。
「……そ、ソルジェ……あっ!?」
ベッドに沈むリエルの体を、オレがまたぐようにする。オレの両脚のあいだに挟まれるようになってしまった彼女は、もう逃げられない。
だが。リエルは拗ねるように口を尖らせ、顔をそむけた。
「……乱暴すぎだぞ、こんなの……強姦されてるみたいだ」
「やさしくしているつもりだぜ」
「……こ、これから……ど、どうする気だ……?」
「お前をオレの女にするんだよ」
「……そ、それは、つまり……」
「リエルを抱いて、子作りするのさ」
「こ、こづくり……ッ」
ストレート過ぎたか?リエルが顔を赤くする。でも、詳しく訊いて来るから、こっちも、しっかりと意志を伝えたのだが?それは逆効果だった気もするな。
「わ、私には……そ、その、部族の掟があって……だな……」
「オレ以外の男と寝るつもりか?」
「そ、そんなこと!!い、言ってないだろ!?」
「なら、問題ないだろ。オレのモノだけになればいいんだ」
「……ヒドいぞ、こんなの……ぜんぜん、ムードとか、ない」
「悪いな。ストラウスの嫁取りってのは、代々、こんなだ。心底気に入った女を、誘拐してでも妻にしちまうんだよ」
「ヒドい一族よ……それ、野蛮すぎる」
「そうだな。でも、その愛は純粋じゃあるだろう?」
「……あ、愛って……っ」
そうだな。そろそろオレも認めよう。
「オレはリエルのことを愛してるのさ。どんなことをしても、手に入れたいほどにな」
「……っ。い、いきなり……告白するな」
「順番は守っているだろ?子作りする前に告白。一般的だ」
「そ、その過程が性急すぎるよ……」
「まあな。ストラウスは……いや、オレはそうなのさ。乱暴者のバーサーカーに愛されちまったのが、運の尽きだ。あきらめろ」
「……わ、私の……私の心は、確かめないのか?」
「勇敢なお前が、暴れもせずに受け入れてくれてるんだ。訊くまでもねえだろ」
そう言うとリエルは顔を真っ赤にしてしまう。長い耳まで赤くなってるな。
「……言葉よりも、体で表現してくれよ、オレに愛されながら、オレを愛してくれ」
オレはリエルのアゴを指でつかみ、やや持ち上げるようにして。唇を奪う。乱暴にはしない。やさしく、ゆっくりと。お互いの体がもつ熱を交換していくのさ。
エルフの翡翠色の瞳が閉じられて、少女の唇と舌が、オレに応じていた。
オレがしたことをマネしてくれている。リエルは唇を閉じたり開いたりするようにして、自分のやわらかなそれをオレの唇に圧し当ててくる。ずっと怖がるように震えていたが、やがて、そのちいさなピンク色の舌を伸ばして、オレの舌に絡めてくれる。
しばらくリエルの好きにさせていた。彼女の稚拙な愛の奉仕を受けながら、興奮してきたオレは、ゆっくりと彼女の唇から離れていた。
飽きたわけじゃない、もっと深く欲望を満たすコトをしたいからだ。
唇を解放されたリエルは、呼吸が荒い。彼女もまた興奮しているのが分かった。エメラルドの瞳は、熱っぽくなって、オレのことを見上げながら、訊いてくる。
「私は……上手に、伝えられたか?」
「ああ。なかなかのもんだったぜ……でも、もっと欲しいぞ」
「……あ」
オレは上着を脱ぎ捨てていた。傷痕だらけの筋肉質な体があらわになる。オレの戦いの履歴だ。お前の完璧な美を宿す身体と比べて、あまりにも醜いな。ほんと傷だらけの人生だよ。
「……ソルジェ。お前は、たくさん戦って来たんだな」
少女の指が、オレに刻まれた傷痕をなぞってくれる。労りと、好奇心の混ざったような視線で、彼女は自分の指とオレの傷痕がふれあっている部分を見つめていた。
「……この傷は、とても深そうだ。痛かったんだな?……それでも、戦うんだ」
「ああ。これからも、ずっと戦うぞ。死ぬか、全ての敵に勝利するその日まで」
「……そうだな、だって、お前はストラウスだもの」
後悔はないさ、苦しみを誇りに思えという哲学を貫いてきたんだから。でも、たまには癒やされたいのさ。
お前がオレのモノになってくれたら?
オレの人生に、今まで無かった宝物が生まれることになるんだ。
リエル・ハーヴェル。お前をオレにくれ。
獣のような本能で、絆をつくりあげたい。これからの未来のいつにおいても、お前を所有しているという確信を抱いて、生きていきたい。オレの人生に、今まで無かった切り口を持つ意味を与えたいんだよ……。
少女はオレの体から視線をそらさない。ほんとうに、勇敢な子だからな、一度、覚悟を決めたら……未知の恐怖からも逃げたりしないのさ。だが、羞恥はある。もじもじしながら、処女はオレにねだった。
「……ソルジェ……もう、逃げないし、暴れないから……だから。その……あ、灯りをね……消してよ?」
「……いやだ。それじゃ、リエルがよく見えないもん」
「そ、そんなッ……は、恥ずかしいだろう?」
「暗くしても、どうせ、オレは魔眼で見通せるんだぜ?……オレだけ見えて、お前はオレを見れないもの、フェアじゃないだろ?」
「そういうことじゃなくて……」
「綺麗だって、褒めてやりたいのさ、オレのモノになっていくお前のことを」
「……ずるい……そんなこと、言わないでよ」
「それに、見たいんだよ。オレの体に反応して、痛がったり、悦んだり、泣いたり、笑ったりするお前のことをな」
「や、やさしくしろよ……私は、は、初めてなんだから……っ」
「ああ。いろんなところをやさしく責めてから、そのあとで、オレのモノにしてやるよ?それで、いいか?」
「そ、そんなこと、訊くな、ばか……っ。ほんとに、ばか……っ」
「恥ずかしいなら、目を閉じていろ……恥ずかしがるリエルも、可愛いんだから」
「そうだよー。ふだんのクールさと異なる魅力があるよ?」
「……なっ!?」
「……うおッ!?」
オレとリエルは死ぬほど驚いていた。なぜか?そりゃ、今まさにひとつになろうかとしているオレたちを、リュートを抱えたシャーロンが見ていたからだ!!
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