4-14
バイクにつく直前くらいでネックレスがまた光りはじめた。そんなに光は強くない。
「どうしますか?」
颯はミイナに問いかける。
ミイナはバイクに取り付けてあるナビみたいなのをジャンバーのポケットから取り出す。操作をして、颯に見せてくる。
「今の場所をデータベースに入れたからまた来るわ」
「そうですか、その時はまた一緒に行きますよ」
「うん頼りにするよ」
ミイナは今、未来を見たのだ。
「早速頼りにしていい?」
ミイナが上目遣いで颯を見てくる。颯はある程度は慣れたとは言っても、ふいに来られると弱い。
「何ですか?」
照れ隠しのためかぶっきらぼうな言い方になってしまう。
「帰り、運転できる?」
手を胸の前で合わせてお願いという風に軽いノリで言ってくる。
「いいですよ」
ミイナが後ろに乗って当たり前のように颯の腰に手を回してきた。颯の背中に自分自身の体重を預けてくる。
その時になって颯は先ほどは意識しなかったミイナの身体の柔らかさを感じることになったのだ。
帰りのルイミ氷原はブリザードも収まったのか、風もあまり強くなく走りやすいものだった。おかげでミイナと颯の体力はそこからはあまり消耗することがなかった。まるで二人を帰してくれるために自然が作った花道のようだった。
ルイミの域から抜けていつもの公園に戻るころにはすっかりと夜になっていた。
雪の気配はなく、シールドについていた雪も水になりそれもここに来るまでの風で、空気の中に流れていった。
ルイミに行ったことが本当に現実だったのかと感じるくらいに痕跡がなくなっていたが、この時間帯にしては少し暖かいように感じる空気が春の訪れを感じさせるようだった。
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