2-5

 少し走ったところで前にいたミイナが颯のところまでスピードを落として下がってきた。

 そして、颯に

 「話ながら行きましょう」

 と、提案をした。

 颯は頷いた。ミイナがさらにスピードを落とし、歩くのと同じくらいのスピードになった。

 颯もそれに合わせる。

 2人はそのペースを守りながら、話しながら進んで行く。

 「どう、一日やってみて?」

 「運動不足だったんできついです」

 「ごめんね、張り切り過ぎちゃったかな?」

 「いえ、そんなことないです」

 「無理したらダメだからね、怪我したらそれこそルイミには行けなくなるからね」

 正直言って、颯はもうすでに少し無理している。今も会話をしながら走っているので息が上がりかけてきていた。ミイナは颯のその様子を感じ取ったのか、その後は話すこともなく池の周りをゆっくりと颯に合わせたスピードで2周した。

 そしてその後は腕立てと腹筋も昨日よりも回数を減らしてやり、ストレッチもして筋肉にできるだけ疲労を残さないようにしてトレーニングは終わった。

 階段に並んで座ると、

 「今日は来ないかと思った」

 「どうしてですか」

 「昨日少し張り切り過ぎちゃったから、私時々あんな風に目的のために周りが見えなくなる時があるの」

 先ほど走っていた時と同じような言葉を言うミイナの顔は少し悲しそうだった。いきなり行動してしまうというのはやはり本当のようだった。颯を誘ったのもそんな気まぐれに似た感覚だったのかもしれない。

 でも、すぐにその顔を笑顔に変えると、

 「だから来てくれてうれしかった」

 その笑顔を見て颯は、明日も頑張ろうと思った。ミイナのバイクを見送り、その日はそれで解散となった。


 トレーニングを初めて最初の学校の休みがやってきた、といっても自宅学習期間という名の長い休みまであと少しなのであるが。今日は休みだというだけであって普段見かけない小学生なども公園で鬼ごっこやサッカーをして遊んでいる。親子連れも数組見かける

 その日もいつものようにトレーニングをした後だった。

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