きみの嘘、僕の恋心-リアル人狼ゲーム-
幸野曇
1日目
......あれ、何処だここ......?
部屋で眠りについたはずなのに、気がつくと僕は見知らぬ場所で仰向けに寝転がっていた。
夢? 否、夢にしては意識がありすぎる。じゃあここは一体なんなのだろう。
不安が募りながらも、いつまでもこんな事考えていたらキリがない。そう思い、起き上がってみた。
......天井、壁、床、全てが真っ黒。ドア、ベッド、机もあるが、それも限りなく黒に近い色で、この世の建造物とは到底思えない。
ますます不安になった時、部屋中に誰かの声が鳴り響いた。
「おはようございます。突然ですが、この暗黒の館においでくださった皆様には、只今よりリアル人狼ゲームをプレイしていただきます。ドアを開け、広間に集合してください」
アナウンスから聞こえてきたのは、人狼ゲーム......しかもリアル。
本や映画で聞いたことがあるが、なんで三次元に住む僕__皆様って言ってたから、たちだろう__かやらなきゃならないんだ。
「現在、9名中7名が集まりました。残りのお二人は急いでください。あと1分以内に集まらなければ失格、つまり死です」
無機質な声が追って告げた。ドアの向こうからは悲鳴が上がった。死に反応したのだろう。僕も死にたくはない。急いでドアノブを捻った。
広間は個室とは違い、全てが白に包まれていた。
そこに居たのは、僕が通っている高校の制服を着て椅子に座っている7人、ドアの前に立っている人__集まっていなかった人物だろう__が1人。合計9人で、人狼ゲームとしては基本的な部屋といったところか。
そして、机には電源の入ったタブレットが9台。赤と黒を基調とした画面で、いかにも人狼っぽい。
ゲームを一緒にプレイする人には、小学校からの友達である
ここまで見、遅く集まった僕ら2人ご席に着いた所で、またあの無機質なアナウンスが鳴り響き始めた。
「全員の参加が確認されました、これよりリアル人狼ゲームを開始致します。
まず、参加者同士の名前やゲームの経験レベルを確認する為、自己紹介をしてください」
その指示があると、眼鏡女子が口を開いた。
「
名前が聞こえた途端全体からどよめきが上がった。佐藤先輩は、全校模試で1位を取ったと話題になった先輩だ。
その後、自己紹介は淡々と進んだ。
「じゃあ次は私かな!
「城崎早苗です。よくオンライン対戦で人狼をしています」
「東雲
「
「名前は
「は、
気づけば、自己紹介が済んでいないのは僕を含む2人になってしまった。最後は恥ずかしい、そう思い、口を開く。
「
「
彼はそう言って、中指で僕を指した。__野沢和、名前は何度も聞いたことがある。学校イチの不良だ。章汰や椎名さんが震えている。
......暫く待っていると、この場にいる誰のものでもない「えー」という声がした。
「自己紹介が済んだ事を確認しました。部屋構成やルールの説明をします」
無機質なそいつは、長々とした説明を始めた。
部屋構成は、9人スタンダード村の狂人が妖狐に変わっているだけで、4縄3人外。
占い師による初日占いはアリで、狩人は連続して同じ人を守っても良い。いわゆる連ガありだ。2名居る市民は役職騙りNG、初日襲撃もできない。
役職や専門用語説明、夜の行動や昼の投票は、1人1台支給されるタブレットにて確認できる。......ということらしい。
無機質な声は、ルール説明の後に一呼吸置いてこう言った。
「もうすぐ夜になります。各自部屋で役職を確認し、行動してください」
……机の上に置いたタブレット。椅子は無いので立ち見。
さて、自分の役職はなんだろうか。こういうのって素村が一番いい気がするけど。
タブレットに表示された役職名は占い師。……占い師!?
重要役職だ。毎晩一人ずつ、人狼か否かを知ることができる。今回は狼が対抗に出ると思うから、いかに真目を取れるかが村陣営勝利のカギとなる。
この村は初日占い有りだ。情報皆無な中、誰を占おうか。
真っ先に思い浮かんだのは、章汰、城崎先輩、そして東雲先輩の3人。だが、東雲先輩を占うと、仮に黒が出た場合リーダーシップのある彼に負け、あっけなく処刑される未来が見える。……弱虫と思われるかもしれないが、僕はこういう人間だ。そして、現時点で色は一番気になるが、初日に城崎先輩を占うのもなんか恥ずかしい。
消去法で、章汰を占う事にした。
白だ。村陣営確定。
「全員の行動が終わりました。おやすみなさい」
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