元魔剣使いと見習い軍師
alphaw
山賊退治編
第1話 元魔剣使い
もう三日は外に出ていない。本ばかり読んで過ごしている。
俺はイスに座りながら、本を読みふける。これで何十冊目だろう。
本当にいろんな本を読んだ。
政治経済、野菜の育て方、武器の手入れ方法、ホラー小説、冒険記。
しかし、これだけ本を読むと、目が疲れてくる。
目を休ませたい。部屋の窓の外を見る。
窓の外には、いつもの田園風景が広がっている。
畑に、山。のどかな風景だ。
ここは農村だから、みんな昼間は畑で作物を作っている。
太陽の光を、久しぶりに浴びてみるか。俺はゆっくりと立ち上がり、家の外へと出る。
散歩でもしよう。本ばかり読んでて、疲れたし。
日差しがまぶしい。
遠くに見える山の緑は、しばらくぶりに見る。新鮮だ。目に癒しを感じる。
そして俺は外の道をゆっくりと歩き出す。二歩、三歩…。
……?
変なものを見つけてしまった。
なぜ散歩に出たばかりなのに、こんなことになるのだろう。
俺は言葉を失い、その場に立ち止まる。
人が倒れている。道の上に。
その人は、マントを羽織っていて、目は閉じており、ぐったりとしている。
顔も青い。
どうやら息はあるようだ。
旅人か? 行き倒れだろうか?
俺は心配になり、声をかける。
「おい、そこの人!」
「うーん…」
閉じている目が、ぴくぴくと動く。気づいたようだ。
そして、その人は、ゆっくりと起き上がり、俺を見る。目があう。
女の人だ。俺と同じ歳くらいだろうか。
「どうした? そんなところに倒れていて」
「あ、あう…あう…」
女の人は、口をぱくぱくさせている。何を言いたいのかわからない。
だが、困ったような目をしている。
助けを求めているのかもしれない。
「…口をぱくぱくさせていては、何もわからない。
なぜ倒れていた? 病気か? 空腹か? 助けが必要なら、手伝おう」
「あ、ありがとうございます! 空腹なんですっ!」
「空腹か…。俺の家に、多少の食べ物はある。食っていくか?」
「は、はいっ。でも、いいのですか…?」
「俺の家の前で、餓死されても困る。そのボロボロの様子じゃあ、お金も持ってないだろう?」
女の人の服装は少しボロボロで、髪も肌も少し汚れている。
まともな生活を送っているとは、いいがたい様子だ。
「そのとおりです。私がお金を持っていないの、よくわかりましたね」
「…その服装や髪を見れば、まともな生活を送っていないのはわかる。
お金も食料も何も持っていないのだろう。
まあいい。とにかく家に入れ。妹の部屋で休んでいくといい。
お前も餓死したくはないだろう?」
餓死寸前の女性は、ぱっと明るい顔になり、素直に提案を受け入れてくれた。
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