第20話 AIに囲まれた世界〜衝撃な手紙の内容

『さてぇ、今は、何時かなぁ?あれぇ、まだ13時だなぁ。少し、軽く遅めの昼食でも取ろうかなぁ。』

『はい、いらっしゃいませ。こちらのテーブルにどうぞ?』

『はい、ありがとうございます。日替り定食で。』

『はい、かしこまりました。お冷とおしぼりです。』

『ありがとうございます。あぁ、そうだ。黒澤さんから託された手紙を読んでみようかなぁ。』


『拝啓 三村 美香様

 この度は、私の為に一生懸命に『レンタル雇用申請を何度もしましょう?私は心配なんです。助けたいのです。』と頭を下げられましたねぇ?

『私は意地でも、『レンタルはされたくない!』『私は物ではない!』と思っていましたが、スポーツ選手の話をされましたねぇ?

『レンタルは有能な選手しかされません。高いお金を払ってでも、期間が短くとも、欲しいのです。価値があるからこそレンタルされます。』と言いましたねぇ?

『私は、頭を下げてまで、助けたいのです。』と言われた時は、正直うれしい反面、私が寧ろ助ける番なのにと…私の人生を恨みました。

『なぜ、私がこんな人生を歩むのぉ!両親を憎み、自分の身体を投げ捨てたくなりました。』

私は50歳を過ぎた頃に若年性認知症の新薬が発見されてからは雪崩のような勢いで全てを失いました。

最初、若年性認知症が治った。これで障害者手帳は必要にならずに健常者と同じような生活が出来ると思いました。

しかし、まずは障害者雇用で就職したパン屋は解雇になり、続いて、マンションからは追い出され、次の職場が決まらずにホームレスになりました。

その後、何日も街を彷徨うも、コロナウイルスが蔓延し、街はロックダウンされ誰も私を助けてくれないと感じ自暴自棄になっていたところにNPO法人『命の灯火』に救われ、住む場所を提供され、ボランティアのおかげで生活出来ました。

しかし、その頃から、私は自分で食べた物や飲んだ物を覚えて置きたくてゴミを集めるようになりました。その後は、街に行ってはゴミを集めるようになりました。

家の中からは、腐った臭いがするようになり、近所からクレームがくるようになり、米山さんと三村さんに2年前にお逢いしましたねぇ?

米山さんは慣れていたのか『また来ます。』と言われましたが、三村さんは『すいませんでした。』と言いましたねぇ?覚えておりますか?

その後、何度も訪問してくれましたが、居留守を使うようになり、台風の時期にあなたは傘もささずに何度も、ドアを叩き『大丈夫ですか?死なないで下さい。私に話を聞かせて下さい。』と言ってくれましたねぇ?

私は、涙を流しながら、聞いていました。

今更ですが『ありがとうございました。』とお伝えします。

そんな事があったのに、めげずに来てくれてうれしかったなぁ。

その後は、ゴミ屋敷も綺麗になり、アルバムを作って渡してくれましたねぇ?

小さなきっかけですが、それから写真を取るようになりました。


私は、実は残された時間は米山さんから聞いておりました。

あなたは大切な人にお逢いする為に、『レンタルを受けて欲しい。』とレンタル申請の前に電話がありました。

『あぁ、やっぱり、年齢もあるから…やむを得ないとさえ思いましたが、最後の出逢いで私は自分の人生が最高になりました。

まずは、仲良しだった親友(施設長代理)のヨネちゃんに逢えた事。

次に、私を産んだ後に、精神を病んだ母親が現世に蘇って、私と同じような人生を歩み、和解出来た事です。

『えぇ?えぇ!』って、思われますよねぇ?

実は、最後にお逢いした時にあった少女(ゆきちゃん)(笹岡 幸ちゃん)5歳が母の生まれ変わりでした。

私は、ゆきちゃんに初めて逢った時から何処かで逢っていると不思議な感覚になりました。

私と接するようになり、色々な話をするうちに、私しか知らない事を次から次に話を始めました。

しかし、私は信じる事が出来なくて、『止めて!』っと叫んだら…突然、母親の姿になり、私の手を握り、『ごめんねぇ?ごめんねぇ?』と強く抱きしめてくれました。

夢なのか?それとも、幻なのかは解りませんが…目を覚ましたら、ゆきちゃんの手を握りながら私は涙を流しておりました。

最後に、こんな素敵な出逢いは頂き、米山さんをはじめ、三村さんのおかげです。ありがとうございました。』


『はい、お待たせ致しました。日替り定食です。』

『あぁ、ありがとう。』


『今日の日替り定食は少し、しょっぱいなぁ…でも、こんな美味しい日替り定食は格別だなぁ?ありがとう、良かったねぇ…』

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