第16話 AIに囲まれた世界〜申請がおりた。

 『先輩、ありがとうございました。かなり、リフレッシュ出来ました。1ヶ月もゆっくり出来た上に臨時ボーナスに同級生にも連絡を入れてくれて、なおかつ、航空券のチケットまで、何から何まで手配して頂きありがとうございました。身体も心も大丈夫です。』 

『あぁ、良かったなぁ。』

『でも、まさかの『沖縄』とは…』

『えぇ?ダメなのか?旅行といえば『沖縄』じゃないのか?』

『そりゃ、昔は『沖縄』ですけど…。今は、『与那国』ですよぉ。『沖縄』は『コロナ感染症の隔離施設』や『生活困窮者施設』や『母子家庭施設』『アルコール依存症施設』『ギャンブル依存症施設』などがありますよねぇ?それに、『基地の街』でしょ?』

『おいおい、『沖縄』には悲しい過去の歴史や文化が残っているし、見学するには一つにまとまっていた方が楽だっただろ?観光地もまだまだ健在しているし、楽しめただろう?それに1ヶ月の休みには前半の1週間は研修という名目で施設見学をいれないと休みの申請は取りにくいしそれに日頃の疲れが私もたまっていたからなぁ。』

『そりゃ、事前に心の準備が出来ていたらねぇ?でもねぇ、1ヶ月休みになったから、ゆっくりしようと思ったら、3日間後に、研修通知、なおかつ『沖縄』1週間でしょ?『パワハラ』で訴えようと思ったけど、家の前にリムジンが停まって、中では、豪華な食事とお酒にマッサージ。ファーストクラスでの移動でお姫様対応では怒れなくなったわぁ。』

『だろう?とにかく、荒治療が必要だと思ったのさぁ!本来の自分に必要なのは何だろう?誰が待っていて、助けて欲しいのか?もしかしたら、自分自身なのか?などなぁ?』

『そうですねぇ?確かに、大学の講義では話しを聞いたり、映像を見たりしましたが、実際に『沖縄の歴史』や『依存症の施設など』を見学する機会がなかったように感じます。ありがとうございました。』

『それでは、一つ質問です。『ここで何をしたい?』ですか?』

『生活困窮者が抱えている生活を安定させて自立する支援をしたいです。』

『よし!よく言った。なら、大丈夫だなぁ。最後に質問と伝えたい事がある。生まれてから1人3人とすれ違い80歳まで生きたら何人ぐらいの人とすれ違う?』

『えぇ?何ですか、突然?』

『良いかぁ、俺は今、真剣の話をしている、考えろ!』

『87600人ぐらいですか?』

『その通り、流石だなぁ。では、日本の人口は?』

『今は、9250万だったような…』

『それを単純に割ってごらん?』

『0.00094…です。』

『そうだよぉ。0.1パーセントにも満たない。つまり、私達がこの世界で巡り逢い携わっている事は『奇跡』ではないか?『すれ違いの奇跡』ではないかい?』

『確かに、そうですねぇ?『運命』かも知れません。』

『あぁ、ところで、喉が乾かないかい?』

『そうですねぇ?』

『ここを出ると自動販売機がある?君ならどうしたい?買いに行きたいと思うよねぇ?』

『まぁ、確かに、喉が乾いてきて、買いたいと思うけど?』

『では、今、目の前にいる人は?』

『はい、『奇跡』です。』

『素晴らしい。では、私の分も宜しくねぇ?』

『はい、買って来ましたよぉ。』

『ご苦労さま。えぇ、『お汁粉』って…』

『おい、喉が乾かないのかぁ?』

『はぁい?喉が乾いたら、『お汁粉』ですよねぇ?』

『げぇ、『味噌汁』『お汁粉』『お茶』って…なるほどねぇ。では、連休前に申請が滞っていた申請を役所に提出に行ってもらって良いかなぁ?』

『もちろんですよぉ。ところで、レンタル雇用の為の調書は先輩が取ったのですか?』

『あぁ、もちろんだよぉ。最近はレンタル雇用の為の調書も大事な仕事になるからなぁ。』

『では、黒澤さんのレンタル雇用申請書を役所に持っていきますねぇ?』


『ジリ、ジリジリリ…』

『えぇ?いつの間に黒電話?いつ、こんな古い電話設置したかなぁ?とりあえず、出るかなぁ。はい、こちらは地域包括支援センターです。』

『突然、ごめんねぇ。こちらは、あの世相談センターですが、米山さんで間違いないですか?』

『はぁ?あの世相談センター?って…からかっていません?私は忙しいのですが…切りますよぉ。』

『待て待て、驚くのは当たり前だけど…勝手に黒電話を設置したのは申し訳ないが…米山さんしか頼れそうもなくてねぇ?』

『はい?要件は何ですか?』

『米山さん、最近、不思議な経験しませんでしたか?』

『えぇ?』

『よく、解らないなぁ…』

『新田さんの件で別の世界に行きませんでしたか?』

『えぇ、どうしてそれを…』

『実は、プラチナ星で助けてもらった新田さんから、親友の黒澤さんを助けてもらえないかと…プラチナ星から連絡が入りまして。』

『どういう事ですか?実は新田さんの父親の奥さんの妹が実は黒澤さんの母親にあたるらしいのです。百合子さんの母親の峰子さんですが…今は、現世に戻って5歳の女の子になるのですが、百合子さんと同じような境遇にあるので、施設に入っているんです。このままだと不憫でならないので、百合子さんには内緒でレンタル出来るように施設に要望して欲しいのです。』

『なるほどねぇ…でもなぁ。本当に大丈夫ですか?先程、申請に行きましたが…』

『大丈夫ですよぉ。今頃、レンタル申請はおりて、明日にでも、連絡が入ると思います。では、宜しくお願い致します。あぁ、ところで、お名前頂けますか?』

『はい、『あの世相談センター 運命改善士 天音 響です。』こちらからしか連絡が出来ないのでご了承ねがいます。では、失礼致します。ガチャ。』

『えぇ、ちょっと。ツゥ〜ツゥ〜…』


翌日


『米山さん、米山さん。』

『どうした?黒澤さんが、黒澤さんが、レンタル申請が通りました。なおかつ、レンタルされる申請が決まったんですよぉ。あり得ます?88歳ですよぉ。施設長として来て欲しいって。』

『そうかぁ。良かったねぇ?申請前から、色々な施設に電話したり頑張ったからなぁ。』

『ありがとうございます。早速、黒澤さんのお家に行ってきます。』

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