第11話 スポーンロックを発見した

「化身の一撃」


そう唱えると……ステータスウィンドウがポップアップし、こう聞いてきた。


─────────────────────────────────

<どの化身を召喚しますか?>

・ヴァルキリー

・ヘカトンケイル

・(次の化身はLv.15で解放)

─────────────────────────────────


化身、呼べる種類が複数あるのか。

それも、呼べる化身の種類は俺のレベルが上がるごとに増えていく、と。


どっちを呼ぼうかな。

並び順的に、後の解放されたのはヘカトンケイルだろうし……普通に考えて、より高レベルになってから解放された化身の方が強いだろうから、そっちを召喚するか。


そう思い、俺は続けてこう唱えた。


「ヘカトンケイル召喚」


すると……ステータスウィンドウは消え。

かわりに、俺の背後から左右に腕が50本ずつくらいはあるであろう光る巨人が姿を現した。


うお、何だこれ。

その姿に若干圧倒されていると……ヘカトンケイルはその計100本の腕を振るい、ハヌマーンに秒間数百回以上の打撃を浴びせだした。


「ゴギャアアァァァァァ!」


猛攻を受け、ハヌマーンは叫び声をあげたかと思うとすぐさま消滅し、ドロップ素材になった。

直後。

打撃をやめたヘカトンケイルは、徐々に透明度を増していき……その場から姿を消したのだった。



……びっくりした。

まあ何にせよ、勝つことはできたみたいだな。

ほっとしつつ、俺はドロップ素材を回収するため飛行の高度を下げていった。


ドロップ素材を回収しながら、今の攻撃の消費魔力を確かめる。

確認すると、消費魔力は約2200だったので……俺は、このスキルは切り札的な扱いにしようと心に決めた。



素材の回収を終えると、俺はまた次のターゲットを探すために「第6のイーグルアイ」を発動する。

そして次のターゲットを定めると、俺は飛行スキルで高度を上げていった。

今度のモンスターは警戒度ゼロ判定なので、ハヌマーンよりは弱そうだな。

などと思いつつ、俺は移動しようとしたのだが……俺はふと、地面に怪しい雰囲気を放つ石を見つけたので、一旦移動を止めた。


「何だ、これ?」


石を拾いつつ、俺はその石に対して「鑑定・極」を発動した。

すると……その石は、モンスターを定期的に発生させる「スポーンロック」という石だということが分かった。



「こんなのが、モンスター発生の原因だったのか……」


おそらくこれ、即座に破壊した方がいいな。

世界中でモンスターが発生している以上、これ一個破壊したところで焼け石に水かもしれないが……モンスターを撲滅させようと思ったら、こういう地道な事から始めるより他無いんだしな。


そう思い、俺はスポーンロックを空高くに放り投げた。

そして……


「アークストライク」


俺はありったけのMPで最大級の雷撃を放ち、スポーンロックを粉々に粉砕した。


鑑定にも映らなくなったし、無事破壊できたみたいだな。

そう思っていると……スポーンロックが粉砕した場所から水晶みたいなものが出現し、落っこちてきた。


モンスターだけじゃなくて、スポーンロックからもドロップ素材って落ちるのか……。

まあモンスターを生み出す石なんだし、そんな不思議なことじゃあないか。


そんなことを考えつつ、俺はMPが復活するまでしばし休憩することにした。





スポーンロック破壊から6分が経過しMPが満タンになると、俺はモンスター狩りを再開した。


しばらくは警戒度ゼロ判定のモンスターとの遭遇が続いたが、そろそろ換金所に行くために引き返そうかという時間になって、俺はハヌマーンと同格かちょっと強いくらいのモンスターを1体見つけて倒すことができた。

ちなみに倒したのは「スレイプニル」というモンスターで、闇属性攻撃が効きやすいとのことだったのでカオスストライクで倒しておいた。


その後は、俺は「掃魔集会」の帰還時間に合わせるため、かなりの速度で飛行して換金所へと急行した。

換金所に着くのは、俺の方が若干早かったようで……俺が到着してから10分くらいで「掃魔集会」のみんなも帰ってきて、俺はリーダーと再会できた。


「どうだった、今日の一日は。いい獲物獲れたか?」


「まあ、それなりに収穫はあったと思います」


そんな会話を経つつ、俺はリーダーと換金所の中へと入っていった。


いよいよ換金か。

果たして本当にリーダーやナビ役の人が言うようにたくさん稼げるのか、楽しみだな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る