第4話 もう12回ガチャを回しました
ポイントトランザクションに会員登録してから、ちょうど30日が経過して。
俺はまた、くじ引きチケットを30枚集めることができた。
ポイントトランザクションでお金(に換算できるポイント)を集める方法の一つに、デイリーミッションというものがある。
デイリーミッションの内容は「広告動画を8個視聴する」というもので、これをこなすと1日1枚くじ引きチケットを手に入れられるのだ。
毎日ちゃんとミッションをこなしていれば、30日でくじ引きチケットが30枚手に入る。
「くじ引きチャンス!」はくじ引きチケット30枚で引けるので、だいたい月に一回ほどくじを引くことができるというわけなのだ。
「さて、今回は何円手に入るかな……」
前回の「くじ引きチャンス!」では、なんと最高当選額の12万円を引き当ててしまった。
だが……流石にそんな奇跡はもう起きないだろう。
次は最低当選額の100円が当たるのが関の山だろうな。
俺はそう思っていたのだが……
「……え、また!?」
俺はまた最高当選額の12万円を引き当ててしまい……思わず素っ頓狂な声でそう叫んでしまった。
……俺、これでもう一生分の運を使い果たしてしまったんじゃないだろうか。
厄年とかどんな目に遭ってしまうのか、今から恐ろしくなってくるな……。
そんなことを思いつつ、俺はサイトの出金申請フォームから12万円を自分の口座に移した。
◇
「……で結局、ここに来ちゃうんだよなあ」
そして次の日……口座から下ろした12万円を片手に、俺はガチャマシーンのところに来ていた。
なんか……最近、棚ぼたで手に入った金の使い道がこれに固定されてしまっているような気がするな。
まあ「この12万円何に使おっかな♪」などとワクワクしながら妄想を繰り広げたりしてると金銭感覚が狂ってしまうだろうから、このやり方は理にかなってるとは思うのだが。
ガチャのスキルにしたって、全部が全部使えないってわけじゃなかったしな。
先月引いたガチャの中で言うと、「透明化」「極・低燃費高速飛行」あたりは個人的にかなり有能な部類だった。
「極・低燃費高速飛行」のお陰で今となっては空を飛んで通勤できるようになり、ガソリン代の節約と通勤時間の短縮が可能となった。
1年間のガソリン代を5万円と仮定すると3年半ちょいで今までのガチャ代をペイできる計算になるので、これでようやく今までガチャにつぎ込んだお金が「無駄じゃなかった」と言えるんじゃないかと思う。
そして「透明化」だが、これのお陰で「空を飛んで通勤する」という絵面を他人に見られずに済む。
別にスキルが存在するようになった世の中で空を飛ぶくらい何のことはないかもしれないが、まあプライバシーが保たれるというのはありがたい話である。
と言っても、18回もガチャを引いておいて2個しか有能なスキルが無いというのは、いささかどうかと思うのだがな。
長い目で見たら元は取れてるとはいえ、全体的に見たら俺のガチャ結果はあまり良いものとは言えないんじゃないかと思う。
ま、タダ同然で手に入った金で回す分には、そんなんでも十分だけどな。
などと考えつつ。俺は諭吉を紙幣投入口に入れ、ガチャを引き始めた。
ガチャの結果……出てきたのは、こんなスキルだった。
【★6】鑑定・極
【★6】エクサグラビティ
【★6】固定ダメージ
【★6】カオスストライク
【★6】聖隕石
【★6】大狂乱
【★6】ショックウェーブ
【★6】アイテムボックス
【★6】魔法神の加護
【★6】ど根性カウンター
【★6】アーティファクト装備枠追加(×2)
……相変わらず★6しか出ないな。
いつかは乱数調整を超える「★8」とか「★9」とかを引く日が来るのだろうか?
……じゃねーよ。
何またガチャを引く気になってんだ。
これはあくまで、棚ぼたで本来手にするはずでなかった金を持ったから引いてるだけなんだぞ。
ともあれ、ステータスを確認してみる。
俺のステータスは、こんな感じになっていた。
─────────────────────────────────
北野 悠人
Lv.3
HP 170/170
MP 3000/3000
EXP 192/800
●スキル
<アクティブ>
【★6】名人級付与術
【★6】第6のイーグルアイ
【★6】透明化
【★6】極・低燃費高速飛行
【★6】実体消去
【★6】名人級錬金術
【★6】四属性魔法
【★6】四属性特殊魔法
【★6】アークストライク
【★6】化身の一撃
【★6】ディスラプター
【★6】鑑定・極
【★6】エクサグラビティ
【★6】固定ダメージ
【★6】カオスストライク
【★6】聖隕石
【★6】大狂乱
【★6】ショックウェーブ
【★6】アイテムボックス
<パッシブ>
【★7】乱数調整
【★6】異邦耐性
【★6】寝る子は育つ
【★6】神癒の寵愛
【★6】身体神の加護
【★6】全環境適応
【★6】融合魔法の素質
【★6】魔法神の加護
【★6】ど根性カウンター
【★6】アーティファクト装備枠追加(×2)
─────────────────────────────────
……何だかんだで、随分と手持ちのスキルが増えてしまったな。
確かにここまでくると、一覧で表示されるのは便利だと思えるようになってきたぞ。
ちなみにレベルが上がっているのは、パッシブスキル「寝る子は育つ」の影響である。
スキルの中には、ステータスウィンドウの文字をタップする事で詳細を見れるものもあるのだが……「寝る子は育つ」を確認したところ、このスキルは「1時間の睡眠につき、レベルアップの必要経験値の1%を手に入れる」というものだったのだ。
俺の睡眠時間は1日だいたい7時間だし、このスキルを手に入れてから30日ちょいが経つので、確かに計算はあっている。
まあ、レベルを上げたところで何になるのか不明な以上、これが良いスキルなのかどうかは判断がつかないのだがな……。
ともあれ、俺は決めてた回数のガチャを引き終わったので、これにて帰宅する事にした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その夜。
世界中に、おびただしい数の流星群が降り注いだ。
流星群の正体は、隕石。
それもただの隕石ではなく……その全てが、特殊な性質を持つ鉱石を含む隕石だった。
今回の流星群で降ってきた隕石に含まれる鉱石は、「スポーンロック」というもの。
スポーンロックというのは──「酸素に触れている限りモンスターを生成し続ける」という特徴を持つ鉱石だ。
隕石自体は大気圏突入の過程で小石サイズにバラバラになっていたため、一つ一つの隕石の破片が持つ運動エネルギーはたいして大きくなく、降ってきたこと自体による街への被害などは特に無かった。
だが今後、地上では大量のモンスターが生まれ続けることになる。
そして……もう一点。
この日を境に、世界各地に存在していたガチャマシーンは、一斉にその姿を消したのだった。
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