#27 テンシとおしゃべり
15日目。
200万DP貯まった。
このところやることが多くて使うタイミングを見失っていたが、せっかくだから、そろそろ何か買いたい。
「テンシ、この金額帯でオススメはあるか」
【100~200万で最も人気が高いのは、ブラックシード、ウォールオブデスリングの2点です】
俺は最近小天使の活用方法を知った。
いや、最初に聞いてはいたが、全然わかっていなかったというべきか。
ガイド小天使はこうして、リストに関する質問をするときっちり答えてくれる。
リストに関することじゃない場合は、すごくファジーになるのだが、それはそれで面白かった。
生きたスマホの音声AIみたいなものだ。
「へい、テンシ。好みの男性のタイプは?」
【少なくともあなたではありません】
「へい、テンシ。好みの男性のタイプは?」
【何度も同じ質問をしない男性です】
なかなか楽しい。とはいえ、ふざけるのはこの辺にして、さきほど紹介されたアイテムをチェックしてみよう。
ブラックシードは150万もする使い切り型の魔法の種だ。
植えることで強力な植物モンスターを扱うことができる。
150万の使い捨てアイテムとはかなり豪勢だが、そうだけ有能なのだろう。
上位の冒険者が頻繁に購入するアイテムらしい。
その故の人気トップだとか。
ウォールオブデスは、呪いの壁を生成する魔法だ。
呪いの壁は全く防御に使えないが、通過した生物を死に至らしめる極めて有能な攻勢防御魔法らしい。
問題は極めて難易度の高い魔法で、普通にこの魔法を習得しようとすると、10年以上かかることらしい。
それがお手軽に使えるというわけでリングの人気が上がっているそうな。
こうして聞いてみるとリストを眺めているだけではわからない有益な情報がたくさんだ。
これで、はたからみて独り言をつぶやいているように見えなければ、もっと良かったのだが。
さて、それでは本題。
俺が購入したいアイテムの評判についても聞いてみよう。
「テンシ、精霊使いのリングの購入数はどれくらいだ?」
【0件です】
?が頭に浮かんだ。
「テンシ、先ほどの0件はいつからいつまでの期間の話だ」
【800年前に、リストにアイテムが追加されてから今までの期間、購入された件数です】
……。
「テンシ、ウォールオブデスリングの購入数はどれくらいだ?」
【326821件です】
おおう、精霊使いのリングは驚くほど人気がなかったよ。
精霊使いはメジャーじゃないとは聞いてたけど、これほどとは。つーかウォールオブデスリングは買われすぎだろ。
「テンシ、精霊使いのリングが買われていない理由はわかるか」
【わかりかねますが、あなたは物好きですね】
リストに関する質問なのに、妙な含みが返ってきた。
「テンシ、俺が物好きってどういうこと」
【自分の胸に聞いてみると良いでしょう】
こいつぁ辛辣だなぁ。なかなか楽しくなってきたぞ。
前よりも好きになったかもしれない。
しかし、精霊使いのリングの購入数0か、これはある種買うなと言われているようなものだ。
だが逆に、だからこそ俺は買うつもりになっているのだが、可能なら保険はかけておきたい。
(誰かから小精霊について話を聞けないものだろうか)
俺は酒場の客として、最近顔見知りになったエルフに話が聞けないか検討をはじめていた。
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