#13 2F突入

【300体撃破ボーナス!10000DP獲得しました】


 1Fはだいぶ慣れてきた。

 マジックミサイルリングのフル稼働により、安定して狩りを行えている。

 加えて今回土壁のリングも追加してみたところ、敵を遮ることができるので、戦闘に余裕が持てるようになってきた。


 先日、マジックミサイルリングを増やさざるをえなかった理由の一つに、ネズミの群れの対処がある。


 ダンジョン内の敵は基本ばらけているが、まれに鼠が5匹くらいまとまることがあるのだ。

 索敵リングで事前にわかることもあるが、身を寄せ合ってひと塊になっていることもあり、なかなか回避しづらかった。

 そして、そういうときに限って1匹素速いのが混じっているのだ。


 土壁リングを購入する前は、マジックミサイルを5発同時発射で対処してきたが、今は土壁をはって、その上からゆっくり対応している。

 しかし、トロい鼠だなぁとは思っていたが、壁を登れないとは。

 生物的には、失敗しているようにしか思えなかった。


バシュ、ヒグゥ

【41DP獲得しました】

 小天使が、今回の敵から40DP以上獲得したことを告げた。

 鼠で40DPを超えたら上位種だ。

 以前より安全に対処できている。1Fはもはや安泰だろう。


 先ほどのネズミを倒したところで、本日のマジックミサイルの残りは50。

 ちょうど半分になったところで、俺は次の段階へ進む決意をした。

 2Fに進むのだ。

 ソロで失敗すると、すぐに死につながる危険性があるが、イハルの話とギルドの攻略書情報によると、まだ安全マージンはとれる可能性は高い。


 俺は事前に見つけていた、2Fへつながる通路を下る。

 このダンジョンに階段はない。

 壁も不整刑で基本どこにも人工物っぽいものは見つける事ができない作りだ。

 この通路も石のヒダが無数にある緩やかな下り坂で、腸が石になったような通路を通っているという表現が一番近いだろうか。


(ダンジョンは魔神の体の一部か)


 そうすると、今まさに腸を通っているのだろうか。

 そう思うと、一瞬壁が動いたように見えたが……気のせいだった。

 少々おびえすぎかもしれない。

 

 下り終わると1Fと似たような通路が見えた。

 見た目は同じだが、もうここからは2F、相当な注意が必要だ。

 俺は周辺の道を見渡すと、再び元きた通路へ引き返した。

 俺が所持する索敵リングはLv1で2Fには対応していない。

 Lv1とは1Fの1だ。

 2Fの敵を把握するにはLv2が必要だった。

 索敵リングLv2を購入し付け替えると、すぐに周辺に敵の反応を見つけることができた。

 かなり注意深く見たつもりだったが、やはり索敵リング無しには無理なようだ。

 俺は近くに岩蟹を見つけると、いつも通りこん棒を振り下ろした。


ガツン


 いつもより硬い感触と共に体液をまきちらし岩蟹が砕け死ぬ。


【76DPを獲得しました】


 話に聞いていたとおり、ここはめっちゃ美味い。倍の効率だ。

 2Fの魔物は強さが上がり獲得DPが70~100に跳ね上がる。


 敵の強さは瘴気の量によって変わるらしい。瘴気は魔神の本体に近いほどに濃く、離れるほどに薄くなる。

 同じ魔物でも、濃い瘴気によって作られると、この通り各段にDPが良くなるわけだ。

 その分、切断力も上がっていて万が一引っかかったときの危なさも跳ね上がっているらしいが、索敵リングの前には無力だ。ただのおいしいザコでしかない。


(この階で延々と、岩蟹相手にしたいなぁ)


 俺はこん棒を構えながら、敵の反応のある位置へゆっくりと歩きだした。




―――――――――――――――――――――――


■魔法解説「ウォールオブアース」

系統   :土

呪文構成 :生成1以上+操作1以上

距離   :5M+α(操作レベル)

目標   :距離内の認識位置

消費魔力 :50


概要:

 この魔法は詠唱者が望む土質から成る壁を作り出す。

 この壁は8cm程度の厚さがあり、手を加えなければ一辺2メートルで生成される。当然魔力を込めれば量も増え、操作に仕方によっては厚さ長さを変えることが可能。レベルが高くなれば、詠唱者の望むどんな形にも作り出すことができる。

 やり方によっては、生物を閉じ込める形で壁を作り出すこともできるが、少なくとも5以上、上級レベルの腕を問われる。生半可な技術で実行すると周囲に土をまき散らすだけになってしまうだろう。

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