グローズファイア ブルートシックス編

ハイド博士

 プロローグ

 すべてその老婆はもとい若く見える老婆には見えているのかもしれない。


少女の名をシル・フィールズという。彼女はまだ幼く何の取柄もない少女にしか普通の男たちには見えなかった。しかし、レプノスは確かに解っている。感じ取れるのだ。すべてはあの峠から始まった。



   (アーク暦 21696年 初夏)


 そこは近づいちゃいけないよ、そう呼ばれている有名な峠があった。

その峠はシュミット峠という。 山賊たちが好き勝手している峠


そんな場所に少女は一人歩いていた。年の頃は六つほどの少女でそんなどこにでもいそうな少女が歩く場所ではなかったのだ。そこには三人の山賊がいた。その一人が


「おーい、おねいちゃん。こんなところをうろついていてはいけませんヨ」


しかし、馬鹿だったのはその少女の方ではない。むしろ山賊さんたちの方だった。


「…… …」  無言の少女 少し先には誰か歩いてくる気配がしている。


山賊はしびれを切らして腕をつかんだ


刹那、その腕は無残にもへし折られていたのだ。


「ぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃぁぁ」  叫ぶ山賊

「な、ナニが 起きやがった」

「くそ尼が」


それを見ていたもうひとりの女


【やはりな 上奴は】

「わしの名は レプノス レプノス・サムタリアオ おぬしの名は?」


少女もすぐに察していた。その杖を突いたオバサンはそう言い放った。

すると少女は


「私の名は知らない まだ付けられていない」


と。

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