百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.9-189 武闘大会、開幕! 暴風雨のバトルロイヤル。 scene.4
Act.9-189 武闘大会、開幕! 暴風雨のバトルロイヤル。 scene.4
<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>
「オスクロ、エドヴァルト! 仕掛けるぞ!」
「『「
「我が背に背負いし三つの『怠惰』の権能、《
ノイシュタインとオスクロは狙い通り拮抗して消滅、エドヴァルトは僅かに拮抗したものの押し切られてそのままブレスを直撃で浴びた。
「……聞いたことがねぇぞ、水の
「そりゃ、今まで存在しなかったですからねぇ。実は琉璃にお願いされて
「つまり、アネモネ閣下の
「ヴァケラーさん、従魔だから、魔物だから強いという訳ではありませんからね。実際、ランキング上位には魔物以外もいますし」
「いや、あの人達は一括りで人外ですから、まだ人間の領分に留まっている俺じゃ勝てませんって」
「じゃあ、辞めましょう。人間」
「……やっぱり人間辞めないと上位には行けないのですか」
まあ、ヴァケラーの考え方でラインヴェルド達が人外なら、人間辞めるしかないんじゃないかな? ボクはあれでもギリギリ人間の領域だと思うけどねぇ。化け物じみた強さではあるけど化け物ではないと思う。
「ところでヴァケラー殿だったか? お主、闘気とやらを使えるようじゃな?」
「あっ、はい。基本的に多種族同盟の上位層はみんな扱えますね」
「アネモネ殿は未だにその使い方を教えてくれないのだ。その使い方を我に教えてはくれないか?」
「……いや、アネモネ閣下が教えないということは何かしらの意図が」
「アネモネ殿は我が裏切る可能性を恐れているのじゃろう。これでも八賢人が一人、現身であるこの魔法少女の身体も別格の力を持っておる。それが更に力を得て敵に回る可能性を未だに危惧しておるようじゃが……いい加減に認めてもらいたいものだ」
「……全く心外ですね。教えて欲しいと言われなかったから教えなかっただけですよ。流石にもう信頼してますって。……まあ、これ以上力をつけられると万が一敵対した時に始末が大変だなぁ、とは思いますが」
「……アネモネ閣下、それって結局信頼してないってことじゃ」
「では、こうしましょう。ヴァケラーさんがノイシュタイン卿に闘気の使い方を教えてください。ただし、このバトルの中でのみという制限を設けさせて頂きます。もし、ノイシュタイン卿の『王の資質』が覚醒すればヴァケラーさん達にとって追い風となること間違いなしでしょう。勿論、率先して私はお二人を狙っていきます」
「……鬼畜過ぎじゃないですか! 無理ですって! アネモネ閣下の攻撃を掻い潜りながら闘気の扱い方を教えるなんて――」
「それでは開始です!」
「聞いてないし!!」
ノイシュタインが下がり、ヴァケラーとノイシュタインを守る形でオスクロとエドヴァルト、アトラマが前に出た。
クレスセンシアは動かなかったけど、逆に言えばいつ仕掛けてくるか分からないということ。……とりあえず、オスクロとエドヴァルトを先に落としちゃおっかな?
『喰らうがいい!
「撃ち抜けッ!
「細やかながら援護します!
オスクロに魔力を分け与えてもらったエドヴァルトが先程より強力なブレスを放ち、オスクロは無数の漆黒の光条のようなものへと分裂し、紡錘形の輪郭をなぞるように敵に殺到するブレスをボクに向けて放った。
そこに、指に膨大な風の魔力を収束して弾丸のように打ち出したアトラマの攻撃が加わり、三人による同時攻撃となる。とはいえ……。
「光を超えた速度で斬られたことはあるかな? 圓式極速斬!」
《血動加速》と圓式の斬撃を合わせた「
繰り出される埒外の斬撃は双刀に纏った光の力で光の斬撃と化し、それが飛ぶ斬撃と化して放たれる。
ボクの斬撃は光を超えた速度でブレスを突破し、オスクロ、エドヴァルト、アトラマに命中――エドヴァルトとアトラマは耐え切ることができずに無数のポリゴンと化して消滅し、辛うじて耐え抜いたオスクロも満身創痍の状態になった。
「たった一撃で……あれは、本当に斬撃なのですか?」
『くっ、軟弱な……しかし、我は攻撃を耐え切って見せたぞ!』
「あの、すっかり勘違いされているようなので言葉にしますが……今の攻撃は通常攻撃です。次は双刀で斬撃を放ちます。さっきの比じゃないですよ?」
「……くっ、時間が無さ過ぎる! オスクロさんも次で落とされてしまうだろうし、口頭で説明している暇は……あっ、そういえば闘気と霸気の使い方を纏めたメモがあった! コツを掴むために練習していた時に忘れないようにメモをしていたんだけど、あれってどこにしまったっけ……」
ノイシュタインが闘気と霸気の扱い方を学び終える前に全員仕留められるかと思ったけど、まさかヴァケラーが闘気と霸気の使い方を纏めたメモを持っていたとはねぇ。
二度目の双刀による斬撃でオスクロにトドメを刺した時には時空魔法を使って四次元空間から目当てのメモを見つけ出し、ヴァケラーはノイシュタインに手渡してしまった。
「相手は求道神……聞くところによると、単一宇宙レベルの強度を持っている。そんな相手に俺の霸気が通用するとは思えませんが、一縷の望みに賭けてやってみるしかないでしょうね。……クレスセンシアさんはどうします? 諦めますか? 本気を出していないのであればクレスセンシアさんにも勝ち目があったと思いますが、あれはもうダメです。無謀な戦いだからと降参しても貴女のことを誰も笑いません」
「……先程までの言動がいかに身の程知らずだったのか、思い知りました。……あまりにも格が違い過ぎる。それをパーティに勧誘しようだなんて……ソロで活動するということは、それ相応の実力があるということ。私は心のどこかでアネモネ閣下を軽んじていたのでしょうね。……でも、ここで引くつもりはありません。私にも意地があります」
「ここで降伏する、などと言い出したら見損なうところでした。……三十秒だけ待ちます。その間、私の方からは攻撃しません。ただし、三十秒経過後は永続回復魔法を使用した後に十二振りの剣で『ジャガーノート・ソード』……つまり、『クレイジーミーティアバニッシュ-ジャガーノート-』を使用します」
「……実質、死の宣告ですね」
「大丈夫です。私は三十秒間反撃はしないのですから霸気の防御を突破して攻撃を浴びせればそれで済む話ですよ」
ノイシュタインがヴァケラーから手渡されたメモを読む中、ヴァケラーが『
「
「緋剣流・紅一閃」
ヴァケラーは得物に聖属性の魔力と稲妻のように迸る膨大な覇王の霸気を纏わせた状態で上空で振り回し、ボクの頭上から振り下ろす。
一方、クレスセンシアは素早く鞘から『緋刀エカルラート』の刀身を引き抜くと同時に真紅の斬撃を放ってきた。
ボク目掛けて飛んでくる紅の飛斬撃の正体は膨大な魔力。どうやら、『緋刀エカルラート』には持ち主のを強制的且つ過剰に引き出して斬撃に乗せるという効果があるらしく、これまでの使い手達は魔力を全て吸い取られた挙句、生命力まで魔力に変換されて吸収され、乾涸びてしまったらしい。
クレスセンシアがこの刀を扱えるのは、『緋刀エカルラート』を制御できるだけの力を持っているから。
冒険者の基準で行けば、クレスセンシアは猛者なんだよ。というか、普通にボクの発する霸気で気を失わない時点で冒険者の中でも上位層に区分されるんだけどねぇ。
クレスセンシアとの勝負を受けたのも、ボクの霸気を耐え切ることができたから……というか、意識を失うかギリギリのラインで威圧しても気づいていないレベルだったから素質はかなり高いと思うんだよ。是非とも欲しい人材だよねぇ。
「……これは流石にないですよ。頭に思いっきり振り下ろしているのに血の一滴も流れないとか」
「そんな……大量の魔力を込めた斬撃なのに」
「霸気の練度が少し低かったですね。まあ、でもヴァケラーさんはやっぱり強くなっています。次に手合わせする時にどこまで強くなっているか楽しみです。――では、三十秒経過したのでこちらから仕掛けます。
治癒の光でHPを回復するスキルカードを百枚設置する神聖属性魔法「
その後、二度目の攻撃を仕掛けようとするヴァケラーとクレスセンシアに向かって十連撃の『クレイジーミーティアバニッシュ-ジャガーノート-』を浴びせて二人を絶命に追い込む。
ヴァケラーとクレスセンシアを撃破し、この付近にいる敵はノイシュタイン一人になった……けど、どうやらノイシュタインもこのタイミングでメモを読み終えたらしい。……どうやら、間に合わなかったみたいだねぇ。
「理論は分かった。後は実践できるかどうかだな。アネモネ殿と戦いながら試していくしかないというところが不安要素だが、仕方がない。――行くぞ!
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