百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.8-9 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。 scene.3 上
Act.8-9 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。 scene.3 上
<三人称全知視点>
ラルが大将を務めるパーティは極夜の黒狼のメンバーであるペストーラ、スピネル、チャールズ、ポルトス、カルメナという長い付き合いのメンバーにド=ワンド大洞窟王国の幹部の一人で暗部の長と侍女長を務めるエリッサ、元ラピスラズリ公爵家の庭師で【血塗れた緑の手】という異名を持つユリア、アクアに代わりローザの専属メイドを務めるシェルロッタ、荒事にも対応できる王子宮筆頭侍女のレインと高い実力を持つ暗殺者を集めた構成になっている。
初戦の対戦相手が多種族同盟最強を誇るローザに加え、ローザの騎士である
一人で出場しても当選勝ちを浚っていくだろうローザが更に厳選したメンバーを揃えた絶望に等しいパーティに対抗するために、ラルは戦力を分散させず、全員で敵本陣を見つけ出し、攻め落とす作戦に打って出た……のだが。
『……案外簡単に見つけられたものだな。全員揃っていたか』
『マスターに任せてもらったからにはしっかりと勝利しないとね! 僕もご主人様からもらった新しい力、お披露目できる日を待っていたんだ!』
ラル達の侵攻を察知したように現れたのは二人――桜色の変身能力を持つメタモルスライムのペルちゃんと金髪の
「これまた厄介な人がお出ましだね。……久しぶりだね、ペルちゃん。しかし、あまり戦っているところを全く見たことがない貴方が参戦するとは思わなかったんだけど」
『僕だってずっとご主人様の役に立ちたいって思っていたんだ。その願いがようやく叶ったんだよ! 僕はもう弱いスライムじゃない……それを今回のトーナメントで証明して見せる!』
ペルちゃんから放たれるプレッシャーは
それもその筈、ペルちゃんもまたこの五年で新たなる力を与えられ、新たなる境地に到達したのだから――。
HP:10,000,000
MP:70,000,000
STR:40,000,000
DEX:40,000,000
VIT:40,000,000
MND:40,000,000
INT:1,000,000
AGI:3,000,000
LUK:3,000,000
CRI:3,000,000
▼
通常、召喚獣は戦闘力の低いミニオンランクというランクに設定されている。
召喚系職業がパワーバランスを崩さないための設定であり、異世界化後もこの設定はそのままあり続けた。
そこで、ローザはこのミニオンランク制限を取り払うためにペルちゃんとの契約を一旦破棄し、先達結晶や進化輝石、更には期間限定の課金アイテムだった種族結晶までも使用し、
つまり、現在のペルちゃんはエヴァンジェリンにも匹敵するフルレイドランクの魔物ということになる。能力の性質を考えれば、エヴァンジェリンよりも遥かに汎用性が高く厄介であると言えるだろう。
『
ペルちゃんの影が二重にブレ、影の姿がリーリエの姿を取ると同時に、その姿も緋色の瞳と濡れ羽色の艶やかな黒髪を持つ黒百合をイメージしたドレスを身に纏った白肌の十代の美少女――リーリエのものへと変化する。
しかし、変身の方法こそ違うものの、ペルちゃんが見た目だけは完璧に変身することができることを知っているラルはそれ自体には驚かない。
だが、ラルはその瞬間にペルちゃんを脅威と判断した。
その圧倒的な覇気や纏う風格までは再現されなかった……が、その力が見かけだけではないことをラルは見抜いていたのだ。
「どうやら、見掛け倒しってことはないみたいだね」
『僕の
「随分と強気に出ましたね、ペルシウム様。……その力、この私シェルロッタがしかと確かめさせて頂きましょう。世界停止魔法-ザ・ワールド・クロック・ロック-」
『
「そう来なくては! 九蓮宝燈!」
時の止まった世界で自分だけが動くことができるシェルロッタと時空の支配を脱した
『ダークマター・フェイク!』
「そう来ましたか。しかし、魔力弾を消し去ったところで戦いは好転しませんよ! 国士無双、
火、水、風、土、金、光、闇の七属性の東洋竜を同時に顕現し、流星の如く空から降り注ぐ。
『
「なるほど……そう来ましたか」
その全ての攻撃を
「……本当に厄介極まりない能力だ! だからこそ、ワクワクします! 実に殺し甲斐があるッ! 模倣四凶魔法/
二つの角を持つ土の怪物、巨大な水竜、長い髪を持つ女のような暴風、マントを翻す炎の魔人が出現し、四方向から同時に攻撃を仕掛ける。
かつて自らの命を奪ったカノープスが使用した四属性のオリジナル魔法――その技を一度見ただけで再現して見せたシェルロッタはやはり規格外の魔法の才能を持っていると言えるだろう。
『吸血姫の翼、
「認めましょう! 貴方は強い、リーリエ様の力をよく再現している。しかし、やはり未熟ですねッ! リーリエ様ならもっと効率よく特技を扱ってみせますよ! 魔力式身体強化――黒空穴」
空間魔法を駆使して無数に空間同士を繋ぐ黒穴を設置、魔力と武装闘気でその身を強化すると、その穴に飛び込み、降り注ぐ剣を次々と躱しながら加速していく。その速度は音速を優に超え、更に光速に近づいていき――。
「――さあ、そろそろ幕引きと致しましょう」
『
「それは無意味な攻撃ですね。これでチェックメイトです、模倣分解魔法・
ペルちゃんの撃破を確認したシェルロッタは光速落下の衝撃を持ち前のセンスで受け流し、落下によって生じた巨大なクレーターの中心に無傷で立つと同時に「世界停止魔法-ザ・ワールド・クロック・ロック-」を解除した。
◆
「さて、私の領分は終わりました。後はよろしくお願いします」
味方であるラル達すら呆気に取られる中、異様に厚みのある黄色く鋭い爪を手袋で隠したシェルロッタはエヴァンジェリンとの戦いの意思を見せず後ろに退散した。
「では、エヴァンジェリンさんの相手は私とレインさんで務めることにしましょうか?」
「えっ…………あっ、はい」
拒否する間もなくユリアに名指しされ、レインは不承不承武器を構え、水を纏わせた。
「私もお供します」
「エリッサさん、ありがとう。心強いわ」
『三対一か。ペルシウム殿の仇を取るためにもここで三人くらいは落としておきたいな』
『
『漆黒無双両太刀・
「
レインの刀から猛烈な水が吹き出し、空中で弾けて地面に落下――落下地点から激しい水柱が次々と発生し、エヴァンジェリンの放った漆黒の竜巻のような斬撃を受け止め、四散させる。
「トビハリネズミちゃん、お願いね。
ユリアが柔らかい微笑みを浮かべてトビハリネズミに口づけをすると、空中に放り投げ、つ。鋼鉄すら切り裂くほどの硬度を誇り、丸鋸のように回転するクレマチスを放った。
トビハリネズミは生体魔力を引き合って、群れの中であれば自由自在に空間を行き来する力を持つ。
その力を駆使していつの間にか放たれて、エヴァンジェリンの背後にいたトビハリネズミの元に危険を察知して転移したトビハリネズミと共にクレマチスが出現――狙い通りエヴァンジェリンの背後から回転するクレマチスが襲い掛かる。
『背後を取ったところで私は倒せんぞ! 漆黒無双右太刀・
刃に黒い雷を奔らせ、無数の黒い雷撃を放つ一刀流技に武装闘気を纏わせてクレマチスを一閃。
「――ッ! トビハリネズミちゃん、巨大化ッ!」
『無駄だ、漆黒無双左太刀・
巨大化し、針と巨体で攻撃を仕掛けようとした二体のトビハリネズミを背後を一回も振り返らないまま漆黒の靄のようなものを纏わせた片刀で放った連続突きで撃破した。
エリッサは愛用している鉄扇を右手に構え、武装闘気を込めると裏の武装闘気で次々と戦輪を生成してエヴァンジェリンへと放った。
「侏儒式暗殺魔忍術・戦輪影分身」
『……曲芸か? 漆黒無双両太刀・
刃に黒い雷を奔らせ、漆黒の靄のようなものを纏わせた両刀をクロスさせ、そのまま八の字を描くように剣を斜め下方向に高速で振り抜くことで黒い雷を纏った漆黒の竜巻のような斬撃を放つ。
エヴァンジェリンの放った黒雷の大竜巻は魔力によって分身したように見せかけられた裏の武装闘気の戦輪諸共飲み込み、吹き飛ばす。
予想以上に早かった大竜巻を前にエリッサは退避行動を取れないまま飲み込まれ、無数の斬撃と雷に切り刻まれ、焼き尽くされ、ポリゴンと化して戦場から消滅した。
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