可惜夜
世良ふぃ
序章
拝啓 最後の恋人のあなたへ。
最後の、とか恋人、なんてクサイ表現と言うかなんと言うか…となってしまうのですが
出逢った頃を思い返すと未来のことなんて考えてすらいなかったです。
あの頃はただ目の前のことに一生懸命で、一目惚れはしていつつもそんな余裕がなかった。
思えば障害の多い恋でした。
貴方は出世街道への道作りで邁進していて、
私は私で家庭があった。
ええ、既婚女性が独身男性を慕ってしまうなんて世間のタブーを犯してしまうなんて思いもよらなんだ。
けれど貴方は「横恋慕しちゃうなって」て呟いてらした。
お互いがお互いに想っていたことが判ったあの夜、それは紛れもなく明けるのが惜しい夜でした。
今、貴方は幸せですか。
きっとLINEを飛ばしたら既読がつくまで、長らくやきもきしてしまう私の性分上、しばらく書いてもいなかったけど筆をとることにしました。
これなら未読がだの、既読から返信がないだの気にすることもありますまい。
少しばかり筆を進ませてください。
あの時も、そして20年の時が過ぎた今でも
紛れもなくこれまで過ごした数々は、可惜夜でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます