看病②

 奏が寝た後、僕は奏の家のリビングに行き、おかゆを作る事にする。僕は料理がとても苦手なので料理をあまりしない。当然おかゆを作るのも今回が初めてだ。


 僕はスマホで美味しいおかゆの作り方を調べながらおかゆを作っていく。僕は味見をしながら塩分の量を合わしていく。


 おかゆに溶いた卵を入れたら、何とかおかゆが完成?した。 見栄えは大した事無いかも知れないが、それでも料理初心者としては中々上手くできたのでは無いだろうか? 


 僕は自作のおかゆを奏の部屋まで運ぶ。部屋に入ると奏が目を覚ましていた。僕はおかゆが入ったお皿を部屋にあった机に置く。


「奏、寝てなくて平気だったのか?」


「…優也… ごめんね心配掛けさせて 寝たからかな?だいぶ体が楽になったよ ありがとね! 優也!!」


 奏が僕に向かってそう微笑んできた。 僕は奏のその表情にドキッとする。


 前からわかってた事だけど奏は可愛いな〜 特に笑った顔とか最高に可愛くなる。他の男が奏のこんな顔を見たら全員イチコロだろうな〜


「なー 奏?」


「ん? どうしたの?優也?」


「奏には今、好きな人とかいないの?」


「え!? す…好きな人!? う…うん!い…いるよ!!」


 あー やっぱり奏にも好きな男くらいいるか〜ま、奏も女子高生だもんな〜 奏の好きな相手はきっと大星なんだろうな… 何でこんな寂しい気持ちになってるんだろ僕… あれ? それなら奏も僕より大星に世話をして欲しかったんじゃ無いか?


「私が好きな人はね〜とても優しくて凄い人なんだよ〜!! 私ね…その人の事、昔からずっと好きなんだ〜!!」


 奏は恥ずかしいのか、顔を赤らめながら僕にそう言う。 それよりも奏も大星の事が好きだって事が奏のさっきの発言でわかったな!! 昔から知っていて優しくて凄い人と言えば、そんなの大星しかいないじゃないか!! よかったな…大星…奏…2人は両思いだ… あ〜何か知らないけど泣けてくる…


「あ…そういや奏…僕なりにだけど、さっきおかゆを作ったんだ 食べて見てくれないか?」


「え!? 優也が作ってくれたの!? 凄い嬉しい!! ありがとう!!」


奏が笑顔で嬉しそうに言う。 それにしても本当に嬉しそうだな 料理下手な僕が料理を作ったんだぞ? 普通は軽く絶望する所だろ?


「ね…ねー優也? 私…やっぱりまだちょっと体が重いから…私に…あーんしてくれない?」


 あ…あーんだと!? あーんって、あのあーんか!? ふぅふぅして冷まして相手のお口に入れちゃうあのあーんか!? は…恥ずかしい!! 恥ずかし過ぎる!!


「ねぇ…ダメ…かな…?」


奏が顔を赤らめながら上目遣いに聞いてくる。


「い…いいよ!!」


 奏のあの上目遣いを見たらどんなに恥ずかしい事を求められても頷くしかないって〜!!


「じゃ…よろしくね…優也…」


「お…おう」


僕はおかゆをお皿からスプーンによそい、おかゆを冷ます為にふぅふぅとしながら料理を冷ます。そしてそのおかゆの入ったスプーンを奏の口元に持って行く。 ドキドキする…


「奏…あ…あ〜ん」


「あ…あ〜ん…」


奏がおかゆをスプーンから口に含む。 これを奏がおかゆを食べきるまで続けなければならないのか… 寿命縮むわ…


「な…何かあーんしてもらうの恥ずかしいね!! や…やっぱり自分で食べるよ!」


自分でお願いして恥ずかしがるなよ〜 そういう所も可愛いな〜奏は!!


「というか、奏 大星も呼んできた方がやっぱりよかったんじゃないか?」


「え!? 大星? な…何で?」


「な…何でって…奏も大星の方が…その…」


「わ…私はさっきも行ったかも知れないけど、優也が来てくれただけで十分だったよ? ううん…優也じゃなきゃ、満足出来なかったかも!!」


「え? そ…それってどういう?」


「優也…私ね…」


ガチャッ! バタン!!


「ただいま〜! 風邪はどう?奏? ってあら!! 優也君じゃない!! 久しぶりね〜!!」


 奏が僕に何かを言おうとした時、奏のお母さんが帰ってきてたみたいで部屋に入ってきた。全然気がつかなかった…


「お久しぶりです 奏のお母さん」


「やだ〜!! そんなお久しぶりですだ何て!! そんな他人みたいに! 私に何かタメ口で良いのよ〜!!」


「い…いや…そんな訳には…」


「優也君 奏の看病してくれてたの? ごめんね〜何かお礼しなくちゃね!! そうだ!!優也君!今日夕飯食べていってよ!! 奏も喜ぶわよ〜!!」


「も…もう!! お母さん!! 余計な事言わないで!!」


ゆ…夕飯? だ…ダメだ!! 奏の上目遣いでドキドキさせられた僕に、そこから奏の家で夕飯を食べる体力が今の僕には無い!!


「か…奏のお母さん すいません、今日はちょっと夕方から用事があるので今日はもう失礼します!!」


 そう言うと僕は急いで奏の部屋から出て行き、自分の家に帰った。 出て行く時に奏が何か言ってたような気がするが、そんなの聞いてる場合じゃない!! 


 今日はドキドキしてばっかりだ…








 




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