白の守護者

How_to_✕✕✕

プロローグ

会長は月夜をバックにし、自慢のポニーテールを春の夜風に靡かせ、木刀を持ったまま堂々とたっていた。


「慶大! よく私の戦いを見ていろ!」


会長はへたりこむボクに叫び、後ろを向き目前の敵を見据える。


敵も赤い眼をギラつかせながら会長をみる。

「私が無事戦いに勝ち、戻ってきたら熱く抱擁しキスしよう!」


そう言い会長は笑いながら走り出す。


その笑顔は新しいオモチャを手にした、子どものような無邪気な笑顔だった。


走り出したと同じに敵は天に向かい咆哮する。


ゴァァァァァァァァァァァァァァァァァ!という声が響き渡る。


ビリビリと体を震わせる声にボクはすくむ。

しかし会長は怯むこともなく相手に向かい突っ込む。


会長は強く地面を強く蹴る。


空中にジャンプし、木刀を振りかぶる。


敵は空に浮かぶ会長を見上げながら右手の大きな爪を盾がわりに自分の顔を覆う。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ゴァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

会長と敵、両方の叫びが重なり、回りの空気が震える。


落下しながら叫び続け、会長は敵の頭の上にめがけ木刀を振り下ろす。


敵はガードしていたが無駄だった。


会長は木刀で敵のガードもろとも切り裂いた。


会長が着地すると同時に敵は下半身まで正中に沿い真っ二つになっていた。


ドッシャッ!っと倒れる音がする。


暗い夜の中、目をこらし会長の方を見てみると、彼女の白い頬には赤黒い敵の鮮血が付着していた。


そして木刀は薄く青い色に輝いている。


会長は少し乱れた息を整え、周りを見回す。

ふぅと一息つき、「慶大! 終わった!帰ろう!」と会長はボクの方をみて嬉しそうに叫ぶ。


会長が無事でボクは少し安心する


しかし一安心したのも束の間だった。


会長の後ろの闇からは数えきれない、赤い眼が揺らめき、獣の唸り声みたいなのが聞こえる。


一瞬で敵だとわかる。


「綾音ちゃん!! 後ろ!」


思わず会長を名前で呼ぶ。


それと同時にに敵の中の一体が会長にパンチで攻撃をくわえた。


会長は素早く敵の方に直り、木刀でガードする。


ガキンと金属と金属がぶつかり合うような音がし、会長は空中に吹き飛ぶ。


空中で一回転し、体勢を立て直し、着地した。


「まだこんなに隠れていたのか!? 早く私は慶大とイチャイチャしたいのに まぁ、この数ならすぐ終わる。 慶大!」


一人で何かを呟いた後に突然、叫ぶ会長。


「はっ、はい!?」


びっくりするボク


「言い忘れてたけど、愛してるよ、慶大」


会長は恥ずかしそうに少し笑いながら言った。


そして闇に蠢いている敵に向かい彼女はまた走り出した。

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