第582話飴でお元気!!

 僕のお体に入った精霊の石さん。リュカがそうそう、そうやって静かに入ってて、そうお話ししてる時でした。急に精霊の石さんがお体から出てきて、僕の前でふわふわ、みんなの前でふわふわ。それからマシロ達の前でもふわふわ。なんか凄く慌てて出てきたの。


「どしたでしゅか? わしゅれものでしゅか?」


 僕がそう聞いたら、凄い勢いでふわふわした精霊の石さん。霧の精霊お兄さんの前に飛んで行って、それからすぐにポワッて光りました。僕のお体の中に入ってる時よりも、もっともっと明るく綺麗に光ったよ。そうしたらお兄さんの体も光り始めて、だんだん眩しくなってきました。


 僕は急いでマシロの後ろに隠れて、ディル達も僕の後ろに隠れて。ちょっとだけマシロのおしっぽに隠れながら見てみたら、光すぎて霧の精霊お兄さんがちょっと見えなくなってました。


「ふおお!? おめめが!」


『主、見るんじゃない。良いと言うまで隠れていろ』


 すぐにまたマシロにしっかり隠れます。マシロもハロルドも、アンドレアスも何で見てられるの? 眩しくない?

 どのくらい光ってたのかな? やっと光が弱まってきて、でも危ないからマシロが良いって言うまで隠れてました。精霊の石さん何してたのかな?


『主、そろそろ良いぞ』


 言われてバッ!と霧の精霊お兄さん達をみます。そうしたら霧の精霊のお兄さんのお洋服が、前のお洋服と変わっていました。えと、同じだけど変わってるの。前は白いお洋服、でも今は、キラキラ綺麗に光ってるお洋服です。お母さんも時々キラキラ光るお洋服着てるけど、それよりもキラキラが綺麗なの。きっとお母さん、あのお洋服見たら欲しいって言うよ。


 精霊の石さんの光りが完璧に消えて、ちょっといつものふわふわよりも、ゆっくりふわふわしながら僕の方に戻ってきます。そして僕のお手々の上に乗って。何してたの?って聞いたら、精霊の石さんじゃなくて、アンドレアスが教えてくれました。


 これから黒服達が、精霊の石さんを取ろうとして攻撃してくるはず。それでね、僕はいるだけでマシロ達の力が強くなるでしょう。それと同じで精霊の石さんは近くにいるだけでお兄さんを強くして。それだけじゃなくて、精霊の石さんが力をあげると、お兄さんはもっと強くなるんだって。


 でもこれから精霊の石さんは僕のお体の中。隠れてないといけないから、力をあげられません。だから今のうちのたくさんお兄さんに力を渡したんだって。だから精霊の石さんは今、ちょっと疲れちゃってます。


「だいじょぶでしゅか?」

 

 ふわふわふわ。ちょっと弱く揺れる精霊の石さん。


「大丈夫だ、ユーキの中で大人しくしていれば、そのうち力が回復する。良いか、絶対に出てくるんじゃないぞ」


 ふわふわふわ。揺れた後、精霊の石さんは僕のお体の中に入って、それからもう出てきませんでした。


『良し、これからのことだが。まずは主、皆に力を貸してくれるか? おそらくそろそろ奴らが攻撃してくるだろう。魔力を流したあとは我が結界を張る。それから…』


 黒服達が来ちゃう前に、アンドレアスと霧の精霊お兄さんに魔力を貸します。それからマシロが僕達に結界を張ってくれて、アンドレアスも霧の精霊お兄さんも結界を張ってくれて。僕達はそこからでちゃダメダメです。


 あと、あのモヤモヤの塊は何もしないでそのままにしておきます。もう精霊の石さんは中にいないけど、黒服達はそれをしらないでしょう? だからまだそこに精霊の石さんがあるって、嘘つくんだって。黒服達が石さんを取ろうとして攻撃したら、そこに黒服達が集まるから、マシロ達が戦いやすいんだ。ハロルドは僕達の近くで戦ってくれます。


「ユーキから力を貸してもらったお前達の側にいちゃ邪魔だろう? いくら俺が動けても流石にお前達みたいに動けないからな。邪魔にならないようにお前達のサポートにまわる。それとマシロも動けるようにな。俺がユーキ達をも守る。まぁ、本当に危なくなったらすぐに来てくれ」


 お話しが終わったら、すぐにマシロにお手伝いしてもらって、アンドレアスと霧の精霊お兄さんに魔力を流しました。今度はコップから魔力が溢れちゃっても大丈夫って、たくさん魔力を流したんだ。

 魔力はゆっくり流しました。最初みたいに一気にブワッと流しちゃうと、また具合が悪くなっちゃうから。


「これは…、凄いな」


『先程と全然違う』


『そうだろう? 良し次だ。次は結界だな。どの辺に張るか』


「なるべく我々のいる場所から離れない場所がいいだろう。かと言って近すぎるのも問題だが」


 マシロ達が結界を張る場所を決めている間に、僕はカバンの中を確認。それで1、2、って数えて。全部で何個?


『良し、ではこの辺りに結界を張ろう。主、皆集まれ!』


 マシロに呼ばれて僕達はマシロの所に走ります。


「マシロ、けっかいまってでしゅ」


 僕は急いでハロルトとアンドレアス、霧の精霊お兄さんに飴を渡して、マシロにぽんって投げたら、1回転してキャッチしてくれました。えと、疲れてる時は甘いものって、お母さんがいつも言ってて、それでマシロ達疲れてるでしょう? これから黒服達と戦うし。甘い飴舐めた方が良いよね。ちゃんと数えたから、僕達の分はあるから大丈夫。


『主、ありがとう』


「ユーキ、ありがとうな!」


「ありがとう」


『…何だこれは?』


 飴だよ。霧の精霊お兄さん知らないのかな? ハロルドが説明してくれて、その間に最初にアンドレアスが結界を張ってくれます。僕はマシロにギュッて抱きついて、それからみんなで固まって。


 アンドレアスの結界が終わったら、次はお話しを聞いたお兄さんが僕達にありがとうしてくれて、それから結界を張ってくれて。最後にマシロが結界を張ってくれました。


 これで僕達の準備は終わりだって。マシロ達はまたお話し合い、僕はみんなに飴を渡して一緒に舐めました。黒服達が来たら、いっぱい応援しなくちゃ。飴を舐めて元気になるの!

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