第352話妖精さんの国?
「あっ、これ面白そうだぞ!」
今開けたプレゼントの中には絵本が入ってました。えっとこのプレゼントはリズばぁばのプレゼントです。ディルやリュカみたいな妖精さん?の絵が描いてあるの。う~ん、精霊さんかも。お母さんに読んでもらおうと思って、みんなでお母さんが座ってる所に行きます。
「かあしゃん、これよんでくだしゃい」
「ええ良いわよ。え~と、妖精さんの国っていう絵本ね」
やっぱり妖精さんでした。
妖精さんだけが暮らしてる国で、青色妖精さんとそっくりな妖精さんが、国の中を冒険するお話でした。あっ、でもね、妖精さんが良いよって言った虫さんとか、お魚さんとか魔獣とかは、妖精の国に入れます。
青色妖精さんは、お友達になった蝶々さんと一緒に、いろいろな場所を探検します。でも風で飛ばされちゃったり、雨が降っちゃってお羽が濡れて飛べなくなっちゃったり、冒険は大変。
最後に着いた所には、綺麗なキラキラ光る石があって、そこには妖精さんの王様が居ました。妖精の王様は人みたいに大きいの。
それで頑張って冒険した青色妖精さんと蝶々さんに、特別に石を近くで見ても良いって王様が。
この石は妖精の国を守ってくれてる、とっても大切な石。妖精の国に意地悪したり悪いことしたりする人や魔獣から守ってくれてるんだって。
あと、カージナルとか他の街、森とか林に、新しい妖精さんが生まれるのも、この石があるから。
「ボク達は石から生まれたのかな?」
「気づいたら街にいたもんな。目開けたら周りに他の妖精がいてさ」
「ねぇ。何が何だか分かんなかったよねぇ」
「ディルちゃん、リュカちゃん、これは絵本だから、本当に妖精の国があるか、石があるか分からないのよ」
「ようせいしゃんのくにない?」
僕妖精さんの国あるんだと思ったよ。誰かが見てきて、この絵本書いたと思ったんだもん。
絵本読んでもらってから、みんなで妖精さんの国のお話します。もし妖精さんの国に行けたら何したとか、ご飯って何があるのかなとか。僕は絵本にはたくさんお花が咲いてたから、この前みたいにお花の美味しいスープがあると思います。それからキミルがいるから、他の咲いてないお花、キミルに生やしてもらって、そしたら妖精さん達嬉しいとか思うんだ。
お話してたらシルフィーが他にも国があるかもって。精霊さんばっかりいる国、魔獣ばっかりの国、虫さんばっかりの国。ふへへ、面白そう。
僕が大きくなって冒険者さんになって、いろんな所に冒険に行ったら、見つかるかもしれない。お父さんと一緒の騎士さんでも冒険はできるから、僕大きくなったら、いろいろな所に行きたいです。
「奥さま、そろそろ昼食のお時間ですが、旦那様方はどういたしましょう」
少ししてアシェルがご飯の時間って言いにきました。
「そうねぇ、きっとまだあの人達はダラダラとしているでしょうから、私達だけで先にお昼にしましょうか」
「かしこまりました」
メイドさん達がご飯の準備してくれます。くろにゃんに持っててもらった、ご飯とケーキも出して、テーブルの上は昨日よりちょっと小さなパーティーみたいになりました。
「パーチー、たのちいね」
「ふふ、そうね」
お昼食べてそれでもケーキは全部無くならなくて、ケーキだけくろにゃんにしまって貰いました。ご飯は全部なくなっちゃったよ。でも夜もここでご飯食べるから、新しいご飯を作ってもらます。
お昼寝しにお家に入ったら、お父さん達がぞろぞろ廊下歩いてきました。僕はそろそろお父さんに近づいて、お体がお酒臭くないか確認。抱きつきたいけどお体が臭いのはダメダメ。近づいてクンクン。う~ん、やっぱりまだ少し臭い。抱きつくのは我慢です。
僕はお昼寝に行くけど、お父さん達はさっぱりするってお外に出て行っちゃいました。
お昼寝が終わって、僕がお母さんに報告です。それから臭くなくなったお父さんにも。僕ね、妖精さんの国に行って遊んだ夢見たの。見たんだけど…楽しかったのは分かるんだけど、何で楽しかったか忘れちゃいました。また夜、見られないかな? そしたら今度はちゃんと覚えておかなくちゃ。
夜のご飯の時間になって、じぃじがいろんな魔力石に魔力を流します。いつもみたいに綺麗に石が光って、パーティーの続きです。
でもパーティーは今日でおしまいだって。サルバドールさん達もザクスさん達も、みんな明日の朝、お家に帰ります。僕はもう少しだけじぃじのお家で遊ぶけど。ディアンジェロじぃじ達も帰っちゃうの。僕ちょっと寂しいです。
でもくろにゃんとモリオンがいるもんね。だから会いたくなったらすぐに会えるもん。
僕そう思って少し慌てました。ザクスさんのお家僕知りません。でもくろにゃんはザクスさんを迎えに行ったから、ちゃんと知ってるよね?
「大丈夫だ。最初分からなくてどうするんだと思ったが、あいつの兄貴とそれからキミルと一緒に、なんとかあいつの家に行ったからな。もう場所は分かったし問題ない」
ほんと? ふぅ、じゃあ安心です。
ご飯が終わって、お父さんに妖精さんの絵本見せて、また冒険に行きたいって言いました。
「そうだな。もう少し経ったら、また行こうな。ユーキの友達も待ってるからな」
妖精さんの国行ってみたいなぁ。でもたくさん冒険の練習しなくちゃダメダメ。
僕が妖精さんと冒険のお話してたら、サルバドールさんが僕達の所に来ました。それで朝のお酒攻撃凄いって。びっくりしたって言いました。リュカが成功だねって。みんなで拍手です。
お父さん達が今日もたくさんお酒を飲んで、明日ダメダメになっちゃったら、また明日もお酒攻撃だね。
*********
『王様大変!』
『分かっている。皆私の張った結界から出ないように。まだ時間はある。マルス! アクア!』
『はい!』
『ここにいるよ!』
『お前達は私が作る道から、アンドレアスの所に行って話を。彼らが力になってくれる。この石を持っていけ。それがあればどこへでも行くことができる』
『分かりました!』
『まかせて王様! オレ達すぐに行ってくるぞ!』
2人はすぐに石のペンダントを首から下げ、私が作った、安全な道からアンドレアス達がいる森へと飛び始める。
2人を見送ったあとは、もう1度結界を張りさらに2重にして、皆が怪我をしていないか確認をする。
今現在、この国にいる妖精も他の生き物達も、誰も怪我をしていない事に安心した。確認が終われば、これからは外の監視をしなければ。
しかし、なぜこのような事に。まさかあの石を見つけてくる者がいるとは。あれは彼の所にあったはず。あの気配が消えた時、いや、まだほんの少しだが彼の気配は残っているが、やはり彼らに何かあったのか?
私が生まれてから、いや生まれる前からも、こんな事態は1度だってなかった。ずっとずっと長い間、平和に暮らしてきたというのに。
本当は彼の所に行き状況を確認しようと思っていたのだが、その前に奴らが来てしまった。今私がここを離れるわけにはいかない。
『王様! みんな自分が避難する場所に避難したよ!』
『よし』
『王様、大丈夫だよね』
『ああ、私がいるのだ。それにアンドレアスもすぐに駆けつけてくれるだろう』
『あの子も来てくれたらいいのに』
『こら、そういう事を言うのではない。彼らには彼らの生きる道があるのだ』
『うん…でもきっと、助けてくれるよ』
この子のいう事はちゃんと分かっている。あまり巻き込みたくはないのだ。しかしもし本当に危なくなったら…。その時は頼まなくてはいけないかもしれない。
私が命をかけこの国を守り消えても、次の王は誕生する。しかしそれがいつになるか分からない。まだ候補が見つかっていないからだ。
ド~ンッ!!
『わわ!? 僕も隠れるね!』
隠れに行くのを確認し、私も攻撃の準備を始める。
まったく人間という生き物は。いつもどこかで争い憎み合い、関係のない者を巻き込み苦しめる。
だいたいどうして彼らは我々の国に攻撃を仕掛けた? あの存在を知られてしまったのか? しかしあの存在は私と、まだほんの少しだけ気配がする彼しか知らないはずだ。
あの存在以外と考えたら、彼らが標的か? が、それも先程マルス達に渡した石がなければできないはず。その石も私しか持っていないはずなのだが。
攻撃されている事は事実なのだから、理由を確認できれば、もう少し戦いやすいのだが。
ド~ンッ!!
また大きな音がした。もう1重、結界を張っておくか。アンドレアス、なんとか間に合ってくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます