第309話悪いことすると森から出されちゃうよ!

 森の入り口まで馬車で行って、馬車から下りたらとっても大きな森の前に、たくさんの人達や魔獣が集まってました。僕は小さい子達が集まってる方に行きます。

 集まってる所に子供冒険者ギルドのお洋服着たお兄さんが立ってて、僕達に森に入る前にお願いがあるんだって。


「良いですか。森の中にいる魔獣は、みんなと仲良く遊びたい魔獣ばっかりです。いじめたり、魔獣が嫌がることをしてはダメですよ。あと、森を汚くすると、木が枯れたり、お花が咲かなくなったり、魔獣達が病気になってしまうかも。ゴミはちゃんと持って帰りましょう。良いですか?」


「「「はぁ~い!!」」」


「はいでしゅ!!」


 僕はお手々上げて大きなお声で返事しました。魔獣さんや森が嫌なことはしちゃダメダメです。


 お兄さんのお話が終わって、順番に森の中に入って行きます。お兄さんが冒険者のペンダントを確認してるの。僕の順番になって、ペンダントをお兄さんに見せます。


「ユーキ君ですね。行ってらっしゃい」


「いってきましゅ!!」


 お兄さんがお父さんに何か紙を2枚渡しました。何が書いてあるのか聞いたら、さっき僕達にお兄さんがお約束したでしょう、お父さん達もお約束があって、そのお約束が書いてあるんだって。

 それからもう1枚は森の地図です。森の中で迷子にならないようにちゃんと地図見ないといけません。それから僕美味しいお水探すでしょう。そのお水がある湖も地図に書いてあるんだって。


 ふふふ、僕楽しくて笑っちゃいます。森に入ろうとした時でした。森の入り口の隣の方で、バサッ、ガサッて音がしました。お父さんが僕の前に立って、ギルドのお兄さん達もみんなの前に立ちます。もう1回ガサッて音がして、何かがお外に転がってきました。


 お父さんの後ろからお顔だけ出して何が転がってきたのか見ます。そしたら草や木の枝、それからツルでぐるぐる巻いてある、おじさんとおばさんと、それからアメリアくらいの女の人や男の人達が転がってました。

 何でぐるぐる巻き? ギルドのお兄さん達がおじさん達に近づこうとした時、またガサッて音がして、今度はリク君くらいの男の子が泣きながらお外に出てきて、おじさん達に近寄ります。

 おじさんが何かお話しようとしてるけど、お口にもツルがぐるぐるでお話できないんだよ。でもお話出来ないけど「むーむー!」ってとってもうるさいです。


 ギルドのお兄さんが紙に何か書いて、それをお肩に乗ってた鳥さんの足に結んで、鳥さんが飛んで行きました。それからほかのギルドのお兄さん達が集まってきて、ぐるぐるおじさん達を運んで行きます。おじさん達は運ばれてる時も、とってもうるさかったよ。


「ユーキあの人達は、森の中でやってはいけない事をした人達だ。さっきギルドのお兄さんが、魔獣をいじめたりしたらいけないってお約束しただろう」


 あのおじさん達はお約束破って悪い事したからレシーナ達が怒って、ぐるぐる巻きにしてお外に出したんだって。お約束守らないと森に入れなくなっちゃうの。ずっとずっともう1回も入れなくなっちゃいます。


「いいかユーキ。ユーキはお約束守って楽しく冒険しよう」


「うん!!」


 森に入れなくなっちゃうのヤダ。だって冒険できなくなっちゃうんだよ。それに魔獣虐めるのもダメダメ。僕ちゃんとお約束守るよ!


 おじさん達が運ばれるの見てシルフィーが蹴る真似して、ホプリンがパンチとおしっぽで叩く真似しました。ディル達もパンチの真似。キミル達はマシロのお毛々の中で、パンチの真似してるって、小さな声で僕に教えてくれました。


 おじさん達が全員どこかに運ばれていって、また森の前が静かになって、もう1回僕達が森に入る番です。

 

 ザクザク。森に入ります。ちょっと入っただけなのに、木がとっても大きくて葉っぱもとっても大きいから、周りが暗くなっちゃいました。でも明るい場所もあるから、まずそこに行こうってお父さんが。

 僕は森に入れて嬉しくてスキップ。そしたら後ろで誰かが笑ってる声が聞こえました。振り向いてお兄ちゃん達のお顔見たけど、お兄ちゃん達は笑ってないぞって。よく見たら入り口のギルドのお兄さんがクスクス笑ってました。

 僕がとちゅげきぃ!! って言おうとしたら、お父さんが僕のお口塞いで、そのまま森の中に入って行ったの。どうしてみんな僕のスキップ笑うの! もう!!


 スキップの後は歩いたり、歩きにくい所はマシロに乗っかって進んだり、前を歩いてる男の子は大きなサイの魔獣さんに乗って進んでます。あれ? そういえば、お父さん達は歩きにくい場所歩くとき、どうやって歩いてるのかな? マシロ達みたいに、お父さん大きな魔獣のお友達いないでしょう?


「ああ、そういう場所に行く時は、他の人に魔獣を借りたり、冒険者ギルドにいる魔獣を借りるんだぞ」


 街には魔獣飼ってる場所があるでしょう。そこにギルドの魔獣もいて、ギルドに貸してくださいってお願いして一緒に森に行くんだって。


 ちょっと歩いたら、周りが明るくなりました。お花もたくさん咲いてて、カバンから依頼書を出して最初にお花を探します。

 

「良いかユーキ、依頼書にはいろいろな事が書いてあるんだぞ」


 僕の依頼書はお花を探してくださいってお願いだけど、書いてあるのはそれだけじゃなくて、どういう所に咲いてるとか、朝しか咲かないとか、お花の事がたくさん書いてあるんだって。


「この花は明るい所に咲いてて、後は草がいっぱい生えてる所に咲いてるって書いてあるぞ。さぁユーキ、今ここは明るいだろ? あとはどうする?」


 えと、えと、明るい所に咲いてて、それから…


「ユーキ、草がいっぱいの所だぞ」


 ディルが教えてくれました。


「くしゃがいっぱい!!」


「よし! じゃあ草がいっぱいの所探してみろ」


 僕達みんなで草がいっぱいの所探します。でもどこにもお花咲いてなくて、別の明るい場所に行くことにしました。

 次に行った明るい場所は僕達しか居なかったから、マシロのお毛々に隠れてたキミルとモリオンもお毛々から出てきて、一緒に探しました。

 今は森ができたばっかりで人がいっぱいだけど、だんだんと人が減ってきたら、キミル達最初から隠れないで、森で冒険出来るかもしれないってお母さんが。


 またまたお花見つからなかったから、すぐに次の場所に行きました。次の場所には少しだけ人がいたけど、すぐにどっかに行っちゃったから、キミル達隠れなくても大丈夫でした。


 草をガサガサ。あっ! これ探してたお花かも! 僕はお父さんと一緒に依頼書に書いてあるお花と、僕が見つけたお花見ます。おんなじ?

 お父さんがよく見てみなさいって。お花の葉っぱがちょっと違います。僕が見つけたお花違うお花でした。残念。


 今度はシルフィーがお花見つけたって僕を呼びます。すぐに調べて、シルフィーのお花も違いました。う~ん。なかなかお花見つかりません。

 向こうにも草が生えてる所あるからそこも探します。みんなでガサガサ。あっ! また似てるお花発見! 

 みんなでちゃんとあってるか依頼書のお花確認です。お花の色と形見て、葉っぱの色と形も見て、みんなが頷いて僕も頷きます。


「とうしゃんおはなみちゅけた!」


「よし! 見つけられたな。形もちゃんと確認して偉いぞ。それじゃあ次だ。依頼書には花が何本欲しいって書いてあった?」


「えと………2本!」


「そうだ。じゃあ2本花を摘んだら小さな袋にしまって、マシロのカバンにしまいなさい。なくしたらダメだからな」


 僕はお花を摘んで、すぐに小さな袋にしまいます。それからマシロが待ってくれてるカバンにそっとしまって。


「よし! 最初の依頼は完璧だぞ!」


 お父さんが頭をなでなでしてくれました。えへへへ。


 次は湖に美味しいお水を取りに行きます。お父さんと一緒に地図を見て、どっちに進むか決めようとしたら、周りを見てたジョシュアお兄ちゃんが僕のこと呼びました。お兄ちゃんの所に行ったら紫色の小さなお花が咲いてて、触ろうとしたらダメって。

 このお花は触ると、お手々がとっても痒くなっちゃうお花だから、触る時は手袋して触らないとダメダメなお花って教えてくれました。


「ユーキいいか? その剣でお花のこと叩いてみろ。このお花は叩くとお花が萎んじゃってすぐに消えるんだ」


 人があんまり通らない所に咲いてるお花は良いけど、ここはみんなが通る所だから、このお花は無くした方が良いんだって。


「ユーキの初めての戦いだぞ。このお花を倒すんだ」


 僕は剣を腰からとって、えいっ!! ってお花を叩きました。

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