第220話黒いウニョウニョ

入る? 何処の中に入るの?


「待ってエシェット。それってユーキちゃんとっても危ないのではないの?」


「だがこれしか方法はないぞ。ユーキの力しかこの闇には対抗できない。」


 エシェットがそう言ったらお母さん何も言わなくなっちゃいました。でもとっても心配なお顔してます。どうしたのお母さん?ー


 エシェットが僕がちゃんと分かるように教えてくれました。僕さっきお泊まりしてるお部屋で真っ暗の中に居たでしょう。それでモリオンが呼んでくれて明るい方に歩いて行ったらみんなに会えたの。あの真っ暗ね僕の夢の中の真っ暗だったんだって。お部屋の中も僕やお母さんさん達の夢の中も真っ暗だったんだ。

 今お父さんは僕達みたいに夢見てて、真っ暗の夢見てるから起きないんだって。


 真っ暗の夢。偽物さんが出てくる夢。さっきの僕の真っ暗の夢には偽物さん出て来なかったよ。でも、お父さんの夢には偽物さん出てくるかも。ダメダメだよ。偽物さん嘘つきだもん。早くモリオンに助けてもらわなきゃ。


 僕がそう言ったら、エシェットがね、僕もリュカもディルもみんな居ないとダメって言いました。僕達4人居ないと、お父さん真っ暗の夢の中から出られないんだって。

 お父さんの真っ暗な夢、とってもとっても真っ暗で、リュカ達に魔力渡しただけだとダメみたいです。僕が近くにいるだけでリュカ達の力が強くなるんだって。


「真っ暗の夢の中にユーキ達が4人で入り、ウイリアムを見つけてくるんだ。」


 真っ暗の夢の中。僕真っ暗やだなぁ。僕ギュウウウって目瞑っちゃうもん。だって偽者さんに会いたくないから。でも…。お父さん探すの目開けなくちゃダメダメです。


「ユーキ。ボク達がユーキの周り明るくしてあげるよ。絶対に真っ暗にしないから。それにユーキの側から絶対離れないよ。」


「そうそう。それでお父さんの所に行ったら、一気に真っ暗消してあげるよ。きっとお父さんの居るところが1番真っ暗な夢の所だから、そこの真っ暗消したら全部消えるはず。」


「オレだって、ユーキが元気なくなったらすぐに魔法で治すぞ! それにユーキの父ちゃんも、すぐに元気にするからな!」


 みんなが僕とお約束してくれました。絶対だよ。みんな何処にも行かないでね。僕みんな居なくなっちゃったらまたお目々ギュウウウっだよ。


「うん! ぼくがんばる! とうしゃんたしゅけるでしゅよ!」


 僕がそう言ったら、お母さんがギュウゥゥゥって抱きしめてくれました。それで心配のお顔なのにニッコリです。お母さんのギュウちょっと痛かったよ。ジョシュアお兄ちゃんは僕の頭なでなでしてくれて、お母さんの次にギュッて抱きしめてくれました。


 エシェットがリュカ達の魔力確認して、僕がちゃんとに魔力渡せたか確認します。それからシルフィーとキミルとくろにゃんが僕にすりすりしてくれて、ルトブルは僕の頭ガシガシしてくれました。頭が前に行ったり後ろに行ったり、ガクンガクンなっちゃってちょっとフラフラしちゃったよ。

 それからホプリンや他のルーリアがみんな並んでジャンプしたり、おしっぽふりふりして応援してくれました。

 最後にマシロが僕のことおしっぽで包んでくれます。それにスリスリもね。僕マシロの腕にギュッて抱きつきました。


「いってきましゅ!!」


「気をつけるのよ。怖いと思ったらすぐ帰ってきていいわ。」


 僕、騎士さんの挨拶します。お手て頭にくっつけて、ピッ!!

 それから寝てるお父さんの近くに座って、リュカとディルが僕の肩に乗っかって、頭にモリオンが乗っかりました。


「まず、僕が夢の中に連れて行ってあげるからね。えっと入るための踊りは…。えいっ! ほいっ! はいっ!」


 またガサゴソ、モリオンが僕の頭の上で踊ります。


「ひょいっ! ほいっ! うん上手くいったよ。ユーキ目瞑って。リュカ達も。僕が目開けて良いよって言うまで開けちゃダメだよ。」


 ギュウッてお目め瞑ります。たくさん瞑るのかなって思ったんだけど、お目め瞑ってからすぐに開けて良いよって言われました。お目め開けたら周り真っ暗でした。


「まっくら…、こわいでしゅう…。」


「大丈夫だよ。ほらボク達のこと見えるでしょう。ボクとモリオンがユーキの周り明るくしてるから。」


 僕のお手てに乗ってきたリュカとディル。モリオンは頭に乗っかったままです。僕達の周りだけポワッて光ってます。うん。ちゃんと2人が見えるね。この前は何にも見えなかったもん。


「じゅあ、ユーキのお父さんの所に行こう。僕が案内するからちゃんと僕が言った方に歩いてね。」


 モリオンがどっちに歩けば良いか教えてくれます。えっとお手手からまたお肩にリュカ達が乗っかって、右! 左! まっすぐ! たまに後ろ!って戻っちゃうけど…。

 お父さん何処かなぁ? 何処でこの真っ暗な夢見てるのかなぁ。なかなかお父さんの所に着きません。本当にここにお父さん居るのかな? 


 歩いてるとき、僕変なの見ました。真っ暗の中だから何にも見えないはずなのに、真っ暗が動いてる所がたくさんあったの。こうウニョウニョって。動いてるように見えるだけ? 僕ちょっと怖くてモリオンに動いてるの何か聞きました。

 そしてらあの動いてるのが偽物さんに変身したりする悪い奴なんだって。この真っ暗の中にはあの悪い奴がいっぱい。


「ウニョッ!」


「ふわわ! まえにいるでしゅう!」


 僕パッてしゃがみました。ディル達のこと抱きしめます。頭の上にいるモリオンも僕パッて持って抱きしめました。お目め瞑ってウニョウニョ居なくなるの待ちます。


「ユーキ大丈夫だよ。ほら見て。」


 僕片方のお目め開けてモリオン見ました。モリオンがお手てあげて黒く光ります。そしてら前にいたウニョウニョがどっかに行っちゃいました。それからリュカもピカって光ります。近くにいたウニョウニョが全部居なくなっちゃいました。ウニョウニョはモリオンもリュカの魔法も大嫌いなんだって。


「ユーキに近づくウニョウニョも、お父さんの所のウニョウニョと真っ暗も今みたいにすぐに消してあげるからね。だからがんばって!」


 あんなにすぐに居なくなっちゃうんだ! 2人が消してくれたんだもん。僕頑張って歩くよ! 僕立ち上がってすぐに歩き始めました。


 だけどたくさん歩いたのにお父さんの所に着きません。僕疲れちゃった…。僕が座ったらすぐにディルが元気になる魔法してくれました。元気になってまた歩くんだけど、すぐに疲れちゃいます。どうしてかな? 

 小さな声でリュカとモリオンがお話してます。何話してるんだろう。


『ちょっとモリオン。不味くない?』


『場所は分かってるんだけど。思ってたより酷い闇なんだったから…。ユーキに近づけなくしてても影響が出てきちゃってるね。でももうすぐだよ。ここさえ抜けちゃえば…。』


 すぐにお話し終わって、モリオンが僕のお手ての上で、えいえいおぅ!!してくれます。


「ユーキ、ユーキ。もう少しだよ。ユーキ達よりも悪い真っ暗だけど、でも僕は闇の精霊だよ。お父さんがいる場所はちゃんと分かってるから大丈夫。もうすぐだから頑張ろう! えいえいおぅ!! だよ。」


「うん!!」


 早くお父さんに会いたいよ。それで早くお母さん達とマシロ達の所に帰るの。みんなで、えいえいおぅ!! してまた歩き始めます。

 えいえいおぅ!!のあとは、右にも左にも歩かないで、ずっと真っ直ぐ歩きました。僕お座りしないで頑張ったの。だってみんなとっても頑張ってるから僕も頑張らなきゃ。


 たくさん頑張って歩いて、今までで1番真っ暗な場所に着きました。この真っ暗の中にお父さん居るみたいです。でもこの中に入るのはちょっと大変みたいです。だから僕みんなのことギュウって抱っこしてお目め瞑ります。


「じゃあ入るからね。さっきみたいに僕が良いよって言うまで目開けちゃダメだよ。」


「うん!」


「せーの!!」


 ブワって僕達の周り、何かが通った気がするけど、お約束守ってお目め開けませんでした。


「うん成功! ユーキ目開けて良いよ。ほらお父さん居る! ………偽物もいるけど。本当あの闇質悪いな。さっさと消しちゃおう!」


 そっと目開けたら、僕お家に居ました。お家のゆっくりするお部屋のドアの前です。前に僕が夢で見た偽物のお家のお庭とおんなじだよってモリオンが教えてくれました。ソファーにお母さん達みんな座ってお茶飲んでます。いつもお父さんが座ってるソファー見ました。僕とってもビックリ! お父さんが座ってて、それからお父さんのお膝に僕がお座りしてるの。


「とうしゃん!!」


 僕がお父さんのこと呼んだら、みんなが僕のこと見ました。お父さんは僕とお膝にお座りしてる僕見てビックリしたお顔してます。でもお母さん達はとっても怖いお顔しました。怖い…。でもみんなやっつけちゃうもんね! それに偽物の僕。お膝に座って良いの僕だけなんだよ!!

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