第125話突然の攻撃

 廊下を進んで行くと、大きなドアの前で止まりました。お城にあるお部屋、みんなドアが大きいんだ。それにキラキラしてるの。ここにじいじと誰かが待ってるみたい。


「ここに今から会う奴が居るのか?」


 エシェットがそう聞いてきました。


「そうですが。何かありますか?」


 エイムさんが不思議そうなお顔してます。エシェット、ここにはじいじが居るんだよ。あとは…、誰か!。ザクスさんか、オルガノおじさんか、それともお城に住んでる人かな?王様?王子様?それともお姫様かな?全然違う人かも知れないけど。


「あ~、まあな。ユーキ悪いが抱っこは終わりだ。ウイリアムに抱っこしてもらってくれ。それから我が1番最初に部屋に入ろう。」


 そう言って僕のことお父さんにわたしました。それから皆んなにドアから離れてって。どうしたのかな?中から何か、怖い物出てくるの?お父さんも何か慌ててます。


「エシェットどうしたんだ。何かあるなら先に言ってくれ!」


「どうやら、説明してる時間はないようだ。全員ドアから離れろ!」


 エシェットの声に皆んな慌ててドアから離れます。マシロの毛の中にディルとリュカは隠れて、シルフィーは尻尾にくるまって、キミルはくろにゃんの耳の後ろにかくれました。

 皆んなが逃げてすぐでした。ドアが、バリバリバリッ、バアァァァァン!!って凄い音して壊れました。気づいたらエシェットが廊下の壁の中に埋もれてます。廊下の壁、壊れちゃった。あとね、埋もれてるエシェットのこと、足で押さえてる人が居ました。女の人です。誰?

 僕はとってもびっくりです。お父さん達も何も言いません。


「手荒い歓迎だ。」


「何故お前がここに居る!!」


 女の人がそう言ったら、いつの間にか廊下に穴が空いちゃってて、2人とも居なくなっちゃった。綺麗な丸の穴が空いてます。びっくりしたままその穴見てたら、お部屋の中から騎士さんのお洋服よりも、もっとカッコいいお洋服着た、男の人が出てきました。


「待てって言ったのに、追いかけなくては。どこに行った?目立つところには行くなと言ったが。」


 男の人は僕達に気づいて、ニコって笑いました。そしたらお父さんは僕を下ろしてサッてお辞儀しました。廊下に居た僕やマシロ達以外の人達もお辞儀してます。僕は分かんなくて、ぼけっと立ったまま。


「挨拶はいい。頭を上げてくれ。それよりも今は2人を追いかけねば。」


「我なら場所が分かる。連れて行ってやってもよいぞ。主も連れて行く。止めるには主が居なくては。」


「それはありがたいが、主とは、そこの小さな子の事かな?」


 マシロが僕のお洋服の腰のところ咥えて、ぽんって投げて背中に乗っけました。


「特別に背中に乗せてやる。被害が大きくなったら困るのは主だ。早く乗れ。」


 僕の後ろに男の人が乗りました。


「名前は?」


「ゆーきでしゅ!」


「ユーキか。よし私が支えよう。行ってくれ。ウイリアム、少しの間息子を借りるぞ。」


 マシロが穴からお外に飛び出して走り出しました。びゅうって。シルフィー達は僕が前で抱っこです。後ろからくろにゃんもついてきます。マシロはお城からどんどん離れて街からも出ちゃったよ。どこまで行くのかな?エシェット達どこまで行っちゃったの?

 それにあの女の人、とっても凄いね。だってエシェットのこと、廊下にぶつけたのあの女の人でしょう。エシェットは強いしとっても早く動けるのに、そんなエシェットを壁にぶつけちゃうんだよ。


 マシロはずっと走って、それでボルフィスに1番近い森まで来ました。大きな木の上でマシロが立ち止まります。そしたら森の奥の方で、木がバキバキバキって、たくさん倒れてます。マシロがあそこだって言って、また走り始めました。

 着いたらそこに、大きいエシェットじゃないけど、ドラゴンエシェットが居ました。あとね、もう1匹ドラゴンさんが居たんだ。


「きゃあああああ!ドラゴンでしゅう!ドラゴンエシェットでしゅう!!ドラゴン2匹でしゅう!!」


「あ~あ、目が輝いちゃった。何でこんな事になってるか知らないから、気楽だよね。」


「だよな。でもこれ、どうやって止めるんだ?」


 僕はドラゴン2匹見れて、とっても興奮です。でもねよく見てたら、あれ?喧嘩してる?エシェットももう1匹のドラゴンさんも、大きな爪で、引っ掻こうとしてるんだ。それに、エシェットとどっか行っちゃったの、凄い女の人だったよね。どこ行っちゃったの?

 2匹のドラゴンの喧嘩は、全然止まりません。どうして喧嘩してるか分かんないけど、喧嘩はダメダメです。止めなくちゃ。


「マシロ、けんかとめるでしゅう。エシェットのとこ、いってくだしゃい!」


「いや主、それはダメだ。あんな所へ行ったら、主が怪我をする。それよりも我は確かめたい事がある。主、手伝ってくれ。この前、エシェットが街の人達虐めようとした時、エシェットに大人しくするように言ったの覚えているか。」


 街の人達虐めようとした時?あの悪い人達が街に来た時の事かな?僕は頷きます。マシロはあの時みたいに、エシェットに大人しくしろ、って言ってくれって。この前は静かな所で言ったからエシェットに聞こえて、大人しくしてくれたんだよね?今はとっても煩いけど、僕の声聞こえるかな?そしたら僕の後ろに乗ってた男の人が、話しかけてきました。


「ユーキ君。私の名前はサルバドール。私も静かにしなさいと言ってみるから、君も言ってくれないかな。もし聞こえなくても、君の友達が何とかしてくれる。そうだろう?」


「………まあな。」


 ふうん?じゃあ言ってみよう。聞こえなくても、マシロやくろにゃんが止めてくれるんだよね。僕は大きく息を吸いました。


「エシェット、おとなしくするでしゅよ!!」


「シャーナ止まりなさい!!」


 僕達がそう言った途端に、エシェット達はぽんって小さいドラゴンになって、その場にお座りしました。


「おお~、しゅごいでしゅ。こえ、きこえまちた。」


「やっぱりそうか…。よし主、エシェットの所へ行こう。」


 大人しくなったエシェット達の所へ行きます。サルバドールさんがマシロから降りてすぐ、エシェットじゃないドラゴンさんに近寄って、ゴツンって頭叩きました。


「いちゃい!!」


 僕思わず、頭押さえてそう言っちゃったよ。そしたら皆んなに笑われちゃった。だって痛そうだったんだもん。僕もエシェットに近寄って、めっしました。だって廊下壊しちゃったし、森の木こんなに倒しちゃったんだもん。ちゃんと怒らないとね。

 サルバドールさんがエシェット達に、人間の姿になりなさいって言ったら、エシェットはいつもの人の姿に。もう1匹のドラゴンさんは…。何とさっきの女の人でした。


「おんなのドラゴンしゃんでしゅか?!かっこいいでしゅね!!」


「あら、ありがとう。でも、私は綺麗って言われたほいが嬉しいわ。」


「きれいで、かっこいいでしゅ!」


「でしょう。ふふ。それにしても貴方、私を追ってきたのかと思ったら、さっきのこの子の声、貴方契約したの?エンシェントドラゴンともあろう貴方が。よく人間に従おうと思ったわね。あとこの前の事、私まだ怒ってるからね。」


 あの時の事?エシェット、このドラゴンさんに何かしたの?虐めたとか、嫌なことしたとか。リュカが僕の肩に乗ってきました。それでね、僕に教えてくれたんだ。

 僕が初めてエシェットに会った時、とっても痛そうなお怪我してたでしょう。あれねこの女のドラゴンさんがやったんだって。エシェットが無理矢理お友達になろうとした女のドラゴンさん、このドラゴンさんだったんだね。ならちゃんと、ごめんなさいしなくちゃ。


「エシェット、ごめんなしゃい、しゅるでしぃよ。おんなのひと、いじめちゃめっでしゅ!」


「やっぱりか。分かった分かった。すまん。この通りだ。」


 エシェットがごめんなさいして、お辞儀しました。ドラゴンさんがびっくりしたお顔してます。サルバドールさんは凄いなって。ドラゴンさんエシェットのこと許してくれるかな。ダメなら僕も一緒にごめんなさいするから、そしたら許してくれるかな?

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