第122話いよいよボルフィスに到着です。

 朝、準備して馬車の所へ行ったら、知らない人が2人、馬車の隣にお馬さんに乗って待ってました。騎士さんです。じいじのお友達なんだって。今日から2人が、一緒にボルフィスまで行きます。なんかね、僕達を迎えに来てくれたんだって。

 なので、今日はマシロ達は、お休みの日です。ずっと馬車を守ってくれたもんね。お休みはとっても大事です。

 皆んなが僕と馬車に乗ったから、お兄ちゃん達はじいじの馬車に乗りました。頑張ってくれたマシロとくろにゃんは、僕がブラッシングしてあげました。お母さんがブラシ持ってきてくれたんだ。ブラッシングしてあげたら、毛がふわふわもふもふになりました。エシェットは今人の姿だし、ドラゴンの姿になってもおけ毛ないから、その代わりに、いつもより多くお菓子あげました。皆んなとっても喜んでくれたよ。

 そう言えば、今日は雪のトンネルありません。もう雪片付けちゃったから、トンネル要らないんだって。面白かったのに。ちょっと残念です。

 それからいつもみたいに次の小さな街まで行って、お宿にお泊まりしました。そして…。


「ユーキ、ユーキ、起きなさい。」


「うゆゆ…。ねみゅい…。」


 昨日の夜、明日のお昼頃、ボルフィス王国に着くって言われた僕は嬉しくて、夜ぜんぜん眠れなかったんだ。だから朝、馬車に乗ってすぐに寝ちゃいました。お父さんが起こしてくれたけど、まだ眠い…。まだお昼じゃないはず。もう1度寝よう…。

 僕はお父さんのお膝に、もう1度寝やすいように座り直して、眠ろうとしました。


「ユーキ、ほら起きろ。ボルフィスに着いたぞ。窓からもう見えるから見てみなさい。」


 ガバッて僕は起きました。もうお昼なの?もうボルフィスに着いたの?起きなくちゃ!!お父さんのお膝から急いで降りて、窓から顔を出します。前の方見たら、大きな壁が見えます。とっても大きい壁。カージナルよりも、全然大きいです。壁の中はあんまりよく見えないけど奥の方に、三角の形したお屋根?が見えて、そのてっぺんに、大きな旗が見えました。


「とうしゃん、おちろどこでしゅか?」


「旗が見えるだろう。旗のある所にお城があるんだ。街の中に入れば、よく見えるぞ。」


「ふわわ、ふわわ。おちろでしゅう。」


 僕は嬉しくてピョンピョン跳ねちゃいます。馬車が揺れちゃって、お父さんに抱っこされちゃいました。もっと見たいのに。足バタバタしたけどダメでした。降りるまで抱っこだって。ジャンプしちゃうから。うう…。早く街の中に入らないかな。

 馬車のお外にいるじいじ騎士さんのソルイじいじが、ボルフィスは人も魔獣もとっても多いから、迷子にならないように気をつけなさいって。大丈夫。マシロもエシェットもくろにゃんも、皆んな一緒だもん。多分大丈夫なはず。


 壁の所まで着いて、ボルフィスにもお父さん達が入れる、特別な入り口がありました。とっても大きい街だから、街に入るのに普通に並んだら、1日かかるみたい。だからね、カージナルは夜は門は閉めちゃうんだけど、ボルフィスは夜中でも門が開いてるんだって。


 門の所にいる騎士さんに、ソルイじいじがお話してます。そのお話のあと、お父さんが窓から騎士さんに、何か紙を渡しました。騎士さんが確認して、それから紙を返してきました。


「長旅お疲れ様でした。どうぞお通り下さい。」


 騎士さんが敬礼したから僕も敬礼です。ぴっ。騎士さんちゃんと、僕にも敬礼してくれたよ。街の中に入ってすぐ、お母さんが窓からソルイじいじに、お洋服のお店に寄っていいか聞きました。良いって言われたから、お店に着く前に降りる準備です。またまたたくさんのお洋服着て、僕はふらふらです。馬車が止まって、お父さんに降ろしてもらいました。


 降ろしてもらってすぐ、横を見ました。さっき旗のあった方向です。


「きゃあああああ、おちろでしゅう!!」


 全部じゃないけど、お城の上の方が見えたんだ。青色で、キラキラで、上半分くらいしか見えないけど、とっても大きなお城です。僕は城見ようと思って、走ってお城の方に行こうと思いました。だけどお洋服重たくてうまく走れなくて、お父さんにすぐに捕まっちゃいました。


「こら、まずは洋服買ってからだ。そんな興奮して、慌てなくても、お城は無くならないから落ち着け。お城は後でゆっくり見られるから、今は大人しくしてろ。」


 うう~。早くお城全部見たいのに。でも、この重いお洋服も嫌だし。早くお洋服買わなくちゃ。


「はやく、はやくおようふく、かうでしゅよ!」


 お父さんの肩を、ぺしぺし叩きます。


「分かった分かった。はあ~。」


 お父さんが、お洋服屋さんに入りました。


「あ~あ。やっぱりあんなになっちゃって、鼻息荒いし、目が輝いちゃっててるよ。」


「気をつけんと、迷子になりそうだのう。」


 後ろから、じいじ達もお店に入ってきました。皆んなもお洋服買うんだって。本当はボルフィスから帰る頃、寒くなるはずだったから、帰りにお店に寄る予定だったけど、たくさん雪が降っちゃって寒くなっちゃったから、今買います。

 お母さんと僕は、子供のお洋服売ってる所に行きます。


「おなじ!!」


 僕はお洋服指差しました。僕とシルフィーとおんなじお洋服売ってました。ねこさんとうさぎさん。


「このお店は、クロエの2番目のお店なのよ。ここにクロエは居ないけど、クロエの家族がお店やってるのよ。だから同じお洋服売ってるの。」


 ここはクロエさんの家族のお店でした。お母さんが僕にあったかそうなお洋服着せてくれます。洋服の中がモコモコしててとってもあったかいです。帽子もついてて、帽子にもモコモコがついてるからあったか。それにね、帽子にねこさんのお耳ついてました。今までたくさん着てたお洋服がなくなって、このモコモコのお洋服だけになったから、とっても軽くなって、歩きやすくなったよ。


「ちょっと大きいけど、これから大きくなるし、これで良いかしら。ユーキちゃん、帽子かぶってもちゃんと前見えてる?」


「だいじょぶでしゅう。かあしゃん、あれみてくだしゃい。」


 僕はシルフィーのお洋服売ってる所、指さしました。僕とおんなじ、モコモコのねこさんのお洋服売ってます。


「あら、あんなのも売ってるのね。いつの間に作ったのかしら。じゃあ、シルフィーちゃんにはあのお洋服買いましょう。」


 今シルフィー達は馬車の中でお留守番してます。寒いから、お洋服買うだけなら、馬車で待ってるって。エシェットは…、ちょっと高いお屋根の上から、街の様子見てくるって。すぐ戻ってくるって言ってました。お父さんに目立つなって言われてたけど。

 僕とシルフィーのお洋服が決まって、お母さん達のお洋服も決まって、買い物終わりです。


 軽くなって歩けるようになった僕は、お外に飛び出しました。だってお城見たかったんだもん。お外に出て走ります。


「待てユーキ!マシロ捕まえてくれ!」


 僕が走ってたら、急に誰かが帽子を掴みました。掴む?そのままくるって僕は飛んで、着地したのはマシロの上でした。


「主、ウイリアムが待てと言っている。」


「ぶー。」


 追いかけて来たお父さんが、僕のこと怒りました。


「勝手に行くんじゃない。それに走るなって言ってるだろう。まったく。これからお城に行くから待ちなさい。はあ、これなら洋服変えないほうが良かったか。」


 馬車に戻されちゃいました。馬車に戻ったらエシェットが戻って来てました。皆んなでまた出発です。エシェットが前に見た時と、だいぶ変わったって言ってました。前にここに来たことあるんだって。


「何年前だったか?確か…、そうだな500年前くらいだったか。あの頃よりも、国は大きくなってるし、人も魔獣も多いな。」


「そんなに前なら、変わってるさ。俺なんてまだ17年なのに。小さい頃来た時と、だいぶ変わってるんだから。」


 そんなに変わってるの?僕は窓からお外見て、次々に通り過ぎるお店を見ます。カージナルのおみせよりも、大きいお店が多いです。僕がお兄ちゃん達みたいに大きくなって、またここに来たら、やっぱり変わっちゃってるのかな?でも変わっちゃっても、またお父さん達と、マシロ達と、皆んなで遊びに来たいな。

 馬車はどんどん進んで行きます。もうすぐお城に到着です。

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