第111話お友達紹介と忘れ物?

 僕は2人のこと呼びました。ルドックとキミルがお母さんの前に並びました。

「えと、ルドックとキミルでしゅ。ルドックはみんなをまもってくれる、やしゃしいねこしゃんでしゅ。キミルはしぇいれいしゃんでしゅう。ルドックのおともだちで、ぼくのおともだちでしゅう。」

 うん。完璧だね。お母さんのお顔見たら最初びっくりしてたけど、すぐによかったねって言ってくれました。それからじいじ達の方見ました。じいじ達も喜んでくれたよ。

「うむ。じいじは何があっても驚かんぞ。(まあ、いろいろ報告する事は増えるが…。)友達を大事にのう。」

「はいでしゅ!」

 皆んな喜んでくれて良かったね。ばあばがお友達増えたから、乗り物もう1つ作ってくれるって。運転手は僕、次はシルフィーでしょう。今度作ってくれる乗り物は、ディルとリュカとキミルのです。小さくなったマシロは、どれにでも乗れるから大丈夫だし。嬉しいなあ。ありがとうばあば。

「ユーキ僕聞きたいんだけどいい?名前いつも1人で考えてるの?よく思いつくね。」

 そうだ。その事お母さんに言おう。僕は最初ルドックの名前、くろにゃんにしようとしたこと。でもルドックが嫌がったこと。お父さんもダメだって言ったこと、全部お話しました。

「あらそうだったの。可愛いお名前なのにね。」

 お母さんがそう言ってくれた時、後ろでぷって声がしました。振り返ったけど、後ろ向いてマシロ撫でてるお兄ちゃん達しかいません。ちょっとお体震えてたけど、他に変わった事はありません。今のプッて何だろう?ま、いいか。

 僕はまたお母さんの方見ました。それから、お名前つけるのけっこう大変って、お母さんに一生懸命お話ししたよ。お母さんは僕のお話ちゃんと聞いてくれました。


 僕がお話してる途中でした。突然お父さんが、

「しまった!忘れてた!」

 そう叫びました。それと同じくらいにアシェルがお部屋に入ってきて、

「ザクス様が、お戻りになられました。それで何を忘れたんですか?」

「あっちでは考えてたのに、なぜ忘れたんだか。あ~、ザクスには言っておいた方がいいか?あれの話だアシェル。森のな。」

 お父さんの言葉に、アシェルはハッとしたお顔しました。それからすぐにザクスさん呼んできますって言って、お部屋から出て行っちゃいました。お父さん何かねこさん達の所に、忘れ物しちゃったのかな。僕はお母さんの抱っこからじいじの抱っこに変わって、ザクスさんのこと待ってました。

「ザクス様をお連れしました。」

 アシェルの言葉の後に、すぐザクスさんがお部屋に入って来ました。

「ユーキ良かった。無事だったか。」

 ザクスさんは僕に近づいて、頭をなでなでしてくれます。

「よし。いろいろ時間がない。朝までにやる事がいっぱいだ。父さんにオリビアにザクス、ちょっとついて来てくれ。それからエシェット、あ~確かルオンが破壊した森が、もう1つあっただろう。そこに案内してくれ。ルドックならすぐに移動出来るだろう?あとは、ユーキ。眠いかも知れないが、キミルと一緒について来て手伝ってくれ。母さん、後のこと頼む。」


 何だろうね。お父さんとっても忙しそう。僕眠かったけど、お父さん手伝ってって言うから、僕頑張るよ。眠らないように!

 僕とキミルがお父さんについて行くって聞いて、マシロ達も皆んなでついてくるって。ルドックの周りにたくさん集まりました。

「よし行くぞ!」

 お父さんの声で、ルドックが影を広げて、僕達はその中に入って行きます。着いたのはどこかの森でした。森?何かさっきの洞窟のあった所みたいに、森の半分くらいが、平らになっちゃってる森でした。

「へんなもりでしゅね。はんぶんたいらでしゅ。」

「これもお頭がやったんだよ。悪い奴だよね。」

「ふお?!これもおかしらやったでしゅか?もうダメでしゅね、お頭。」

 僕達がお話してる時、お父さん達も何かお話してました。


(ウイリアム視点)

 ユーキ達が何か話している最中、私は驚いた顔で立っている3人に、これの説明を始めた。簡単な説明でいいだろう。詳しくは、また後でだ。

 何故こんな事になったのか。確かにやったのはエシェットだが、その原因を作ったのはルオンだ。そしてリュカが気をきかせ、ユーキにはこれをやったのはルオンだという事になっている事。エシェットがやったなんて言ったら、ユーキはエシェットの事怒るに決まっている。それではユーキの為にやったエシェットが、さすがに可愛そうだからな。

 全てを説明し終わると、ザクスは呆れ顔で、父さんは苦い笑いをし、オリビアにいたっては、

「ユーキちゃんにそんな事を!私も何かしてやりたかったわ。まったく、連れて来てくれれば良かったのに。」

 森の事はどうでもいいらしい。まあ、当たり前か。私達の大事な息子が、あんな事をされれば、怒って当たり前だ。その時の事を思い出し、嫌な気分になったが、今はその事はどうにか胸にしまい、この森の事だ。

「もう1つの森も破壊されていたんだが、もうあっちは解決済みだ。今からここも元通りとはいかないが、ほぼ元通りに戻してもらおうと思ってる。」

「は?戻す?これをか。どうやって…。」

「それはこれから説明するが、その前にここの現状を見て欲しくてな。」

 もしかしたらこの森の、こんな姿を見てしまった人々もいるかも知れない。その人達にはルオン達が契約魔獣に幻術の力を使わせて、そう見えるようにしたと納得してもらうしかない。問題は、国が調査に来た時だ。地形が変わっていると言われたら、ルオン達がやったと言うが、ここに同行するのが、多分私達の誰かになるだろう。その時に、今の状況と、これから起こる事について知っておかなければ、説明に詰まって、要らぬ詮索を受けるかも知れない。


 だから、父さん達をここへ連れて来た。

 さて、これから起こる事について説明しよう。そうだ。ザクスにはキミルが精霊だという事も伝えなければ。エシェットの事も受け入れてくれたザクスだ。もう驚かんかも知れないが、一応な。

「ザクス、あの小さいふわふわな妖精みたいのがいるだろう?あれは種の精霊だ。」

「は?精霊って。シルフィーのことじゃなくてか?」

「ああ、今回ユーキがまた友達になった。」

 ザクスがユーキの方を見た。それから俺のことを見る。それをもう1度繰り返して、一瞬動きを止めたあと、笑い始めた。

「ハハハハハッ。さすがユーキだな。まさかこの前紹介してもらってから、そんなに日にちが経ってないのに、もう次の精霊とお友達か!」

 やっぱりザクスだ。簡単に受け入れてしまった。これならば、この後のこともきっと受け入れてくれる。いや、本当にザクスがザクスで良かった。

 キミルの紹介が終わったら、次はこれからのことを説明だ。説明…。見てもらった方が早いか。

「これからきっと、父さん達は規格外のものを見ることになる。ただ、それはこの森にとっても、私達にとっても、とても大切なことだ。何が起きても静かに見守って欲しい。」

 皆んなが頷いた。それを確認して、私はユーキ達のことを呼んだ。ユーキはニコニコしながら私の方へ走ってきた。走るなと言ったのに、まったく。

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