第55話約束とお仕事見学

 お父さんずっと黙ってる。お母さんはエシェットとお友達、良いって言ってくれたけど。僕、お友達出来たよ。新しいお友達だよ。

「とうしゃん。」

 僕がお父さんに声かけたら、お父さん僕をじっと見て、その後、にっこり笑ってくれました。

「ユーキ、新しいお友達できて良かったな。」

「はいでしゅ!」

 お父さんは僕とエシェットに、お約束があるって。それを守れば、ずっとお友達でいいって、言ってくれました。もしそのお約束守らないと、お別れだって。僕もまた悪い人達に、捕まっちゃうって。もし捕まっちゃったら、もうお父さん達に会えないかもって。それは嫌だ。絶対約束守らなきゃ。


 僕のお約束は2つです。エシェットがドラゴンだって、誰にも言わない事と。それと、エシェットの事を大切にする事。うん。これなら僕でも守れるね。

 僕よりもエシェットの方が、お約束いっぱいだったよ。絶対にドラゴンの姿にならない。自分がドラゴンだって言わない。僕から絶対離れない。何処に行くのも絶対一緒。街を歩いて、気になるものがあっても、自分だけで見に行かない。無闇に殺気を放たない。相手を威嚇しない。僕を守る時は、力の加減を間違わないようにする。

 ほんといっぱい。僕に分からないお約束もあったよ。

 なかなか終わらないお約束に、途中でエシェット、お父さんを止めました。

「分かった分かった。人に我の存在がバレなければ良いのだろう。ユーキのためだ。絶対にバレないようにする。だから、もう止めてくれ。」

 それを聞いたお父さんが、お前は本当に分かってるのかって、またまた長いお話始まっちゃった。エシェットは嫌そうな顔して、僕に助けてくれって。

 ダメだよ。ちゃんとお父さんの言うこと聞かないと。ずっとお友達でいたいもん。それをエシェットに言ったら、シュンてして、黙ってお父さんのお話聞いてた。

 お母さんがクスクス笑って、アメリアが、

「もう手懐けておいでなのですね。さすがユーキ様です。もしこの者が、ユーキ様にとって不利益なことしようものならば、私が調教し直しますわ!」

 何かよく分からない事言ってた。

  マシューさんやリアムさんは、さっきまで静かだったのに、大きな声で笑い出して、さすがユーキ、予想の斜め上を行くなとか、今ここだけでどれだけの戦力だよとか、言ってました。

 オリバーさんとノアさんは、ちゃんと約束守って、お友達と仲良くねって。

 なかなかお父さんのお話が終わらなくて、お母さんが動きました。


「あなた、その辺にしておかないと、遅れるわよ。エシェットも分かったわよね。私達はユーキちゃんが、とっても大切なの。絶対約束守ってね。もし守らないようなら。」

 お母さんが僕のお耳を、押さえました。何にも聞こえなくなっちゃった。

「私とアメリアと、私の仲間が命に変えても、貴方が1番地獄だと思う方法で、この世から消し去るから、そのつもりでね。」

「…マシロ、人間の世界は、女の方が強いのか?」

「我は何も知らん。だが、言う事を聞いておけ。」

「オリビアを敵にまわすなよ…。」

「そうか…。」

 全然お話聞こえません。何話してるの?僕も混ぜてえ~。

「かあしゃん、きこえないでしゅ。どうしたでしゅか?」

「ああ、ごめんなさいね。何でもないのよ。エシェットが、お母さんともお約束しただけよ。さあ、エシェットの自己紹介は終わり。これから、お父さんのお仕事、見に行くんでしょう。準備しなくちゃね。アメリアお願いね。」


 僕とシルフィーは、お洋服着せてもらって、お父さんに腰に剣を付けてもらいました。お母さんがどっかから、ネコさん?の絵が書いてある、小さなカバン持ってきてくれました。僕がカバンを持てるように、長いヒモが付いてて、下げてみたらピッタリ。カバンの中には、昨日ザクスさんから貰った、お菓子が入ってました。

「ねこしゃん!おかし!」

「丁度いいサイズだな。何処で見つけたんだ?」

「昨日、宿に戻るときに見つけたのよ。可愛いユーキちゃんにピッタリだわ。」

「かあしゃん、ありがとでしゅ!」

 僕はカバン貰ってルンルンです。そんなルンルン気分のまま、お父さんのお馬に乗って、お父さんのお仕事するお家に。

 お母さん達もお仕事あるから、途中でお別れです。お母さんが、大人しくね、お父さんの邪魔しちゃダメよって。大丈夫だよ。マシロ達いるし、お菓子も持ってるしね。


 バイバイしてから、ちょっと行った所に、お仕事するお家がありました。

「おおきいでしゅね。ここでおしごとでしゅか?」

「ああ。ユーキはここの1番上のお部屋に行くんだ。上からこの街が良く見えるからな。何か面白いもの見えるかも知れないぞ。」

 階段を抱っこしてもらいながら、上がって行きます。1番上は7階でした。大きな窓があって、ルンルンの僕は、抱っこから下ろしてもらって、窓に駆け寄ります。でも、一生懸命ジャンプしたけど、お外見えませんでした。

 お父さんがクスクス笑ってます。うう~。自分が小さいの忘れてた。

「ユーキは面白いな。どれ、今度は我が抱っこしてやろう。これで見れるだろう?」

 エシェットに抱っこしてもらって、お外見ます。いろんなお家が見えました。昨日は夜だったから、お店閉まっちゃってたけど、今はたくさんのお店が、何か売ってました。食べ物のお店と、石を売ってるお店が多いみたい。

 後でお店見てみたいな。でも、僕だけじゃダメだし。お父さんお母さんは、お仕事忙しいし、ダメかなあ~。

「さあ、ユーキ。外ばかり見てても飽きるだろうから、この部屋の中は、好きに遊んでいい。でも、お父さん達の他にも、お仕事してる人いっぱい居るから、静かに遊ぶんだぞ。マシロ達も、大きな音立てたりするなよ。」

「はーいでしゅ。」

 僕は手を挙げて、大きく返事しました。

「では、ユーキ君が飽きてしまわないように、これをあげましょう。」

 オリバーさんが、自分のカバンから、何かを取り出しました。

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