第2話

「すみません。

大丈夫です、ごめんなさい!」


やべぇー!やばい奴だよ。

俺は笑顔を作り何事もなくそのまま横切ろうとする。

不快な気持ちさせず・・・

よし!静止の声は無かった。


(もしイエスなんて答えたら

異能バトル?イベントが

起きていたのかな。

そして、俺を救うメインヒロインである美少女が現れたり・・・・

さすがに無いな)


もう高校生なのだ。中二病は卒業して忌まわしい記録として

封印している。・・・やっぱり戻って今からでもイベントフラグを

立ててモテモテルートにするか。とそれが間違いだった。

振り返ると、他校の制服した美少女が走ってきた。何故か涙目で。


「ひいぃっ!?」


つい、情けない声を出てしまった。どうして追いかけるの!?


「ま、待ってアグニ。どうして逃げるのだ!前世ぜんせでは、め・・・夫婦めおとちぎりをわした仲ではないか!」


左の隣に歩行になる彼女。

何をからかっているんだよと思い横目で見ると頬にはトマトのように赤くなり目には真剣だった。


「・・・ま、マジなのか!?」


「そ、そうだ。アグニ思い出したか!」


ここまで言うのなら前世の記憶は本当なのか。

正直、荒唐無稽こうとうむけいで受け入れにくいが厳粛げんしゅくで決意の表情には何かを取りかれた焦燥感しょうそうかん

俺は足を止めると彼女も歩くのをやめる。


「・・・いや、覚えていない」


「仕方あるまい。わたしも最近になって戻ったばかりであるからな」


「その、えーとシリウスブラックだったか?」


「そうだ」


腕を組み頷く彼女は、子供ペンギンが背伸びしたような大人のように見せようとする愛くるしさに

頬を緩みそうになる。



「さっき、付き合えって言っていたけどそれでアグニだった記憶が戻るのか?」


「さ、左様。も、もし夫婦めおとの契りをわたしと、

また交わすことになるが・・・

覚悟はあるのか?」


な、なんだと!?美少女に夫婦の契りを交わすなんてイエス以外の返事があるのか!

俺の人生なんて彼女できるわけなく、妹がいなければ学校でのフラグは皆無と幼馴染はいるが彼氏がいて扱いはひどいでラノベみたいにラブコメはない。

けど、俺の返事に真剣に悩んで不安げな前世の記憶を持つシリウスブラック。


「いくら前世で夫婦めおとと言っても俺はきみをよく知らない。だから、少し考えてもいいかな?」


「そ、そうだな。

それじゃあ何かあったら報告とかしたひゃいからぁ・・・連絡先を

教えてぇぇ!」


うーん、かなり噛んだけど指摘はやめよう。


「いいよ」


「フッフフ、そうか。そうなのか・・・・・やった、やったよ!」


最後、何か小声で言っていたけど

呪文でも唱えていたのだろうか?

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