其の愛は致死量なりて

一澄けい

懐古—もう戻れないあの頃へ

恋をすると世界が輝いて見えるというのは、あながち嘘ではないのだと、私は思っている。

だって、本当にそうなのだ。

彼女に出会って恋をしてから、私の目に映る世界は、彼女を中心にして、キラキラと眩いほどに光り輝いて見えたのだから。いつだって彼女という存在は、何にもない私の世界を照らす、眩しいほどに輝く太陽だった。

好きだった。大好きだった。世界で一番、私は彼女を愛していた。

彼女は私の全てで、私にとっての光だったから。だからきっと、彼女がいなくなった私の世界には、なんの価値もない。あんなに煌めいていた世界は、もう二度と戻ってこない。

それならもう、こんな世界は、捨ててしまおう。

そんなことを考えながら、私は足裏で椅子を蹴り飛ばす。


ねえ、ちゃんと見ててよ。

貴方へ送る、最初で最期の、愛の告白を。

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