第17話 ルカの部屋
「だだいまーって誰も居ないんだった」
西園寺の家へと到着し、とうとう家の中に入ってしまった。玄関で靴を脱ぎ、立ち止まっている俺に手招きをする。
「入って入ってー。さっきも言ったけど誰も居ないから安心して。この家には私とゆうくんだけだよ」
西園寺の家は一軒家で作りはごくごく普通な一般家庭にある家だった。
「私の部屋は2階だからついて来て」
早々に西園寺が階段を上がって、俺はその後ろ姿について行く。
考えてみると女子の部屋に入るのは初めてだ。甘い香りや女の子ぽっいピンクの部屋だったり可愛い部屋だったりするのだろうか。俺は期待を膨らませて、顔を上げてみるとそこには西園寺のスカートの中が見えた。赤くちょっぴりで激しめな西園寺のパンツは目を逸らさないといけないはずなのに逸らせずにいる。
「ゆうくんちゃんと来てる?.....ってゆうくん!!」
西園寺が後ろを振り向き、俺の視線に気づいてしまった。するとスカートを抑えて、顔を赤らめる。
「ど、どうした?」
俺はすぐさま視線を逸らし、何もみていなかったフリをするが、
「私のパンツ見てたでしょ?」
「み、見てない」
ジト目で見つめてくる。
「嘘、見てた」
「偶然目に映り込んで」
「ゆうくんのえっち」
「ご、ごめん」
「別にゆうくんならずっと見てても良いよ」
「見ねぇーよ」
「見たいくせに」
「そんなことは...ないよ...」
「そう?ならそういうことにしてあげる。これからいっぱいイチャイチャ出来るし、早く来て」
西園寺が階段を上り切ると、目の前にはピンクのドアがありそこにはルカと書かれた小さな看板がつる下げられている。
ドアを開き中へと入るとそこには意外にもヲタ部屋が広がっていた。
「えっ?」
俺は想像と遥かに違っていて思わず素っ頓狂な声を発してしまった。
壁一面には数々のアニメポスターやタペストリー。ガラスケースの中にはフィギュアや本棚には漫画やラノベ。ヲタク部屋としか言いようがないアニメグッズが部屋中に広がっている。他にもテレビやピンクのベット、カーペットや勉強机はちゃんとした家具だった。
「驚いてる?私ね。アニメ大好きだからこうやって推しキャラのポスターやタペストリーを飾っているんだ。なんかゆうくんの部屋と似てるね。えへへ」
(ゆうくんの好きなアニメを見てそのポスターやフィギュア、漫画やラノベまでゆうくんの好みを飾ってみた。べ、別に普通にアニメ見てたらハマってしまったとかじゃないから)
「西園寺。お前、思ったより良い奴だな」
俺は今までヲタ友というものが居なかった。西園寺が推しキャラが桜と言っていたが、ここまでガチだとは思わなかった。だから思わず目を輝かせて西園寺の手を両手で握ってしまった。
「ル、ルカって呼んで?それにそうよ私は良い奴なのよ。アニメが好きでそれ以上にゆうくんが好き。ゆうくんと趣味まで会うんだから」
(ゆうくんが私の手を握ってくれてる。自分からは一回も握ってくれなかったから初めて握ってくれて嬉しい。これはアニメヲタク作戦成功よ!効果抜群ね。け、決して私が好きってことじゃないんだから)
「俺たちこれからヲタク仲間な。ルカ」
「うんっ!ヲタク仲間とゆうくんの恋人ね」
「なぁ、ゲームとかもするのか?」
「なんかスルーされた気がするけど。私もギャルゲとかやるよ!」
「マ、マジか!?ならこれからアニメ見て、ギャルゲ一緒にやろ!」
(こんな嬉しそうなゆうくんを見るの初めて。ゆうくん可愛いっ)
「ゆうくんと一緒なら何でも...する」
(ゲームをする中でゆうくんとイチャイチャしまくるんだから)
「よし!やるか」
「やろっ!私楽しみ」
「俺もルカと一緒にやるの楽しみ!」
(ルカと一緒ルカと一緒ルカと一緒・・・・・。頭からゆうくんの言葉が離れない。私今顔が凄く熱い...)
「ゆうくんからリード...。嬉しいっ」
(ゆうくんとゲームして、その中で芽生える恋心。これは誰よりもゆうくんの心を掴んだわ。絶対負けるもんか)
これから私たちは2人だけの夜を過ごそうとしていた。
「このドアなかなか開かないです」
メイドはトイレを開けようと試行錯誤していた。
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