第16話 メイドと西園寺ルカ

【ヒロイン達が主人公を占領できる時間】


【柚木天音】6時〜12時【黒崎千崎】12時〜18時【西園寺ルカ】18時〜24時【メイド(長峰凪)】24時〜6時


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「長峰ぇ!!!ドア開けろ!」


最初は我慢できていた西園寺だが、どんどんと音が激しくなるメイドに怒りが収まらずトイレのドアノブをガチャガチャと開けようとしている。


「い、いま大事なところなんです」


トイレの中からはメイドの少しうわずった声が聞こえてくる。


「な、何がよ!?もうあんたはゆうくんの部屋から出てもらうわ!私とゆうくんの邪魔をしないでよ...良いとこだったんだし」


「私はトイレから出てません。トイレで何しようと私の勝手です」


「ふざけんじゃないわよ!部屋中にあんたのはしたない声が響いているの。気づいてなかったわけじゃないわよね?」


「私はゆう様との愛を深めていただけです。それにゆう様のことを思うとついしてしまいます」


「それはあんたの一方的な愛でしょ!?あと、するな!!」


尚も西園寺はドアを開けようと試みるがメイドが抑えており開く気配がない。


「ゆう様を思ってはいけないのでしょうか?それだけが私に残された唯一の楽しみなんです」


「知らないわよそんなの。でもゆうくんで変なことをするのだけはやめて」


「出来かねます。私に死ねと仰っているのと同じです」


「あんた図太い神経してるじゃない。それなら私にも考えがあるわ」


西園寺は何かを閃いたのかドアを開けるのをやめた。


「何でしょうか」


「ゆうくん行こ」


「どこに?」


「私の家」


「え?」


急に言われて驚いてしまう。


「長峰さんが邪魔だから」


「......」


こんな夜が遅いのに部屋に行っても大丈夫なのだろうか。そもそも俺の部屋に美少女2人も家にいること自体が不思議なんだが。


「私とイチャイチャしたくないの?」


「いや」


西園寺の圧力には逆らえない。怖すぎる。


「だったらいこ?」


「わかった...」


「ま、待ってください!それでしたら私も行きます」


「あんたは一生トイレで過ごしなさい!」


西園寺はそう言う間にも俺の部屋からガムテープを取り出してくる。何故ガムテープが閉まってある場所がわかるのやら。


「ゆう様の身の回りの世話をしないといけません。メイドとしてお側におつきします」


西園寺はトイレのドアをガムテープで何重にも繰り返して貼る。


「ごだごだうるさいわね。長峰さんほっといて私たちは早く行きましょ」


さらに部屋にある机と椅子をトイレの前に置く。


「ゆう様私を置いて行ってしまうのですか?」


「これで良しと。ほらゆうくん行くわよ」


そして、メイドを閉じ込めること成功した西園寺は汗を拭い満足したように微笑む。


「ま、待ってくださいっ、、、ちょっとトイレのドアが開かないです。もしかして私を閉じ込めたのですか?」


「少し可哀想なんだが」


「何か言った?」


「いえ」


「本当に私を閉じ込めてしまったのですか?少し困ります。出れなければゆう様のベットで寝れないです。なので早く出してください」


メイドの声が後ろから聞こえてくる。その間に靴を履き、ドアを開けるとき西園寺が最後に言う。


「無視よ。あんたはずっとそこに居なさい。行くわよゆうくん」


「ドアが、ドアが。待ってください!待ってくださいゆう様...。絶対24時には帰ってきてください」


メイドの叫び声を遮るように締められ、俺は西園寺の部屋へと向かう。


「西園寺、急に家行って親とか迷惑にならないか?」


「大丈夫!うちの両親温泉旅行行ってるから。それにルカ。私のことはルカって呼んで」


そして、俺は西園寺の部屋に行くことになった。

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