第10話 みっちゃん
「誰だ」
5月中旬の入学してまだ一ヶ月ちょっと。普通の人はクラス全員の名前を覚えているかもしれないが、陰キャの俺は誰にも話してこなかったのでこのロリが誰かなんてわかるわけがない。
「みっちゃんよ」
黒崎がロリを見るなり俺の問いに答えた。
「それでゆう!皆んなゆうの為に頑張ってるんだから、ゆうも優しくしなきゃダメなの!!」
みっちゃんは俺に人差し指を向け、頬を膨らます。
「ゆうって、ずいぶん馴れ馴れしいな」
「悪い?私は誰に対してもそうなのよ!心の距離を縮める努力をしてるの!」
「みっちゃん」
そんなこと言うなら心の距離を縮めてみる。
「な、何よ!」
俺がロリを呼ぶと少し動揺した。可愛い。
「小さいな」
俺の胸のあたりにロリが居て身長は150cmくらいだろうか。俺はつい声に出してしまった。
「私が一番気にしていることを今言った!!私は小さくないもん!普通だもん!!それにゆう、失礼すぎる!!」
「すまん。思わず口にしてしまった」
「永久に口を閉じてもらいたいの!!」
「それでロリ、部外者がー」
話に入ってくるなと言おうとしたが、何か違和感があった。みっちゃん?どこかで聞いた名前だ。
「部外者⁉︎そんな言い方ってあるの!!後、ロリって私のこと⁉︎」
「心の距離を縮めようとしてニックネームをつけてみた」
「.......」
「どうした?」
「ふ、ふざけんじゃないわよ!!この私のどこがロリだーーーー!!!その口をペンでぶっ潰す!ゆうが授業中寝たら警戒することね!血が止まらないほど刺すわ!!」
「勘弁してくれ。すまなかった」
全然思ってないが、こう言わないとロリの気がすまないだろう。
「私に恐れ入ったのなら今後は言葉を謹みなさい!!次私の禁句言ったら口をへし折るから!!」
「へいへい」
幼稚園児の戯言だと思い、軽くあしらう。
「私みっちゃん嫌いだからどこかへ消えてほしい〜」
「な、なぬ⁉︎嫌い?何で!私は天音ちゃん好きだよ!だから私を嫌わないで!」
「無理〜。色々噂吹き込んでいたの知ってるよ〜」
「そうよ!べ、別に私は構わないんだけど、ゆうくんと付き合っているのバラされたの少し恥ずかしかったんだから...。秘密だったのに...」
「私のことはどうでもいいけど、噂でゆうちゃんを傷つけたのは良くないと思う」
「皆んな何よ!せっかく私が助けに来たのに皆んな揃って酷いじゃない!まぁ噂は流したかも知れないけど、それは私の口が軽いから!思ったことが口に出ちゃうの!」
「わかったわ。ならゆうちゃんに謝って」
「そうよ。謝りなさい」
「ご主人様を傷つけたのなら謝るのが正しいです」
「誤って〜」
「ぐぬっっ!ごめん...な...さ、、、、、いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!もう帰るーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
ロリは泣きながら教室を後にした。確かに噂を流したのは良くないが、それにしても可哀想だった。
「で、ゆうちゃんは考え直してくれた?」
黒崎が俺に聞いて来た。考え直す必要はないと思うが。
「いや、そんなことはないが」
俺がそう言葉を発した直後メイドが話し出した。
「恐縮なのですがご主人様。先程、ロッカーでご主人様がー」
「あー。うん、わかった。そのルールで大丈夫だ」
俺はロッカーでのことを思い出し、渋々ルールを引き受けるしかなかった。
「良かった!!!でも、何か怪し」
ロッカーでのことを知らない三人に怪しい視線を送られた。
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