第9話 ルール
【ヒロイン達が主人公を呼ぶときの呼び名】
黒崎千崎→ゆうちゃん
柚木天音→ゆうさん
西園寺ルカ→ゆうくん
長峰凪(メイド)→ご主人様、ゆう様
矢崎→ゆうくんっち
みっちゃん→
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俺が教室に入ると、あいつらがいた。
教室の後ろのロッカーに寄りかかりながら腕を組んで話す黒崎、柚木、西園寺。
その和やかな空間に誰もが意識してしまう。
そして、俺たちが教室に入るのに気づくと目を輝かしながらこちらに振り向いた。
「やっと来たわね。長峰さん。あなたゆうちゃんとどこでな・に・をしていたの??」
黒崎がメイドに問い詰める。あれだけ探し回ったのだから黒崎は怒っているのかと思っていたが笑顔で聞くのだから逆に怖い。
「......」
「ま、まぁ言いたくないならそれで構わないわ。それでさっきこの2人と話し合ったんだけどルールを決めたの」
先程まで敵対していたのにいつの間にか仲良くなっている。一人標的を見つけるとすんなり仲良くなれるのか。
「言葉にするのは恐縮なのですが、もしかして私に勝てないからルールなどという縛りを作ったのでしょうか?」
「ち、違うわ!ただゆうちゃんとの交流を平等にしようと思っただけよ」
言葉では否定しても黒崎は動揺を隠せない。
「先程までは独り占めしたいとおっしゃっていましたが」
「そ、それは心を入れ替えたというか、そうよね!?柚木さん、西園寺さん」
(心を入れ替えたわけではないわ。私はゆうちゃんを独り占めしたいに決まっている。ずっと、ずーっと一緒に居たい。だから私は誰にも負けないの)
「そう!長峰さんに勝てないからってルールを決めたわけじゃないんだから!ゆうくんには選ぶ権利があるの!」
(私はゆうくん大好きだから絶対、ぜっーーたいゆうくんを取られる訳にはいけない!だからルールなんて決めたけど、そんなもの破ってこの私がゆうくんを手に入れてみせる!!)
「ゆうさんが他の人と付き合ってたのは驚きなの〜。でもそんなゆうさんも大好きだから皆んな平等でいい〜。だからメイドさんはひとまずルール聞いて〜」
(殺してでもゆうさんを手に入れる〜。私はマイペースでゆっくりで世界なんてどうでも良いと思ってるけどゆうさんだけは好きだから。必ず勝つよ〜)
「無理です。私はご主人様が好きなので皆さんにゆう様を渡したくありません」
(ご主人様の世話をしなければいけません。なので片時も離れる訳にはいけません)
「強欲なメイドね!だったらゆうくんの意見を聞くのもメイドの仕事なのではない?」
「ご主人様の命令通りに従うのがメイドの仕事です。なのでご主人様が好きにすれば良いと思います。私は嫌ですけど」
「で?どうなのよ」
西園寺は俺に頬を赤らめながら聞いてくる。
「俺はお前たちと別れる!!」
告白した覚えもなければ付き合ったこともない。だから別れるなんて変な話だが、こうも言わなければこいつらは引かないだろう。メイドとのこともあり、こいつらは本当に俺のことが好きで勝手に妄想に浸っているなんて思ってもいいかも知れないが、俺には到底信じられない。俺を好きになる理由もなければ関わったこともないのだ、ある意味こいつらは怖すぎる。嘘をついてるのは確実だ。
「ゆうちゃんの承諾も得られたことだし、ルールを説明するわ」
いや承諾してないぞ。黒崎は俺の意見を無視して話を進める。
「そうね。早くやりましょ!長峰さんも良いよね?」
「そうですね。ルール聞きたいです。ご主人様のバカ」
「やりましょう〜」
「ではルールを言うわ」
「って、話がねじ曲がってないか?俺の話を聞いてた?」
皆んな俺の存在に気付いてないみたいだ。
「えーと、まずは時間を平等に四等分にしてゆうちゃんとの時間を分け合うことにしたの。24時間で6時間おきに交代していってゆうちゃんとの時間を楽しむの」
「時間帯はどうするんですか?」
「それは一週間ごとに勝負で決めるわ。自分の好きな時間に勝った人から決める。そして、時間帯は朝6時〜12時、12時〜18時、18時〜24時、24時〜6時とこんな感じで考えているわ」
「そうですか。それでは勝負はどのように行いますか?」
「勝負はその時の気分で決めるわ。そこは皆んなの意見を募って平等にやるつもり。ジャンケンだったり大富豪でも構わないわ」
「正直私はご主人様と一緒に入れないのはとても寂しいです。でもご主人様の先程の発言を聞いてしまうとルールに従った方が考え直してくれると思います。なので、私はそれで構いません」
「良かったわ。もう一度聞くけど柚木さんと西園寺さんも良いわね?」
「もちろんよ!ゆうくんは私のもの!」
「えぇ〜。大丈夫〜。誰にも負けない〜」
「なら決まりね。早速今日から始めましょう!」
「っておい!俺の意見はどこ言った!それに俺は認めないからな?24時間一人になれる時間がないし、何でお前らと一緒に居ないといけないんだ」
「ねぇ!その言葉は酷いんじゃない〜?ずっと様子を見てたけど看過できないの!」
下から声が聞こえたので向くとそこには茶髪ロングでストレートに髪を下ろし、前髪はパッツン。純粋無垢な茶色の目を向けられると押し黙ってしまう。何だこの可愛い生き物、頭を撫でてやりたい。幼い声を出し、制服もサイズが合わないのかぶかぶかで下から見てくる少女。
要するにそこに居たのはロリだった。
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