第19話 卒業と旅立ち

「本日をもって、この場に集っているあなた方は無事に本学園を卒業する運びとなりました。

わたくしは、この学園での学びがこれから始まるあなた方の新しい人生の糧となる事を願ってやみません。

どうぞ、この学園の卒業生としての誇りを忘れずに日々の生活を送って下さい」


学園長の祝辞の挨拶が終わり、俺のこの学園での学生生活も終了となった。



「エディオン、今日はこれからどうするんだ」


「今日は夕方近くまではのんびりかな」


「じゃ、エディオン。私たちと卒業を祝う会をやりましょうよ」


「賛成!偶には付き合うでしょう」


「そうだな。今度何時会えるか分からないし...偶には付き合うか」


この日は、初等部から高等部まで一緒に過ごした3人と夕方近くまで近くの喫茶店でこれまでの学園生活を振り返りながら会話を楽しんだのだった。


◇◇◇◇◇


卒業式を終えて、二日後...。


この日の俺は朝食を済ませると、領都の中心地区にある冒険者ギルドへと足を運んでいた。


「済みません。ギルドへの登録をお願いします」


登録カウンターと書かれた窓口に向かい、俺は受付嬢へと声を掛ける。


「はい。ではこちらの用紙に大まかで結構ですから記入をお願いします」


俺は渡された用紙に名前と適性、年齢を記入すると受付嬢へと提出した。


「ありがとうございます。

お名前がエディオンさん、18歳、適性が剣で宜しいでしょうか」


「はい」


「ではこちらのカードに触れて魔力を少し流して頂けますか」


俺は渡されたカードに魔力を流して行く、するとカードが淡く青色に発光して直ぐに元の状態へと戻った。


「これでいいですか」


「はい、ありがとうございます。

これでギルドへの登録は完了となります。

後は、会員が守るべき事柄と制度についてお話させて頂きますね」


それから30分程、受付嬢から説明を受けて冒険者の心得という冊子を貰うと俺は真っ直ぐに屋敷へと戻ってきた。



「エディ、ギルドの登録は出来たのか...」


屋敷の玄関に入るなりアンソニー兄さんが声を掛けてきた。


「大丈夫。すんなりと登録出来たよ、アンソニー兄さん」


「それで、旅にはいつ頃出掛ける予定なんだ」


「そうだねぇ。色々と準備もあるから10日後位かな」


「そうか、何だか寂しくなるな。エディにも領地の運営を手伝って欲しかったんだけれどな」


「そこはほら、俺は兄さん達と違って領地以外をまだ見て回ったことが無いから見聞を広めたいんだよ」


女神アイネ様からのお願いがあるとは言えないからなぁ。


◇◇◇◇◇


冒険者ギルドに登録をしてから10日目の朝、いよいよ旅立ちの日がやって来た。

俺は家族と使用人、そして常駐している騎士達に見送られて屋敷の門を出る。

そして、初めての旅をスタートさせたのだった。


「エディちゃん、ついに行ってしまいましたね...あなた」


「エディは黙っていたが、やらなければいけない使命があるのだろう。

私達はエディが無事に帰って来ることを祈ろうではないか」


◇◇◇◇◇


いよいよエディオン君の旅がスタートしましたね。

これで私もやっと本腰を入れて事にあたれるわ。


でも...エディオン君が一人寂しくない様に、先ずは旅のお供を付けましょう。


エディオン君が身長185cmあるから、10等身のボディで身長を170cmにして。

そうね髪の長さは腰まであるロングヘアにして色はピーチかしら。

目鼻立ちはキリッと、瞳はスカイブルーがいいわね。

透き通るような色白で、B:90F W:60 H:85 F:24.5㎝こんな感じでいいかな。


え~と、エディオン君はいま何処かしらね。


領都の南門を抜けたわね。


「エディオン君。いまいいかしら」


領都の南門を抜けて街道をのんびりと歩いているとアイネ様の声が頭の中に送られて来た。


「はい。アイネ様大丈夫です」


俺が了承の返答を返すと。


「エディオン君申し訳ないのだけれど、少し街道を逸れて人目に付かない所へ移動して貰えるかしら」


「はい。分かりました」


アイネ様に言われた通りに俺が街道を逸れて人目に付かない林の中で待機していると、突如俺の目の前に魔法陣が構築される。

そしてその魔法陣の光の中から一人の綺麗な女性が姿を現した。


「えっと、どういう事ですか。アイネ様...???」


「あっ、その子はね。エディオン君の旅のお供として私が用意したの」


「はぁ~」


「取り敢えず。名前を付けてあげて欲しいのよ」


唐突に名前をと言われても...。

と愚痴を言っても始まらないと思い留まり名前を考えることにした。


ん~......。


「ソフィア」


俺がそう口にした途端、目の前に立っていた女性が閉じていた瞼を開けると、俺に抱き着いて来た。


「......???」


「エディオン様、不束者ですがよろしくお願いします」


俺は一瞬気が遠くなり掛けたが...何とか、気を取り直してアイネ様を問いただした。


「どういう事ですか。アイネ様‼」


「え~と、設定をミスったかしらねぇ。

でも...この世界の常識は全てインプットされているから大丈夫よ!てへっ...」


上手く誤魔化された感じがしないでもないが、ここは女神様の顔を立てて受け入れることにしよう。



こうして、突発的なイベントが突然発生して旅が始まったのだった。

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