三男で始まった俺の異世界貴族生活
あんドーナツ
第1話 その日は雨模様だった
西暦20⁇年10月⁇日の日曜日、俺は鈴◎サーキットで行われている全日本スーパーバイクレースの最終戦で出走していた。
だがこの日は、あいにくの雨模様でウェットコンディションの荒れたレース展開となっていた。
そのレースも残りの5周という処まで進んでいたのだが、出走台数20台の内8台が既に、雨でタイヤを滑らせて転倒を喫しリタイヤとなっていた。
その厳しい気象条件の中、俺は先頭を追い掛ける3番手を走行していた。
そして、最終ラップを迎えた第1コーナーに進入した時、路面に薄っすらと滲んでいたオイルを踏んでしまい転倒を喫してしまったのだった。
雨で滑りやすくなった路面は転倒した時のスピードを緩めることも無く、俺とバイクをスピードに乗せたままサンドハザードのその先にある障壁まで吹っ飛ばしてしまった。
サンドハザード自体も雨で締まり硬くなっていたのもスピードが落ちなかった要因の一つだった。
そして、壁に激突した俺の意識が無くが動かないので、急遽ドクターヘリで病院へと救急搬送される事になった。
だが病院に到着するまでの間も、救急救命士が一生懸命に蘇生を試みてくれていたみたいだが俺の意識が戻る事は無かったらしい。
何故か、他人事のような話し方だが......。
それには、理由がある。
俺の目の前にいる、女神様がその状況を説明してくれたからだ。
「以上です‼」
「そうですか。それで、俺はこれから先はどうなりますか?」
一応、天国に行くのか地獄に行くのか聞いて置くことにした。
「速水さんが望むのであれば、私が受け持っている世界に転生という形で、新たな生命を授けることが出来るのですが、いかがでしょうか!」
「え~と、その世界はどういった所なんですか?」
何となく気になったので、女神様に質問をしてみた。
「その世界はですね、一言でいうと魔法が生活と共にある世界になります。
速水さんの記憶の中で言えば、ハ◎ーポッターの世界感に似ているでしょうか」
「成程。それは、面白そうではありますね」
女神様からの説明を聞いて、魔法が生活と共にある世界というのは凄く魅力的ではあるなと俺は思った。
「私は“死と再生”を司る女神ですから、速水さんをこちらの世界に送り出すことには何の問題もありませんから安心して任せて下さいね」
俺は女神様の言葉を信頼して、その世界に転生する事を選んだのだった。
俺は、貴族の三男としてこの世に生を受け、優しい家族の下で健やかに元気に成長していた。
そして、俺が無事に転生を果たしてから早5年の歳月が過ぎようとしていた...。
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