金持ちの家で生まれた人間が、初めて恋をした話
火弥白
プロローグ
生まれて初めて恋をした。
いや、これが世間一般で恋と呼称されるものなのかどうかは自信が無い。
何しろ私の実家である、宗谷家は金持ちなのだ。
よくは知らないが、曽祖父辺りがどかんと一山当てたらしい財産を持て余した我が家は何百坪もの広さを誇る豪宅に何十人もの使用人を侍らせている。
違うんだ。これは唐突な自慢ではない。きちんと脈絡のある話だ。
だからブラウザバックをするのはもう少しだけ待って欲しい。
やれやれまったく、生まれた時から貧乏である人間に説明するのは骨が折れる。
すぐに、あれ自慢だそれヤリチンだと嫉妬して自分の持たない物を羨ましがる。
努力もしないでつけあがるな。
栄光に手を伸ばそうともしていない癖に、蔑んだ眼差しで私を見るな。
それでも金持ちである私のおこぼれを少しでもあやかりたいと言うのなら、まずは帝王学を1から学ぶのをオススメする。
父が多国から買い込んだ書物を、どうしてもというのならタダで貸してやらなくもない。
そして生き方を見直せ。今まで費やしてきた無駄な人生を泣いて悔やめ。
………また話が逸れてしまった気がする。
正直、こんな話はどうでもい。
今大切なのは、これほどまでに人生に余裕がある私でも分からない事があるということだ。
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