ロスト・ライト~白金(しろかね)の神託~
陽炎美影
Prologue
ハルティア大陸北西部には、一風変わった城壁が存在する。黒レンガとも、石ともとれぬ微妙な色合いの固形物で構築されたそれは、とある国の国境線も兼ねていた。
「カリト共和国」、他国からは「城塞国」とも呼ばれるそこは、周辺国との交易をあまり行わない、所謂鎖国状態の国である。大きな城壁の内側に入ることが許される者は少なく、その実情の多くは謎に包まれていた。
しかしある時、一冊の本が出版された。まさにそのカリト共和国を舞台とした、架空の創作話とは思えぬ生々しさを孕んだそれは、実は作者自身が経験したことを綴った「自伝」だった。
かつて陸軍に従事していたという彼女が記したカリト共和国。
それは、当時のカリトの一人歩きした印象として根深かった「鳥籠の中のディストピア」を、根底から覆すこととなる。
これからお話するのは、後にそうした自伝を記し、一気に国内外で知名度を上げることとなる、右目に異能力を宿す少女兵、リーア・ヴォストが十八歳の時の物語である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます