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私は未来を考えて生きてなかった。
独りで生き、独りで死ぬ。
それが私なんだと。
どこかで醒めていた。
優しさに触れる事を恐れていた。
誰も哀しませたくなかったからもしれない。
哀しみたくなかったからかもしれない。
ミクやユダ達の輪の中に入りたかった。でも入らなかったのはそういう理由からかもしれない。
私は私を変えたくて、お金を稼いだ。
トオルの言った[500万貯めたら人生が変わる]その言葉を信じて貯めた。
貯めて気付いた事は、変わりたくなかった事だった。
私は私で満足していたのだ。
誰にも依存しない。
私を理解するのは私だけで良かった。
私の世界では私しかいなくて、むしろ他の誰かがいるのは嫌だった。
それが個性というのなら、そんな私らしさを気に入っていた。
孤独の強さを持っていたかった。
ずっと独りだった。
病気の事は皆には内緒にしておくつもりだった。
私の為に、時間も感情も労力も使わせたくなかった。
優しさに触れたくなかった。
私を慰めるのは私。
それで充分だった。
ホントに?
何度も自問自答した。
他人から慰め、優しさを貰うのは心地好い。気持ちがいい。
でも、私にはその優しさにどう接したらいいか分からない。
誰かに迷惑をかけてしまってるような罪悪感すら感じる。
突き止めていくと、誰かに頼る自分の弱さを認めなければならなくなる。
それが一番嫌だった。
時間は3年しか無いが、考える時間はたくさんある。
やりたい事は?
心残りは?
それを考え始めた。
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