.12

数日…私はキャサと一緒に過ごした。


キャサはやはりその世界では有名だった。


誰もがキャサに頭をさげた。


ある日、キャサの運転で人に逢いに行く車の中…私はキャサに聞いた。

[なんで、女王様になったの?]


キャサは前を見ながら言った。

[私は本当は弱虫なのよ…でもオカマだからって、なめられたり、バカにされたくないのよ]


私をチラッと見てまた話し出した。


[それにせっかく産まれてきたからには、なんか残したいでしょ。普通のタダのオカマで終わりたくないのよ]


キャサはタバコに火を付け…黙ったまま運転した。


私は何の為に女王様になって生きるの?


答えは出ていた…生きてる事を実感したいから。


私が生きてると実感できる瞬間…快楽に身を委ねてる時だけ。


神崎パパ…神崎護…に抱かれた時が本当の私のような気がした。


[着いたわよ]…キャサの呼びかけで我に返った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る