.4 恵美19歳

電話の向こう側、やかましい音楽。途切れ途切れに聞こえてくる声。

ふいに静かになる…「もっしもし?誰ん?」

懐かしいトオルの声…誰に対してもふざけたような口調。


真面目になった事ってあるのかしら?

私は思った。


「私…覚えてますか?」

多分覚えてない…もう2年の前。


「う~ん…ヒント欲しいなぁ」

笑いながらトオルは言った。


「ヒント…500万」

トオルにつられての私の返事。


「お~う!恵美ちゃんかぁ。どうした?さぞかしおっきくなったんじゃね?胸が!」

トオル…高いテンションが更に高くなる。


「仕事したいの…」

私は最初に言った…ダラダラ話すと決意が揺らぎそうだったから…。


トオル…「いいよ~。普通の金稼ぎじゃつまんないんだろ?」

とても軽い返事。あっけなかった…私は拍子抜けした。


トオルは店の名前を言った…「ほとんどそこにいるからね」

そう付け加えて電話が切れた。

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