第54話
まずは、自分の置かれている現状の確認が必要だな……。
俺は家の中を確認していく。
寝室に居間に父親の書斎。
どれも俺が、最初にアルスの知識と経験が融合されたときと同じ状態だ。
「そうすると完全に同じ時間に巻き戻ったのか? いや。だが……、そんなことが可能なのか?」
俺は顎に手を当てながら考える。
そもそも時間連続体というのは、同じ時間軸を一方通行に積み重ねていくものであって、その時間軸を遡ることは不可能だと科学的認識から地球で大半の学者から否定されていたはずだが……。
問題は……、この世界には魔法が存在するということ。
その魔法が、どこまでのことが出来るか分からない以上、考えるのは無駄なんだよな……。
もう溜息しかでない。
それでも、死に戻りがあるなら、ある程度は無茶が出来る。
とりあえず……。
「川原にいくか……」
俺は母親に不審に思われないように……、まてよ? 俺が水を汲むようになったからニートのアルスがよく思われたのも魔王認定の引き金の可能性が……。
「お母さん、ちょっと散歩に行ってきます」
「ええー!?」
寝室で片付けをしている母親に言うと驚いた声をあげると俺に近づいてきて抱きしめてきた。
「とうとう、引きこもりのアルスが、外に……」
おいおい、一体、アルスはどれだけ親に迷惑かけて……。
とりあえず、俺の母親であるライラは、結構な美人で胸も大きい。
おかげで真正面から抱きつかれている俺は母親の胸に顔を突っ込んでいて。
「お母さん、苦しいです……」
俺がジタバダしている間にも母親は、俺の頭を嗅いで、やっぱり私の息子は最高だわ! といっていた。
ようやく解放された……。
俺は、疲れた身体を引き摺って川原に到着した。
「やっぱり岩も元通りだな……」
俺は砂にしたと言われた岩も、元通りの大岩に戻っている。
そして山の方を見ても中腹には森しか見つけることができない。
「ふむ……」
総合的に考えると、山の中腹に存在していた城は魔王の城とか封印されたものだったんだろうな。
それを俺が破壊したと……。
「死ぬ間際に、理解したことは二つ」
俺は、川に手を向けながら頭の中で炎が作られる現象を思い浮かべる。
大きさは1メートルほどの炎の玉。
「ファイアーボール!」
俺の言葉が、その場に鳴り響くが魔法が発動する様子は無い。
次に思い浮かべるのは、誰かを守りたいというイメージ。
それは――。
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