Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~

なつめ猫

第一章

第1話

 ローレンシア大陸南西に位置するフレベルト王国アルセス辺境伯領内のさらに辺境に位置する村ハルス。

 ハルス村は、アルセス辺境伯領内でもっとも辺境に位置しており、統治している貴族も位のもっとも低い騎士爵である。

 フレベルト王国において騎士爵は、長男しか貴族の地位を名乗ることは出来ない。

 そして、その長男に生まれた俺は、一応は騎士爵を継ぐ予定になっているというのが、俺が昨日の夜に突然の頭痛と共に、アルスという少年の記憶から手に入れた情報。


 昨日の夜、俺は寝る間際にいきなりの頭痛に襲われ痛みを両親に訴える暇もなく意識を失ってベッドの上に倒れた。


 そして夢の中で自分が社会人として暮らしていたことを追体験していた。

 名前は、桜木優斗(さくらぎゆうと)で、年齢は47歳。

 多くの派遣業を転々としていて、趣味は読書。

 化学の書物や医学書、歴史物を好んで読んでいた。

 あとは若者向けのライトノベルくらいだろうか?


 だから、昨日の夜に突然、頭が痛み前世の記憶を思い出してからは、わりとすんなり自分の置かれた境遇を理解できた。


 そして、アルスという少年は生まれてから、すでに5年経っている。

 つまり5歳の少年ということだ。


 それよりも、問題は何故、自分が死んだのか? ということだ。

 その理由が、思い浮かばない。


 思い出そうとしても、最後に思い出せるのは仕事から帰ってきてベッドに入って目を閉じるところまでだ。

 それ以降の、記憶がまったくない。


 まぁ、分からないことは考えても仕方ないだろう。

 あと回しにしておいていい。


「アルス、起きなさい」


 優しげな母親の声が聞こえてくる。

 母親の名前はライラ。

 少しばかり子供に甘いいい母親だと、アルスの記憶からは読み取れる。


「――ん、眠い……」


 ただ、問題なのは、とても眠いということだ。


 要は身体が馴染まないとも言える。

 何せ今までは、40歳の中年の身体だったこともあり、5歳という若者というか子供の身体が、まったくというほど、うまく操作というか扱うことが出来ない。

 それでも、異世界に生まれて5年間の間に蓄積された膨大な言語知識は、前世の俺の知識と上手く融合してくれたのだろう。

 今のところ、問題なくこの世界の人間が話す言葉を理解できているし、話せていたりする。


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