第16話【メイド喫茶】
「「お帰りなさいませご主人様♪︎」」
店の扉を開けるとカランカランと俺達の入店を知らせる鐘の音が店内に鳴り響く。そして、待ってましたと言わんばかりに近くに居た二人のメイド服を着た女の子が俺達の元に駆け足でやって来てとびっきりの笑顔で出迎えてくれる。
俺は学校が終わった後、少し時間を潰してから約束をしていた通り誠司と隣町にあるメイド喫茶に訪れていた。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「かおりちゃん久しぶり」
「お久しぶりです」
出迎えてくれたメイド二人に案内され席に着くと二人は「ごゆっくりしていってください♪︎」と言って今、誠司がかおりちゃんと呼んだメイドと変わる。
絹のように真っ白で綺麗な髪を腰ぐらいの高さまで伸ばし、他のメイドのキャピキャピした挨拶というよりかはしっかりめの挨拶をしてくれる彼女は俺達、というか俺の専属?みたいになっている女の子でいつも接客は彼女にお願いしている。誠司もここに来る時は俺と一緒のことが殆どなので自然と顔馴染みになっている。ちなみに彼女はこのメイド喫茶の人気ナンバーワンに輝いている子で彼女を俺の専属?にしてくれた店長には頭が上がらない。
このメイド喫茶に来る前に少し時間を潰したのも俺達と同じ高校生である彼女がバイトに入るのを待つためだ。
あ、今何でかおりちゃんのバイトの時間知ってんだ?もしかしてストーカーか?って思っただろ。断じてそんなことはしてないぞ!彼女自身が「今月はこの日とこの日の何時からシフトが入ってますので是非来てくださいね♪︎」と教えてくたんだからな!
「ご注文は何になされますか?」
「フライドポテトとカフェラテお願い」
「俺もカフェラテお願い」
「ご主人様、今日はあんまり食べないんですね」
「ああ、今日は本当は来るつもり無かったから晩御飯は家にあるんだよ」
「珍しいな。
お前も今月お金がピンチなのかと思ってた」
俺はメイド喫茶に来る時は晩御飯や昼御飯を一緒に済ませるので頼んでいるのだが今日はフライドポテトとカフェラテだけだということに二人は疑問を感じたのだろう。
「お前と一緒するな。
俺はちゃんと計画を立てて使ってるしそんなにでかい買い物は、、、殆どしない」
でかい買い物はしないと言いかけたところでまだお金は払っていないが一昨日、岡さんのところでメイド服三着、合計で約70万円を買うことが決定したのを思い出し変な言い回しになってしまった。
「なんだ〜?
最近何かで買い物でもしたのか?
何買ったんだ、ほら、お兄さんに言ってみ」
「言わねーよ。
あとそれマジでうざい」
「え〜いいじゃん教えろよ。
かおりちゃんも聞きたいよな?な?」
「はい、私も聞きたいです」
「だから言わんって。
かおりちゃんものらなくていいの。
注文は以上だからお願いね」
「ケチ〜」
「はい、フライドポテトとカフェラテがお二つですね。
少々お待ちください」
そう言って彼女は一礼した後、背筋をピーンと伸ばした綺麗な歩き方で注文をキッチンの方へ伝えに行く。
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