第7話【リピートアフターミー】

「済まなかった」


「私こそ申し訳ありませんでした」


二人揃ってか頭を下げる。

寝起きでイライラしてたのもあって少し強く言い過ぎてしまった。


「俺も昨日の夜いろいろ考えてみたんだ。

聞いてくれるか?」


昨日の寝る前に1時間程かけて調べたり考えたりして一つの提案を考えていた。


「はい、お願いします」


「まず、リピートアフターミー?」


うざい教師風に言う。


「え?」


「リピートアフターミー!?」


「お、OK?」


「お帰りなさいませ、ご主人様」


「え?」


「リピートアフターミー!」


「お、お帰りなさいませ、ご主人様?」


「NONONO!

もっと気持ちを込めて!」


「お帰りなさいませ、ご主人様!」


「次!

行ってらっしゃいませ、ご主人様」


「行ってらっしゃいませ、ご主人様」


「合格!」


「えーと、どういうこと?」


正直に言おう、茶版である。


「ゴホン。

君、家でメイドとして働いてみないかい?」


「働く?

メイド?」


「そう、メイド。

仕事内容はメイド服を着て掃除、洗濯、炊事などの家事全般を任せたい。

住み込みで、電気代、水道代、食費は俺持ちで月5万円でどうだ?」


「何でメイド服?」


「俺がメイドが好きだからだ!

そうそう。

家にいる間は俺のことをご主人様と呼ぶこと」


「普通の家政婦とかじゃダメなの?」


「まずお前、婦人じゃないだろ。

まあ、それはいいとして家政婦として雇うなら月2万円だ」


「え!?

そこまでメイドが重要なの!?」


「お前、仕事舐めすぎな。

お前、この仕事がどれだけ破格な条件か理解してないだろ?」


「ご、ごめんなさい」


「お前がこの話しを断って出て行ったとする。

住むところがないから部屋を借りる。

男ならいざ知らず美少女が借りるとなるとある程度セキュリティがいい所にしないといけないから家賃が月4万5千円から6万円ぐらいか?

まあ、4万5千円としよう。

電気代、水道代、ガス代が全部合わせて1万円ぐらいで食費も自炊して一食200円としたら1万8千円ぐらいになるとして1ヶ月で7万3千円だ。

これに日用品なんかも足したらもっとかかるぞ?

それに最初の1ヶ月なんか敷金礼金や布団や包丁なんかも買わないといけないしすごい金額になる」


「ゴクリ」


「それに対しての収入は?

さっき言った一月にかかる費用とかを考えると月10万は欲しいな。

まあ、普通に考えてありえないが凄く時給がいいまともなアルバイト先が見つかったとして時給千円と考えると単純計算で100時間の仕事をしなくちゃいけない。

俺達は高校生だ。

お前がこれからも高校に通うことを考えているなら

絶対に無理とまでは言わないけど確実に身体を壊すね」


「そうね。

時給が千円もある所ならきつい仕事だろうし」


「で、俺の出した条件に戻るが、住み込みで、電気代、水道代、食費が俺持ちってだけで、俺と一緒に住むってデメリットはあるが毎月7万円程度に抑えられるんだ。

それに仕事内容だって掃除、洗濯、炊事などの家事全般っていうそこまできつく無いしそこまで時間がかかる仕事じゃない。

それに半分は自分のためにもなるものだろ?

食事も実質、お前のために作るご飯を一人分足すだけだし掃除もお前が気持ちよく過ごすためにもなる」


「言われてみるとそうですね」


「言ってみればお手伝いとそう変わらん。

こんなこと普通は泊めてもらうお礼に自分から無償でするって言ってきてもいいぐらいの事だ。

月2万でも有難く思って欲しいぐらいだ。

だが、女って言うのはいろいろとお金がかかるって聞くしそれを考慮して色々考えた結果、メイド服で月3万円プラスすることにした」


「そのいろいろと言うのを聞かせてもらってもいいですか?」


「俺はメイドが好きでな、時々メイド喫茶に行ったりしてるんだ。

でも家にメイドがいるならわざわざ電車代出してメイド喫茶に行く必要がないだろ?

あそこってメニューも結構高いしな。

それを削れる分お前の給料にプラスする」


「な、なるほど」


「で、どうするんだ?

決めるのはお前だ」


「私をメイドとして雇ってください。

お願いします」


数秒の沈黙の後、彼女は深々と頭を下げお願いしてくる。


「うむ。

いいだろう」


「あと、自分の状況も正しく理解していないのに我儘なことを言ってごめんなさい」

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