第157話 育児への子供からの干渉

 今日の患者は今井涼子47歳である。

渋沢吾郎:どうしましたか?

今井涼子:育児に干渉してきて甘ったれた理想論ばかり言ってくる長女に疲れます。

子どもが三人いて、長女は教育学部の大学生で長男が中学生、次女が小学生です。

長女が大学生になってからやたらと下の子の育児に口を挟んできてうるさくなりました。「そういう風に否定してはいけない」「こういう時はまず褒めたほうがいい」「もっと具体的に言わないとダメ」「こういう話には口出ししない方がいい」「○○の気持ちも分かってあげて」「今時の小学生はお母さんの頃とは違うんだから」「言ってもいないことをいきなりできるようになると思うな」「結果で叱らないで努力を褒めてあげて」等々……納得のいくものもありますし、多分教科書通りならそれでいいんでしょうが、なんというか私には甘すぎるように感じられますし、実際の育児なんて教科書どうりに行かないことがほとんどですよね?毎日毎日まるで保健師にでも指導されているようで気が滅入ります。家にいても息が詰まる。

渋沢吾郎:頼もしいではありませんか。教育学部にいるからしょうがないと思います。ですが、彼女は彼女なりに勉強していると思います。

今井涼子:ですが、聞いていると、疲れます。

渋沢吾郎:ですが、長女をそういう風に育てたのはあなたです。それに子育てに慎重な娘さんが育児で成功したら将来が楽しみなのではありませんか?

今井涼子:しかし、実際は教科書通りにはいかないものですよ。

渋沢吾郎:それも学校で学んでいると思います。今の大学は発展していますよ。娘さんと育児についてよく話したらどうですか?娘さんが親になったらどうやって子供を育てたいかとか。そしたら、お互い勉強になると思います。

今井涼子:そうですか…。確かにその通りなんですけど。

渋沢吾郎:器量を見せることも親にとっては大事だと思います。

今井涼子:そうですか…。

渋沢吾郎:でも、娘さんは楽しみですよ。

今井涼子:ありがとうございます。しかし、私の気持ちはどうなりますか?

渋沢吾郎:娘さんも親になったらわかると思います。そこは我慢してください。

今井涼子:…。解りました。

 と今井涼子は帰っていった。

 そして夜、吾郎は清子と話した。

渋沢吾郎:なあ、清子。清子は子育て大変だったか?

渋沢清子:あなたのフォローがあったから大丈夫だったよ。

渋沢吾郎:子育てかあ。したものしかわからないな。

渋沢清子:でも、その娘さん。子育てをイメージしているんでしょ。偉いじゃん。

渋沢吾郎:そうだよな。

渋沢清子:じゃあ、そういうことで、今日もラヴしようね。

渋沢吾郎:甘い生活が13年続いている家族って俺たちぐらいか?

渋沢清子:いいんじゃない?減るもんじゃないし。

渋沢吾郎:そうだね。じゃあ、今日もスウィートナイトを過ごそうな。

 と、今夜の吾郎と清子はスウィートナイトを過ごした。

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