第93話 落ち着きのない子

 今日の患者は森光恵子36歳である。

渋沢吾郎:どうしましたか?

森光恵子:実は私の悩みは10歳になる息子のことなんです。もともと落ち着きのない子だったのですが、昨日学校の担任の先生に呼び出されて、「授業中に非常に落ち着きがない。隣の子にちょっかいを出したり、授業中に立ち歩いてみんなの授業中に立ち歩いてみんなの邪魔をする。一度専門家に相談に行ってみた方が良い。」と言われました。それで、先生のところへ来たんですけど。

渋沢吾郎:そうですか。ずいぶん無責任な先生ですね。

森光恵子:私、あの子が何を考えているのか、全くわからないんです。母親失格と思われるかもしれませんが、機嫌のいい時と悪い時の差があまりに激しすぎますし、私の言うことなんて全く聞きません。

渋沢吾郎:ご主人はどうなさっているのですか?

森光恵子:「俺は夜遅くまで働いているのだからわからない。子供はあんなものだろう。」と言って、真剣に取り合ってくれません。主人は家庭に無関心すぎます。よく飲みに出かけるし、子供の運動会や入学式などの行事に参加しようとしません。私が一人で行っています。子供のことは任せっきりで本当に何もしません。いい加減腹が立ちますが、何も聞いてくれません。私の教育が悪かったのでしょうか?

渋沢吾郎:まあ、そんなに自分を攻めるものではりません。そういう時は何か夢中になるものが見つかれば治まります。例えば、恋愛をしだしたとか、やりたいスポーツができたとか。また、目的を見つける、目的を作ってあげることですね。で、こういう時は好きなことをやればいいと思います。好きなことをしているうちにそれが仕事にあんることがあります。すぐに改善するのは難しいかもしれませんが、ここはじっくりやっていきましょう。好きなものを見つけてあげましょう。好きなものが見つかれば、きっとそれに全力で打ち込むはずです。また、何か刺激のあるものを体験させるのも一種の手段です。ここはいろいろ試してみましょう。そんな感じでいいですか?

森光恵子:なるほど。なんとなくわかったような気がします。ありがとうございました。

 と、吾郎の森光恵子への診察は終わった。

 夜、吾郎と清子は話をした。

渋沢吾郎:なあ、清子。子供の教育はどこの家も大変だな。

渋沢清子:そうだね。親の思う通りにならない場合もあるよね。

渋沢吾郎:子供の人生にとって大事なのは好きなことをやらせる、生甲斐のあることをやらせるこれが大事だな。

渋沢清子:私は、いろんなことが解っているあなたと結婚できて幸せよ。

渋沢吾郎:俺もだ。

渋沢清子:今日も私とあなたは幸せを感じられますように。

 と、吾郎と清子は自分たちの幸せを感じながら寝た。


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