第75話 仕事の生甲斐

 今日の患者は十条美代23歳である。

渋沢吾郎:今日はどうしましたか?

十条美代:仕事が大変です。毎日残業がものすごくて疲れて限界です。何とか出来ませんか?

渋沢吾郎:そうですか。もしかして今の自分の仕事には納得はいっていないようですね。

十条美代:はい。仕事に生きがいがありません。自殺も考えています。

渋沢吾郎:そうですか。今の仕事をやめて他の職場につくことはどうですか?

十条美代:ですが、私は仕事をすぐに変えてすぐになじむだけの才能がありません。

渋沢吾郎:そうですか?あなたにあった仕事は必ずあります。

十条美代:私にあると思いません。今の職場はいろんなところで面接で落ちてやっと辿り着いた職場なんです。

渋沢吾郎:ですが、今の職場はあなたに相当負担が掛かっている気がします。それだと、本当に自殺してしまいます。

十条美代:ではどうすればいいですか?

渋沢吾郎:私のところで働く気は有りますか?

十条美代:渋沢先生の会社ですか?

渋沢吾郎:そうです。カンパニー吾郎です。あなたにあった仕事を必ずみつけます。

十条美代:しかし、私には借金が有ります。学生の時、奨学金でお金を借りていたので返さなければありません。給料はどれ位ですか?

渋沢吾郎:そうですね。20万から30万という感じでしょうか。

十条美代:そうですか。ありがとうございます。私、生きる希望が持てた気がします。

渋沢吾郎:ですが、あなたは今の状況で借金が返せる気がしないので、私の社宅に住みませんか?

十条美代:本当にいいんですか?

渋沢吾郎:月に3万ぐらいですが・・・。

十条美代:ありがとうございます。

渋沢吾郎:それでは、もう自殺を考えなくてすみますね。

十条美代:はい。ありがとうございます。

渋沢吾郎:では今日はいいですね。

 と、十条美代の診察は終わった。

 そして夜、吾郎は清子と話した。

渋沢吾郎:なあ、清子。大学の奨学金っていいんだか悪いんだかわからないよな。

渋沢清子:そうよね。奨学金の借金が返せなくて自殺する人がいるよね。これは問題よね。

渋沢吾郎:そうだな。それで転職が出来なくて、今の職場に固執して、相性が悪かったら、自殺をしてしまう。これは問題だよな。

渋沢清子:そうよね。だから、何とかそういう人を一人でも救いたいということでハウジング吾郎という寮を作ったのよね。

渋沢吾郎:だけど、個人の力というのも限界があるな。

渋沢清子:でも、カンパニー吾郎で、障害者でも人材になっている人がいるよ。あなたの人を見る目がいいからよ。

渋沢吾郎:そうだな。洞察力には自信がある。

渋沢清子:あなたの優しさは本当にみんなを救うよね。

渋沢吾郎:人を救うことがカウンセラーとしての役割だからな。

渋沢清子:あなたって素敵。

渋沢吾郎:じゃあ、今日もいい夜を過ごそうな。

 と、今夜も吾郎と清子はドリームナイトを過ごした。


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