第40話 自殺願望その2
つぎは相川雄一34歳である。
渋沢吾郎:今日はどうしましたか?
相川雄一:自殺願望が消えません。
渋沢吾郎:しかし、今自殺するつもりは無いんでしょう?
相川雄一:ありません。口では自殺するといっても、本気で思っていません。ですが、あの世に行ったら、楽になれるという考えはあります。しかし、自分の役割をこの世で果たさなければあの世にいけないことはわかっています。
渋沢吾郎:なるほど。まあ、自殺では、天には帰れません。
相川雄一:しかし、自分は本当にこの世で自分がやるべきことができるか不安です。
渋沢吾郎:ですが、できなかったことを理由にして、あの世に帰ろうとしていませんか?
相川雄一:よく、渋沢先生は気づきますね。ですが、それは自分の一部分です。やるべきことはやらなければあの世に帰れないことぐらいわかります。ですが、自分の道は難しすぎます。
渋沢吾郎:そうですね。本当はもっと楽な生き方ができないかと思いますが。ただ、私の直感ですが、相川さんは自分のために死のうとしているわけではないのはわかります。ただ、自分が死んでまで、敵を生かすのもどうなのかと思いますが・・・。
相川雄一:しかし、私は全てを大事にしたいのです。
渋沢吾郎:では、相川さんの命は全ての中には入らないのですか?
相川雄一:入ります。
渋沢吾郎:なるほど。相川さんにとって自殺とは何なのですか?それがわかるまでは自殺は駄目ですよ。
相川雄一:ですが、自殺がなんなのかわかったら、逆に自殺できないのではありませんか?
渋沢吾郎:なるほど。気づいているわけですね。だが、相川さんの中には自殺という選択肢を残しているのは、私は賛成できません。
相川雄一:渋沢先生は何もかもお見通しですね。
渋沢吾郎:ですが、毎日戦っていることはわかります。その戦いの先にある幸せを感じ取ってもらいたいものです。
相川雄一:幸せですか・・・・・・。私に来るのでしょうか?
渋沢吾郎:相川さんだけでなく人は幸せだった時は必ずあるものです。相川さんは周りが思っているほど幸せではありませんが、味方はたくさんいます。最後まで戦ってください。生きること自体が戦いなのです。
相川雄一:確かにそう思います。ただ、あまりの苛酷な環境にときどき弱音を吐いてしまいます。
渋沢吾郎:弱音はしょうがありません。ですが、すぐに自分の世界に戻って何とかしようとしている限り大丈夫です。いつか幸せが来ると思います。そう思いませんか?
相川雄一:そうかもしれません。そうなることを信じて頑張っていこうと思います。
と、雄一のカウンセリングは終わった。
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