第18話 鬱その4

今日の患者は名前は堀口孝夫25歳である。

渋沢吾郎:今日はどうしました?

堀口孝夫:今日も欝です。欝のため何もできません。何のために生きているんでしょう。

渋沢吾郎:今は何をなさっているんですか?

堀口孝夫:家で寝ているだけです。

渋沢吾郎:何か好きなことをやってみてはどうですか?

堀口孝夫:好きなこともできないんです。

渋沢吾郎:それは大変ですね。でも、世の中不思議なことに必ず自分にあった趣味という者はあるんですよ。見つからないだけです。

堀口孝夫:そうなんでしょうか。

渋沢吾郎:自由に生きていくうちに目的を見つけていくそれが、あなたにとって一番いいことなのではないかと思います。

堀口孝夫:でも、ひきこもりがちなのです。

渋沢吾郎:疲れたら横になって、少しでもやる気が出たらそのときに何かをするそれが今のあなたには丁度いいのではありませんか。あなたにとって自由に生きることは将来役立つと思いますが。

堀口孝夫:そうでしょうか。

渋沢吾郎:自由に生きることで、経験値を増やすのです。自分の部屋から出たくないなら、部屋の中で自由にすればいいのではありませんか?漫画ぐらいは読めるのではありませんか?

堀口孝夫:確かにそうですね。部屋の中ででも自由にできることがあると思います。

渋沢吾郎:問題は、ご両親はご理解なされているのでしょうか。

堀口孝夫:僕のことを完全に見放しています。

渋沢吾郎:そうですか。でも、気にしないで、自由に生きてみてください。そして、新たな発見をしてみてください。

堀口孝夫:はい。ありがとうございます。

渋沢吾郎:そして、新たな発見があなたを突き動かすと思います。とにかく今はまだあなたは20代ですので、自由に生きてみてください。

 と、堀口孝夫のカウンセリングは終わった。

その夜、吾郎は清子と話をした。

渋沢吾郎:なあ、清子。今の社会昔と変わった気がしないか?

渋沢清子:そうね。昔の人はとにかく就職して家族を養って自分のことについて考える時間はなかったみたいよね。

渋沢吾郎:そうだな。それに、今は昔に比べてエネルギーがないよな。また、精神面でも弱くなってきている。

渋沢清子:今の社会、何かがおかしいわよ。あなたは何が原因だと思う?

渋沢吾郎:そうだなあ。目的に対してやる気が出ない。また、目的がない。といったところか。でも、目的を見つけても達成できなくて鬱になる人も少なくない。ただ、こういう社会は基本に戻るべきだと思う。生きるとは何か。というところか。

渋沢清子:なるほどね。私たちって何で生きているんだろうね。

渋沢吾郎:ただ言えることは1つだけある。それはみんな幸せをつかむ権利がある。ということじゃないか。

渋沢清子:なるほどね。

渋沢吾郎:じゃあ、今日も一緒に寝るか。

渋沢清子:私は幸せよ。心も身体も満足しているから。

渋沢吾郎:そうだな。俺も幸せだ。これだけ相性のある夫婦は他にはいるまい。というわけで始めるぞ。

と、2人は今日も満たされた夜を過ごした。


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